お気に召すまま 
《終》











何一方、真田と跡部が出て行ったあとの、跡部邸では。
「はぁ……凄かったわぁ…」
隣の部屋の豪華なベッドにだらしなく寝ころんで、液晶テレビの画面を食い入るように見つめていた、忍足がはぁ、と深く息を吐いていた。
なんだか、見ているだけで胸がどきどきして、興奮してしまった。
(それにしても、あの真田があんなになぁ……ちぇ、俺も抱きたかったな)
先ほど、跡部の身体の下で喘いでいた真田を思い出すと、身体が疼いた。
(男やったらなぁ。跡部の後にじゃぁ、俺も、とか言って抱けたんやけどな…)
などと思ったが、考えてみれば、自分が女になっていなければ真田も女にならなかったわけだ。
(跡部のヤツ、ひとりでいい思いばかりしやがる。…あとで俺が男に戻って跡部が女になったら思いきり犯してやるわ)
などと考えながら、ベッドでごろごろと転がっていると、暫くして、
「帰ったぜ」
と、部屋の扉があいて跡部が入ってきた。
「お帰り、なんや早かったんやない?」
「まぁ、柳の家に真田を置いてきてすぐに戻ってきたからな」
跡部がごろり、と忍足の隣に寝ころぶ。
「真田と柳の方は見なかったんか?」
「おい、いくらなんでも見られるわけねえだろ?あの真田がどんな風にお願いして柳に抱いてもらうのか、ちょっと興味はあったがな」
「跡部に興味持たれて、柳もほんま災難やなぁ」
「はっ、お前も真田をさんざん食ったくせによく言うぜ」
肩を竦めた跡部の頭を、忍足はごつん、と殴りつけた。
「いてえじゃねえかっっ、また犯されてえのかよ?」
「今度は俺が犯したるわっ」
などといいながらベッドでじゃれあっているといい具合に気持ちも解れて心地よい疲れが襲ってきた。
「しかし、今日は朝からいろいろあってほんま疲れたなぁ」
ベッドにごろり、と仰向けになってしみじみと言うと、跡部も仰向けになって乱れた髪を掻き上げた。
「俺はあとどのぐらい女のままでおるんやろねぇ」
「さっきも言ったがあと2,3日ってトコだろうな。早ければ明後日には戻るんじゃねえか?」
「まだ明日は女のままなんか…」
「あぁ、そうだな。なぁ、せっかく女のままなんだし、明日も誰か誘って女にしてみねえか?」
跡部が物騒な提案をしてきたので、忍足はぎょっとした。
「な、なに言ってんのや。それって、俺がまた誰かとヤれちゅうことやない?」
「まぁ、そうだが」
「んで、女になった相手を、また跡部が犯すんやろ?たまらんわ」
「まぁ、いいじゃねえか。お前が女になってる間しかできないんだぜ?二度と来ないチャンスだ。凄いことじゃねえか?」
「すごいことって…」











これでは自分は女でいる間中誰かとヤりっぱなしなのではないか、と忍足はかなりぐったりした。
(なんや、跡部にいいように使われてる気がしてきたわ…。跡部が女になったら絶対ヤりまくってやる)
心の中で密かにそう決意して、忍足は眠りに就いたのだった。















終了