◆ちかん☆プレイ◆ 4
バニーの指が俺のペニスを扱いてくる。
くちゅくちゅ、と僅かな音だがいかにも弄ってますという音がして、俺はぎょっとした。
まさか、聞こえねぇよな……。
三列前のカップルを見る。
映画の音がでかいから大丈夫だと思う。
映画は派手なアクションシーンになってきて銃の撃ち合いとか人の叫び声だ。だから大丈夫だ。
「…あッ…!!」
急にバニーの親指が俺の亀頭の鈴口をぐっと握り込んできたので、俺は堪えきれず小さな声を上げてしまった。
聞こえたんじゃねぇのか、一瞬ぎょっとする。
大丈夫か…?
……どきどきする。
胸の鼓動が大きくなって顔がかっと熱くなったのが分かる。
すげぇ、やばい…。
やばいと思えば思うほど興奮してくる。
これはやばい。
まずいと思うのに反対に興奮しちまって、ぞくぞくしてくる。
ぞくっとして股間がじぃんと疼いて、いつもよりもずっと早く絶頂に達しそうになって俺は慌てた。
こんな所で射精なんか絶対にできない。どうしたらいい?
「……ッッ!」
思わず声を上げそうになって、口を噤む。
でも駄目だと思えば思うほど射精衝動が高まってきて、俺はパニックに陥りそうになった。
バニーの手を振り払ってトイレに駆け込むか?
もうここまで来たら、我慢できそうにない。
どうしよう……っ。
俺は泣きそうになった。
ぶるぶる震えながら必死で射精感を我慢する。
映画の内容なんか頭から吹っ飛んじまって、唇を噛むが涙が溢れて来ちまった。
どうしようもなく震えていると、バニーの手がさっと動いて俺の亀頭にティッシュを被せてきた。
そして絞るように一気に強く扱いてきた。
「……うぅッッ!」
俺はひとたまりもなかった。
短く呻きながら映画館の中で人前で、……俺は絶頂に達しちまった。
びくびく、と数度射精する。
バニーがしっかりと亀頭にティッシュを被せてくれたおかげで俺は精液を零すこともなかった。
ちょうど映画も派手なアクションシーンの続きで、声が周りに聞こえることもなく無事射精できた。
無事ってのもおかしいが、…まぁともかく俺は人前で射精しちまったわけだ。
――変態だ。
もし誰かにばれたら終わりだ。
新聞に出ちまう。
『ワイルドタイガー、映画館で射精。相手はバーナビー…ブルックスJr.』とかな……。
そんなのが出たらとんでもねぇ。
バニーは全く俺の方を見ずスクリーンを見つめたままだった。
しかし手は素早くティッシュを丸めて俺のペニスを綺麗に拭くと、素知らぬ顔でそのティッシュをささっと始末した。
スクリーンからの光がバーナビーの顔を照らす。
俺の股間は前の座席の陰になっていて暗いが、それでも光が反射して僅かに見える。
三列前には見知らぬ観客。
大きなスクリーンからは映画の音。
……こんな公共の場所で、こんな事をして。
俺は半ば呆然としていた。
目を降ろして股間を見ると、まだ前ははだけたままだ。
ふとバニーの手が俺の手を握ってきた。
そのまま引き寄せられる。
俺の手にバニーのペニスが押しつけられる。
いつの間にかバニーもボトムのジッパーを下げて、ペニスを中から出していたらしい。
指にぬるり、と温かい先走りが触れる。
熱く硬い肉塊の感触に、ぞくぞくっと背筋が震えた。
思わずそれを握って指を動かしてしまう。
するとバニーは、今度は俺の背中の方からズボンの中に手を入れてきた。
その指がすうっと動いて俺のアナルに触れてくる。
まさか……!とは思ったが、バニーは容赦無かった。
指の感触はちょっとぬるぬるとしていた。
この感触は―――。
どうやらバニーは指にコンドームを嵌めているようだった。
いつの間にそんな事…。
しかもゼリー付きのコンドームらしい。
だからその指は呆気なくいとも簡単に、俺のアナルに入って来た。
ぐぐっと指が進んでくる。
座っているから自分の体重でバニーの指を根元まで飲み込んでしまう形になって、俺は思わず、うっと喉奥で呻きを漏らした。
こんな所で、後を弄られるなんて。
しかしそれは、今までにしてもらったどんな愛撫よりも、凄かった。
指が体内で俺の弱点をぐっと突き上げてくる。
こりこりっという感じでソコを擦られて、脳天まで戦慄が走り抜ける。
凄い快感だった。
腰ががくがくと震え、俺は耐えきれずバニーの指をぎゅっと締め付けた。
こんな所で不自然な体勢で、指だってそんなに動かせないはずなのに。
それなのに目の前がちかちかとして息が上がって、全身が震える。
――どうしよう。
あっという間に俺のペニスは再度勃起した。
掴んでいるバニーのペニスもびくびくと脈打っている。
全身ぞわっとして、ナカが疼いた。
もっと擦ってもらいたい。我慢できない衝動だった。
もっと強く、激しく、ナカを掻き回されぐちゃぐちゃにされて、翻弄されたい。声を上げてよがりたい。
もっと大きな刺激が欲しい、ナカに。
そんな風に思うなんて、今までに一度も無かった。
勿論今までだって、バニーとのセックスは痛いだけではなくて気持ち良かった。
それにバニーが俺の身体で満足していつもは見せないような表情を見せてくれるのが嬉しくて、それだけでも俺は精神的に満ち足りていた。
それに後ろがあまり感じないからと言ってもバニーはいつも丁寧にペニスを扱いてくれるから、射精の快感だけで俺は十分だった。
なのに今、後ろで感じているこのものすごい快感はなんなのだろうか。
まるで自分の身体が自分のものではなく、自分が淫乱でセックスだけの存在に成り果ててしまったようだ。
五感がやたら敏感になる。
バニーの息づかいとか映画の音とか周囲のざわめきとか、ひんやりとした映画館の空気とか、俺の内部を擦ってくるバニーの指とか握っているバニーのペニスの熱さとか蠢きとかが、リアルに俺を責め立てる。
全部が俺を駆り立てる要員となる。
息ができなくて肺を膨らませて深呼吸すれば、全身が震えて目の前が霞んだ。
スクリーンでは、相変わらずカーチェイスのようなアクションシーンをやっている。
みんなが映画に集中している。
画面がぱっぱっと切り替わる。
俺は画面を見ているのに、でも頭の中には見ている画像が何一つ入ってこない状態だった。
ただひたすら、バニーの指が俺の前立腺を擦ってくる、傷口をぐりぐりと擦られるような、でも痛くはなくてそれが全て快感であるような、そんな刺激に息も絶え絶えだった。