TARGET 《3》
下着毎脱がしてしまうと、手塚の性器はもう充分過ぎるほど勃ち上がって、ぴくぴくと蠢いていた。
桃色の先端部分から透明な涙を零して、リョーマの眼前で、なんとかしてくれというように頭を振っている。
--------ドクン。
うねるような衝動が身体の奥から湧き上がってきて、リョーマは眩暈がした。
すぐにでもイってしまいそうだった。
が、まだ駄目だ。
必死で衝動を抑えると、リョーマは手塚のそれをそっと口に咥えた。
「…………ッッ!!」
途端に、手塚が陸に上がった魚のように跳ねた。
「だ、だめだッ………」
興奮していても、されていることは分かるのだろうか、手塚が激しく頭を振る。
しかし、口ではそう言うものの、無意識の仕草だろうか、リョーマに腰を押し付けるようにしてくるのを感じ取って、リョーマはにんまりした。
「気分、悪いんっスよね? ここ、どうにかしないと、治らないっスよ?」
上目遣いに手塚の痴態を見ながらそう言うと、リョーマは本格的に口を動かし始めた。
「はッ…………あッ……………あッッ………!」
他人にされるのは初めててなのだろう、手塚が戸惑ったような喘ぎをあげる。
その声がまた色気があって、リョーマは目の前が眩むような気がした。
『グラウンド20周!』そう命令する声と同じ声で、今はオレの前で喘いでいる。
そう思うと、たまらなかった。
「気にしないで、イっちゃって下さいよ……」
そう言って、甘噛みしながら、根元から先端までねっとりと口で扱きあげる。
先端に軽く歯を立てると、
「…………!!」
瞬時、手塚の身体がびくり、と痙攣して、リョーマの口の中に温かな粘液が溢れた。
それをごくり、と余さず飲み込んで、リョーマは口を離した。
手塚のものだと思うと、甘くていくらでも飲めそうな気がした。「えちぜん…………」
射精して少しは理性が戻ったのか、途方に暮れたような声で、手塚が涙をためてリョーマを見上げてきた。
「気にしないでいいっスよ………」
リョーマがにっと笑うと、途端に顔を真っ赤に染めて、手塚が視線を逸らす。
たちまち涙が玉になって目尻からつつっと伝い落ちるのを見て、リョーマは優しくそれを手で拭ってやった。
「ねえ、部長………オレも気持ちよくなりたいっス………いいっスか?」
「………………」
まだ媚薬はかなり効いているようだった。
上気した頬が、ひくり、と震える。
手塚は拒絶しなかった。
「こっち、使わせて下さいよ……」
リョーマがそう言って、手塚の白い双丘の狭間をまさぐってきたとき、瞬時びくっと身体を震わせただけだった。
「………いいっスね?」
確認するように言うと、恥ずかしげに目を伏せて、微かに頷く。
(すげェ…………)
これも媚薬の効き目だろうか?
媚薬だけだとしたらちょっと寂しい気もしたが、それでも千載一遇のチャンスである。
リョーマがこのチャンスを逃すはずがなかった。
手塚の身体を俯せにさせて、リョーマは手塚の双丘をぐいと手で広げた。
「………越前!」
さすがに羞恥が強いのか、手塚が弱々しく頭を振る。
リョーマは素知らぬ振りをして、双丘の奥の蕾を露にした。
そこは、濃い桃色に可愛らしく窄まっており、時折ひくひくと動いてリョーマを誘っていた。
見ただけで頭が爆発しそうになったが、リョーマはぐっと堪えて、かねてから用意して置いたローションをそこに塗りつけた。
「は………………ッッ」
ひんやりとした感覚がしたのか、手塚が身体を震わせる。
指を一本埋め込んで中までよく濡らすと、中の熱い肉壁が蠢動しながらリョーマの指を飲み込もうとしてきた。
(なんか、別人みたい…………)
自分で仕掛けておきながら、リョーマは驚いていた。
あの手塚が、こんなに乱れるとは。
普段品行方正で、乱れた所などほんの少しも見せない分、一旦乱れると激しいのかも知れない。
今の手塚の乱れようは、リョーマの想像を遥かに上回っていた。
指を二本に増やしても、手塚は嫌がらず、僅かに頭を振って、熱い息を漏らしていた。
目元が赤く染まって、黒く長い睫毛とのコントラストが淫らで綺麗だった。
指を三本に増やすと、さすがに手塚が喉を詰まらせて呻いたが、それでもそこはやわやわと柔らかく広がって、指を難なく受け入れてきた。
大丈夫そうだと見てとると、リョーマはもう少しも我慢できなくなった。
さっきから限界を越しているのに、それを必死で抑えていたのだ。
指を引き抜くと、もどかしげにズボンから自身を引き出し、それを手塚の秘孔に押し当てる。
手塚の腰をしっかり掴んで、リョーマは一気に手塚を貫いた。
「………………ッッッ!!」
背中を海老のように逸らして、手塚が喉を枯らして呻く。
さらさらとした黒髪がふぁさっと宙に待って、その残像が綺麗だった。
手塚の内部は、火がついたかのように熱く熟れていた。
肉襞が柔らかくリョーマに絡みついてきて、離すまいとするのを無理に引き抜いて、更に勢い良く突き込むと、その度に手塚が感極まったように身体を震わせる。
(すっげェェ………………!)
あらためてリョーマは、手塚の変貌に驚いた。
「あ……えちぜん………え………ちぜん…………ッッッ!」
譫言のように名前を呼ばれて、ぞくぞくとする。
あの、凛として他を寄せ付けないような手塚を、今自分が貫いて翻弄しているんだと思うと、リョーマはもはや我慢できなかった。
ぐっと深く突き込んで、リョーマは手塚の体内深くに欲望を噴出させた。
頭が真っ白になるような快感とともに、たとえようのない満足感が広がる。
「ぅ…………」
やや遅れて、手塚も二度目の絶頂に達し、白濁した粘液を床に飛び散らせた。夢のような時間が過ぎると、あとは気まずい雰囲気が部屋を満たした。
「ぅ…………ぅ…………っ」
理性がすっかり戻った手塚が、唇を噛んで嗚咽を漏らしているのを、リョーマは困惑して見つめていた。
きっちりと服を着込んで、自分から目を背けて、身体を庇うようにして、手塚が泣いている。
「部長………」
あんまり手塚が泣いているので、リョーマは本当にどうしたらいいか分からなくなった。
「ねえ、やだったスか?」
「……………」
「いいじゃないっスか、オレ達付き合ってるんスから。……あれくらいして当然っスよ?」
「……………」
「部長………」
何を言ってもただ唇を噛んで泣いている手塚に、為す術がない。
「……あんまり駄々こねてると、もう一度犯しますけど、いいっスか?」
「…………!」
途端に手塚が嗚咽を飲み込んで、びくっとしてリョーマを見てきた。
リョーマは軽く溜め息を吐いた。
「ねえ、部長……?」
近寄るとびくりと後ずさる。
「オレ、下手だったスか?」
「………そんな事はない………と思うが………」
リョーマが自信無さそうな顔で手塚に問い掛けると、手塚が真っ赤な顔をして小さな声で答えた。
「オレのこと、嫌いになったっスか?」
「………いや、そういう事も……ないが…………」
「じゃあさ、いいじゃないっスか。………オレ、すっごく嬉しかったスよ? 部長がオレのこと、好きでいてくれるんだなって分かって、嬉しかったっス。……それともあれは嘘っスか? オレのこと、あんなに求めてくれたのに……」
「…………だから、そういう事は………」
手塚の顔が真っ赤になる。
「ねえ、オレのこと、好きっスよね?」
「……………」
「オレ達、付き合ってるんスよね?」
「……………」
「不二先輩と、オレと、全然違うっスよね?」
「…………不二?」
「そう、不二先輩っス!」
リョーマは手塚の顔を見据えて言った。
「不二先輩は友達、オレはアンタの恋人っス! そうっスよね?」
「…………あ、ああ…………」
手塚が頬を赤らめたまま、視線を外して小さく頷く。
リョーマはにんまりと笑った。
「部長、愛してるっス………」
言いながら、手塚の涙で汚れた頬に口付けする。
「……越前!」
困惑したように手塚が言ってきたが、かまわず唇を移動させて、リョーマは手塚の唇を覆った。
「ん……………」
唇はふっくらとしてほんのり甘かった。(媚薬のこと、言うと怒るだろうなあ………やっぱヒミツだね!)
リョーマは心の中でそう思いながら、手塚をそっと抱き締めた。
というわけでリョーマ君は首尾良く手塚を手に入れたのでした。めでたしめでたしv