さっきから俺はベッドの中で、バニーに激しく揺さぶられていた。
最初は四つん這いでちゃんと腕を立てていた。
しかし、いつのまにか上半身がへしゃげて腰だけ上げた、情けない格好になっている。
そんな格好で揺さぶられて、後からバニーの激しい息づかいも聞こえるし、俺の名前を呼ぶ声も聞こえる。
「虎徹さんっ、虎徹さん虎徹さん…っ」
すげぇ情熱的で嬉しいんだけど、でもはっきり言って痛い。
しかし痛いなんて言うとバニーが興醒めしちまうから、俺は『あん』とか『いい』とか、まぁバニーが喜びそうな声を出しながら、ひたすらバニーが射精してセックスが終わるのを待っていた。
そのうちバニーが俺の中に思い切りペニスを突っ込んできた。
まるで身体が引き千切れるみたいだ。
――すげぇ痛い……!
目をぎゅっと瞑って奥歯を噛み締めて耐える。
中でどくん、とバニーが大きく弾け、それからゆっくりずるり、と音を立ててバニーのペニスが引き抜かれた。
「はー………」
俺はぐったりして、ベッドに俯せに寝っ転がった。
尻がひりひり、火傷したみたいだ。
痛いんだか気持ち良いんだか、熱いんだか冷たいんだかもう分からないぐらいぐったりして、シーツに頬を着けてバニーをちらりと振り向くと、バニーは優雅な仕草でペニスに装着したコンドームを外して後始末をしていた。
イイ男はそういう時でさえ様になるなぁ、などとぼんやり考えながら、俺は、バニーのふわふわした金色の髪の毛や筋肉が理想的に付いた美しい身体、引き締まった尻を眺めた。
ふわふわとした濃い蜂蜜色の股間も、ぼんやり眺める。
「虎徹さん…」
後始末をしたバニーがベッドに身体を横たえて、俺を抱き寄せてきた。
「んん……」
抱き寄せられるままに俺はバニーの胸の中に顔を埋めて、小さく息を吐いた。
バニーがちゅっちゅっと俺の額や頬、鼻の頭にキスをしてくる。
くすぐったくてこそばゆい。
恥ずかしい。
10歳以上年下の男にこんな事をされてるなんて、――まぁここはバニーと俺の二人きりだから良いようなものの、誰かに知られたら噴飯ものだ。
そいつと顔も合わせられない。
などと思いながらも気持ち良いのでバニーに身体を預けたままくったりとなっていると、バニーが俺の唇に吸い付くようにキスをしてから俺の目をじっと見つめてきた。
ああ、綺麗な目だなぁ。
本当に綺麗だ…。
明るい南の海に太陽が差した時の色だ。
そんな綺麗な瞳で俺を見つめながらバニーは言った。
「虎徹さん…痴漢プレイ、しませんか?」
◆ちかん☆プレイ◆ 1
「………え?」
ちょっと待った、もう一回言ってみて、といようにきょとんとして俺はバニーを見た。
バニーは瞳を細めて形の良い唇を美しい微笑の形にしてから、再度口を開いた。
「痴漢プレイ、ですよ?」
「……ちかん、プレイ?」
「そうです」
「……な、なんで?」
突然そういう事を言い出されて意図が分からなくて、呆気に取られてバニーに問い掛ける。
バニーが眉尻を下げてやや困ったように笑った。
「なんでって言われても、その…」
「……もしかしてバニーちゃん、欲求不満?俺じゃ気持ち良くなれてない?」
もしかして俺がセックス下手?
……って言うか、はっきり言ってマグロだしな…。
それでバニーがそんなことを言い出したんじゃないかと俺は不安になった。
恐る恐るバニーの目を覗き込むようにしながら問い掛けてみると、バニーがそんな事は無いというように真顔になった。
「違いますよ。……でも、そうじゃないんですけど……虎徹さん、あなたセックスの時、いつも痛そうで気持ち良くなってませんよね?」
「え……?」
図星を突かれて俺は押し黙った。
確かにそうだった。
でもそれはしょうがないと思う。
だいたい俺とバニーがこういう関係になったのは、一ヶ月ほど前だ。
一ヶ月前にバニーは、ジェイク・マルチネスを倒した。
その後俺は10日ほど入院をし、退院した日に退院祝いという事で、バニーのマンションに招かれた。
言ってなにやらケータリングらしいが豪華な食事をして、ワインや焼酎を飲んで気持ち良くなった時に、バニーが俺に告白してきた。
『虎徹さん、あなたが好きです』ってな。
え?と思って驚いたけど、このときは俺も退院したばかりで気持ちが緩んでいたし、それに酒も飲んでいて理性がどっかに行っちまっていた。
バニーとはジェイクの件でいろいろ確執があったけれどその後すっかり仲良くなれて、その意味でもすごくいい気分になっていた。
だからその時――バニーが俺を押し倒して、情熱的な声で『好きです』って言いながらキスしてきた時もそれを受け入れたし、そのままバニーが俺の服を脱がせて脚を開かせて尻の穴に指を突っ込んできた時も、『え?』とは思ったけれどなんか抵抗する気もそれから拒絶する気も無かった。
しかもバニーが尻の穴を丁寧にほぐしてきたもんだから俺は思わず気持ち良くなっちまって、結局そのままそこにバニーの太いペニスを突っ込まれる羽目になったって訳だ。
指は気持ち良かったが、バニーのペニスははっきり言ってでかすぎて、俺は痛くて涙で顔がぐしゃぐしゃになった。
でもバニーが『ごめんなさい』とか『すいません』とか言いながら本当に愛おしげに俺を抱き締めてくるもんだからほだされちまって、そのまま何というかなし崩し的にこういう関係を続けている。