◆茨(いばら)の冠◆ 16
「う……」
人肌に温められたローションがぬるりと襞に擦りつけられ、それから虎徹の指が敏感な入り口を擦ってくる。
久し振りの感触、それに相手が虎徹である、という事も相俟ってか、バーナビーはいつになく自分が興奮しているのを感じた。
中が疼く。
覚えのある快感が、脳の中で思い起こされる。
柔らかく熱い中を擦られる時の、神経の焼き切れるような悦楽。
……早く欲しい。
そう思ってしまう。
虎徹に見られているということも、その興奮に拍車を掛けるのだろう。
一度セックスをした事があるとは言え、その時は一夜の相手と変わりのない存在だった。
しかし、今は違う。
虎徹は仕事上の相棒であり、誰よりも朝から晩まで一緒に居て危険な活動を共にする相手なのだ。
その相手に、自分の一番恥ずかしい部分をあられもなく見せている。
そう思うと、羞恥と理性がせめぎ合う倒錯的な快感が生まれ、バーナビーは更に興奮した。
「ぅ……っ…」
虎徹の指が、ずるりと内部に入ってきた。
シーツを掴んでその刺激に耐える。
軽く擦ってくる刺激が焦れったい。
もっと深く激しく、欲しくなる。
ねだるようにひくひくと括約筋を蠢かすと、それに応えて虎徹が指を増やしてぐっと埋め込んできた。
「ぁ……ぅ、…もっと、奥、まで…」
「あ、あぁ、分かった…」
焦れったくて腰を揺らして強請ると、虎徹が戸惑ったような返事をしながら、更に指を挿入してきた。
──…まだ、焦れったい。
もっと、擦って欲しい。
尻を振って虎徹の方に突き出す。
虎徹がごくりと唾を飲むのが分かる。
虎徹の指先が、自分の感じる部分を刺激してきた。
いわゆる、前立腺だ。
「…そこ、イイ、です、……もっと、して…ください…」
びくっと背筋を反り返らせながらバーナビーは強請った。
「す、すごいな、バニーちゃん…。…ここ、気持ちいい?」
驚いたように言いながらも虎徹も興奮しているようだった。
ぐいぐいと、バーナビーが反応した部分を指先で抉ってくる。
「あ、あっぁッッ!!」
目の前にぱかっと閃光が散った。
久し振りの鋭い快感に、我を忘れる。
他人の手によって、自分の内部の感じる部分を容赦なく抉られている。
──この感覚が、欲しかった。
頭の中がすっかり蕩けて何も考えられなくなる。
もっと欲しくなる。
もっと硬くて熱くて、自分を引き裂くように貫いてくれる太い物が、欲しくなる。
「おじさん、もう、大丈夫…ですっ。…入れて、くださいっ…。あなたのが、欲しい…」
切れ切れにそう強請ると、虎徹が指をぐいっと引き抜いてバーナビーの腰をがっしりと掴んできた。
指が引き抜かれて解れたアナルに、ひたり、と硬くて熱い肉棒が押し当てられるのが分かる。
「あ、……う、うぅッッッ!!」
一瞬の間を置いて、それがぐぐっと体内にめり込んできた。
目の前が真っ白になるぐらいの、甘い深い衝撃だった。
全身が悦んで、震える。
これが、欲しかった。
この太くて深い衝撃が。
内部を蹂躙して自分を翻弄する熱い楔が。
ぐっと差し込まれ、ずぶずぶとめりこんできたそれが、感じる箇所をぐりっと擦ってくる。
擦られて、全身が硬直した。
「あァっ、──…んぁっっ!」
次の瞬間、自分のペニスから勢いよく精液がほとばしり出るのを感じた。
数度噴出すれば、ピュっと落ちてそれがシーツに何カ所か染みを作る。
「あれ、バニーちゃん、もうイったの?」
虎徹が意外そうな声を上げる。
羞恥にかぁっとなって、バーナビーはシーツに顔を伏せた。