◆HONESTY◆ 5
虎徹がバーナビーのバスローブの腰紐を解き、はだけさせる。
そこに肌を重ねて密着してくる。
「バニーちゃんの肌、すべすべで気持ちいいな…」
囁かれてバーナビーはぱっと頬に赤みが差した。
考えてみると、今までセックスをした相手――勿論、その場限りの賞賛の言葉はたくさんもらっていたが――すなわち初対面の相手にそういう事を言われても、単なるリップサービスと割り切って、気にも留めなかった。
が、虎徹は違う。
虎徹は自分の相棒であり、大切なパートナーだ。
その相手から言われると、それは特別な意味を持っているようで、バーナビーは嬉しいのか恥ずかしいのか分からないような、ぐちゃぐちゃな感情に襲われた。
恥ずかしくなって、思わず顔を覆う。
「顔を見せてくれねーと、気持ちイイのかどうかわかんねーよ?」
顔を覆ってしまったバーナビーに対して虎徹がそう言ってきた。
「顔見せて、バニーちゃん」
言われて目を覆っていた手を下ろす。
虎徹が上からバーナビーを覗き込んでいた。
茶色の瞳が細められる。
「褒められるの慣れてねーの?バニーちゃんがこんなに可愛いなんてちょっとびっくり。さっきの話を聞いたかぎりはもっと慣れてて、なんていうか、どんな台詞言われてもなんてことねーって感じに思えたけど」
確かに普通はそうだ。
今まで肌を重ねてきた相手からはどんな賞賛の言葉を言われても、それはただ耳から入って反対の耳から出ていくだけで、自分の心になど掠りもしなかった。
それだけに、虎徹に言われるほんの些細な褒め言葉がこんなに自分の心に響いてくるとは、とバーナビーは自分ながら驚いていた。
「…キスしていい?」
虎徹が尋ねてきた。
頬が赤くなってバーナビーは目を逸らした。
「いちいち聞かなくていいですよ。やりたい事があったらなんでもやってください」
虎徹が肩を竦めて笑いながら、バーナビーの唇にちゅっと口付けをしてきた。
「えっとー、ここに挿れればいいんだよな?」
虎徹が右手を降ろしてバーナビーのアナルの周囲を指でまさぐってきた。
触れられただけでそこがじいんと疼く。
バーナビーは小さく喘いだ。
「ここに挿れるのに、えーと……」
虎徹がきょろきょろとする。
探しているものの見当がついてバーナビーは頬を赤らめたまま、ベッドサイドから小さなバッグを取った。
以前男と一夜限りのセックスを繰り返していた頃、そのバッグはいつも常備していた。
中には潤滑用のジェルと、コンドームが入っている。
それを取ってバーナビーは虎徹に差し出した。
「これ、使ってください」
「うわぁ、バニーちゃん、用意良いねぇ。いつも入ってんの?これ」
「そうですね、前はよくこうやって使ってましたから」
「そ、そうか…」
今更ながらに虎徹が目を丸くしてそれを眺め、それから恐る恐る受け取った。
「ゴムも付けた方が良い?」
「それは…おじさんの好きでいいですよ。僕の方はどうでも」
「じゃあ、これはいいや。とにかくこっちだな」
そう言って虎徹がコンドームはそのまま脇に置き、ジェルのチューブを手に取った。
蓋を取って掌に盛り上がるほどにジェルを絞り出す。
それを指先にたっぷりとつけて、虎徹が再度バーナビーの後孔に手を伸ばしてきた。
「こっちの方がやりやすいですよ」
そういうことはおそらく初めてであろう虎徹に配慮して、バーナビーは俯せになって腰を上げた。
「うわ、バニーちゃんのお尻が丸見えだぁ…」
虎徹がまじまじとバーナビーの尻を見つめて感動したように言いながら、その中心に指を進めてきた。
虎徹の指先でほのかに暖まったジェルが、ぬるりとアナルに塗りつけられる。
「そのまま指入れてください…」
「あ、うん…」
ぬぷ、と湿った音がして指が挿入される。
中の粘膜に侵入してきた指の感触を感じる。
指が入ってきた所がとろとろに溶け、熱が放射線状に広がって腰全体が熱くなる。
「あっ…ァ…ア…っ…んっっ」
慣れているソコは虎徹の指をたやすく飲み込んでいく。
「うわ、なんかすっごい熱い…」
「もっと指入れてください。3本ぐらい入ります」…
「う、うん…」
虎徹も上擦った声を上げながら、指を二本、三本と増やしてバーナビーの中に入れてきた。
「熱くて火傷しそう…すごいな…」
ぐちゅぐちゅとジェルの溶ける音を立てながら、虎徹がアナルに指を埋め込んでは引きぬく。
その度に粘膜が擦られ、虎徹の指先がバーナビーの前立腺を粘膜越しに刺激してくる。
久しぶりのその感覚に、バーナビーは目の前が霞むほどの快感を覚えた。
身体全部が悦んでいて、その快楽に浸ってしまいたいと主張している。
もっと太くて硬いモノを、ソコに突き入れられたい。
突き込まれてめちゃくちゃに掻き回されて、何もかも分からないぐらいに快感に翻弄されたい。
強烈な欲望が、全身を震わせる。
「あっ…あ、…も、大丈夫、だから…おじさんの、…っ、挿れて…」
切羽詰まった声を上げて強請るように尻を振る。
ごくりと虎徹が唾を飲み込んで指を引き抜き、指が抜けて柔らかく解れたアナルに彼のペニスを押し当ててきた。
虎徹の手がバーナビーの尻を掴み、バックからぐっと圧し掛かってくる。
「あっ…あっあっ!」