拒絶は途中で悲鳴に変わった。
堅い肉棒が容赦なく、後孔を再び引き裂くかのように押し入ってくる。
媚薬の所為だろうか。
精神は拒絶を示しているのに、肉体は挿入された怒張を悦んで浅ましく締め付けた。
まさか、まさか、自分がスクアーロと──。
「…うぅ…ッッ!」
スクアーロはザンザスの両脚を担ぎ上げ、深々と楔を突き入れてきた。
媚薬によって敏感になり、熱に浮かされた身体は、たとえ犯している相手がスクアーロであろうとも、脳の隅まで麻痺するような、たとえようのない肉の悦楽を送ってくる。
「くッ……う、ァ…ッッッ!」
動かない両手をそれでも手首がネクタイに擦れて赤くなるほど動かして、ザンザスは呻いた。
目を開けると、信じられない光景を見てしまうのが怖くて、目を堅く閉じたまま、唇を噛み締め、できるだけ声を出すまい、とする。
「ボス……ボスッッ!」
上から聞き慣れた、しかし、自分が今までに聞いた事のない様な、男臭く、欲に浮かされた声がした。
それがスクアーロの声である事にも気付いて、ザンザスは背筋を震わせた。
確かに今、自分を犯しているのはスクアーロなのだ。
自分の足を広げ、そこに性器を突き刺しているのは。
「…ボス…ッッ!」
濡れた吐息が首筋にかかり、ザンザスはひゅっと息を飲んだ。
さらりとした長い髪が自分の肌を刺激し、流れていくのが分かる。
「う…………ッッ!」
熱い舌にぬるりと首筋を舐められ、耐えきれなくなってザンザスは激しく首を振った。
明らかな拒絶の仕草にも怯むことなく、スクアーロは執拗に首筋を舐め、吸い上げ、同時にザンザスの体内に深く凶器を突き入れてくる。
「く……ッあ、あ、あ……ふッ……うぅ……ッ!」
二度目だからだろうか、媚薬ですっかり身体が支配されているからだろうか。
激烈な快感が押し寄せてきた。
……もっと奧まで欲しい。
疼く最奥を掻き回して欲しい。
無意識に腰をスクアーロの動きに合わせるように動かしてしまう。
はっとしてザンザスは、スクアーロから少しでも逃れるように身体を捩らせた。
が、しかしその僅かな抵抗も、スクアーロがぐっと腰を突き入れる事によって雲散霧消する。
「すげーじゃねーか、いい眺めだぜ。スクアーロ、気持ちいいか?」
ハハッ、と笑う声がすぐ近くで聞こえ、ザンザスはびくりとして堅く瞑っていた瞳を開いた。
自分の顔のすぐ上に、ディーノがいた。
覆い被さるようにして、自分の表情を眺めている端正なハンサムな顔を、ザンザスは半ば呆然と見上げた。
「く……ッボス、ボスッッッ!」
「ちょっと待ったスクアーロ」
スクアーロがザンザスの腰を掴んで激しく動かしラストスパートを掛けようとするのを制して、ディーノがおもむろに着ていたズボンのベルトを外し始めた。
「跳ね馬っ、テメェ!」
「まさかスクアーロだけで許すとか思っちゃいねーよなぁ、ザンザス?ギリギリ、オレまでって事でまぁ大目に見てやるぜ」
楽しげに笑いながらディーノが自分のズボンの前をくつろげる。
中から二人の痴態を見て興奮したのだろう、形良く整ったしかし大きく太いペニスを取り出す。
そうしてザンザスの身体に覆い被さっていたスクアーロの肩を掴んで引き上げさせると、ディーノはザンザスの顔に跨るようにして乗り上げた。
「スクアーロは後からやってていいぜ。オレはザンザスの口を使わせてもらう」
「よ、よせぇっ!跳ね馬ぁっ!」
ディーノがザンザスの口を使うつもりなのが分かって、スクアーロが狼狽した声を上げる。
ザンザスは悦楽に潤んだ深紅の瞳をぼんやりと開いて、眼前のディーノのペニスを見つめた。
つるりとした赤い亀頭の先端から、透明な雫が今にもこぼれ落ちそうである。
それをぐっと唇に押しつけられ、熱い先走りと自分の唇がぬるりと接触して、唇が痺れた。
「口、開けよ…」
顎を乱暴に掴まれ、呆然と、言われるままに口を開くと、間髪を入れず堅い肉の棒がザンザスの喉奧まで一気に突きこまれた。
「ううッッッ…」
「噛んだりすんじゃねぇぜ、分かってるよな、ザンザス」
腰を前後にゆっくりと動かし、ザンザスの咥内に太い肉棒を突き入れ腰を回して咥内を蹂躙しながら、ディーノが言った。
「跳ね馬、よせ、やめろぉ!」
「何言ってんだ、スクアーロ。お前だってザンザスの事犯してんじゃねーか」
「それとこれとは話が別だぁ!」
腰を落としてザンザスの咥内にぐっと深くペニスを入れると、喉奧とペニスの先端が触れ合って、ザンザスは激しく咳きこんだ。
「ボスが苦しがってる、やめてくれぇ!」
「じゃあスクアーロ、そっち代わってくれるか?それなら我慢してやってもいいぜ?」
ディーノが肩を竦める。
瞬時スクアーロは何とも言えない表情をした。
が、眉を寄せ唇を噛んでザンザスの内部に深々と突き刺していたペニスを引き抜いた。
「へぇ…自分でイかなくていいのか?お前、ザンザスの事好きなんだろ?」
「テメェ、ボスの前で何言ってやがる!」
「憧れのボスをヤる事ができて、気持ちいーんじゃねーのか。いいのか、イかなくて?」
スクアーロが俯く。
「ハハハッ、純愛ってのも悲しいもんだなー。じゃ、オレが代わるぜ?スクアーロ、ちょっと退けよ」
スクアーロを突き飛ばすようにして退かすと、ディーノはザンザスの腰を無造作に掴んで裏返し、四つん這いにさせた。
両手が拘束されているので、ザンザスは腰だけを無様に高く上げ、後孔を高々と晒した霰もない格好となった。
「くッ……うぅ……ッッ!」
ディーノのものはスクアーロよりも大きかった。
太く堅い怒張が、ずぶずぶと容赦なく押し入ってくる。
ずうん、と重い衝撃が背骨を駆け抜け、震えるような快感にザンザスは息を詰めた。
「ザンザス、スクアーロっていいヤツだよなぁ?」
ぐっと腰を突き入れ、引き抜き、すぐにまたアナルを引き裂くような勢いでディーノがペニスを突き入れてくる。
そうしながらディーノはザンザスに覆い被さり、背後から優しげな口調で囁いた。
「どんな時でもお前の事考えてるぜ、スクアーロは。知ってるか?スクアーロはお前の事が好きなんだ。お前が8年間いない間もずうっと好きで待ってたみたいだぜ。お前、気付いてなかっただろう?今だって、お前が可哀想だからって、お前を見ていられないからって、自分からお前をヤるって言い出したりしてさ。本当は誰よりもお前の事大切に想ってるスクアーロだから、こんな形でお前を犯したくなんかなかったんだと思うけどな。お前っていい部下持ってると思わねぇか、ザンザス?」
「ううッ……くぅ……ン……ッッ!」
容赦なく突き上げられ、頭の中がぐずぐずと崩れていく。
理性が吹き飛び、快感という名の麻薬が脳内を浸す。
ザンザスは力無く首を振った。
「スクアーロってホント健気だよな。お前に尽くしきってねぇか?そう思うだろ、ザンザス?スクアーロ、イってねぇんだ。好きで好きでたまらねぇお前とやっとセックスできたっていうのにな、途中で我慢しやがって。可哀想だと思わねぇか、ザンザス?」
中の感じる部分をぐりっと抉られて、ザンザスの背中がしなやかに反り返る。
「ザンザス……スウアーロを口で慰めてやれよ。さっきオレにしたみたいにさ?できるだろ?」
ディーノが背後から囁いてきた。
「お前の忠実な部下にそのぐらいしてやってもいーんじゃねーの、なぁ?」
固く閉じていた瞳をうっすらと開いて、ザンザスはゆっくりと背後を振り返った。
ディーノの琥珀色の瞳が笑っていた。
その隣に呆然と立ちすくむスクアーロが見える。
「手、外してやるからスクアーロを呼べよ、ザンザス」
ディーノが覆い被さり、ザンザスの両手首をきつく縛っていたネクタイを外してきた。
きつく縛られていたせいか、痺れの残る手をベッドについて、ザンザスは震える身体をなんとか引き起こした。
ディーノの言葉が頭の中でがんがんと鳴り響く。
快感に侵された頭では、既に正常な判断はできなくなっていた。
ただ、がくがくと身体を揺さぶられながら、全身を仄かに上気させ、傷跡を浮かび上がらせたセクシーな肢体をひねって、スクアーロを見る。
「カス、……来い…」
「ボス………」
ザンザスの声に、まるで雷にでも打たれたようにスクアーロがびくっとする。
それから操り人形のようにぎくしゃくとした動きで、ザンザスの方に近寄ってきた。
「そう、ザンザス、ものわかりがいいじゃねーか。スクアーロの事慰めてやれよ」
ディーノの声が聞こえた。
ふらふらと蹌踉めきながら、スクアーロがベッドに上がってきた。
四つん這いになったザンザスの目の前にスクアーロが膝立ちでにじりよってくる。
さらりとした銀色の長い髪が揺れて、顔を上げるとスクアーロの美しい銀蒼の瞳と視線があった。
呆然とした瞳が懐かしかった。
綺麗だと思った。
スクアーロが自分を好きだとディーノは言っていた。
そうなのか……と、ザンザスは殆ど働かない頭で思った。
自分の頭も既におかしくなっていたのかもしれない。
普段なら絶対に考えそうにない事を、…スクアーロとヤってもいいと、思った。
自分に忠誠を誓い、今もこうして自分の事だけを想っている彼を、なんとしても元の地位に戻して、そしてスクアーロが望むなら、自分の身体ぐらい、投げ出すのは容易いと思った。
「スクアーロ……来い…」
再度呼ぶと、スクアーロがふらふらと近寄ってきた。
先程までザンザスの内部に挿入されていたペニスが、腹に着くほどに反り返って、鮮やかな桃色の先端部分をつやつやと光らせていた。
先走りがつっと垂れ、形の良い先端をつたっていく。
誘われるようにザンザスは口を開いた。
熱くぬめる弾力のある亀頭を口に含み、舌でざらりと舐め上げながら深く咥えこむ。
「ボ、ボス……うッッッ!」
スクアーロの上擦った声が上から降ってくる。
何故か身体がかっと熱くなって、ザンザスはまるで酒に悪酔いでもしたかのようにくらりとした。
「そう、いい感じじゃねーか、ザンザス。スクアーロ、嬉しいだろ。お前の愛しいボスが奉仕してくれるぜ?」
背後から内臓を押し上げられて、その衝撃でスクアーロの怒張に歯を立てる。
「くっ、ボスッッ、…ボスっ……ッッ!」
腰がびくんと跳ねて、口から堅いペニスがこぼれ落ちそうになり、ザンザスは逃げかける肉棒を深く飲み込んだ。
四つん這いの犬のような体勢で、唇の端から涎を零し、はぁはぁと浅ましく息を荒げ、後からは同盟ファミリーのボスのペニスを挿入され、口には自分の部下のものを咥え込んでいる。
そんな異常な状態も、今のザンザスにはもはやどうでもよくなっていた。
全身が熱く沸騰し蕩け、下半身はどろどろに掻き回され煮えたぎり、得も言われぬ快感が脳内を席巻する。
涙に潤んだ眸を上げれば、自分を見下ろすスクアーロの銀蒼の眸も情欲に掠れていた。
食いつくような視線にぞくりとなる。
自分が既に分からなくなっていた。
こんな事を───とは思っても、それも何もかも霧の中に霞んでいくようだった。
「ザンザス……気持ちいいだろ?オレはやさしーから、お前の事、わざわざオレからボンゴレの方に願い出て処分を一任させてもらったんだ。その処分がこれだ。嬉しいだろ?」
「テメェ、ボスになに言うんだぁ!」
「スクアーロだって、嬉しいだろう?念願のザンザスとヤれたんだぜ?あぁ、やっぱり後からイきてぇか?ちょっと待ってろよ…」
ディーノがザンザスの尻を強く掴むと、一気に動きを激しくした。
「ハッ……あ、あぁッッ……く、……っう……ハッ……あ、あァッッッ!」
後から勢い良く突かれ、ザンザスは咥えていたスクアーロの雄を吐き出して呻いた。
がくがくと揺さぶられ、腰から下がディーノと溶け合って名状しがたい悦楽が脳を支配する。
体内に熱い粘液が叩きつけられる。
それを感じてザンザスは顎を仰け反らせて全身を震わせた。
「ほら、スクアーロ、こっちに来いよ。ザンザスが待ってるぜ?」
ずるっと引き抜かれる感触と、体内に孔がぽっかりと空いた感触。
そこから熱い液体が内股に滴り落ちていく感触。
びくびくと身体を痙攣させ、紅の双眸を閉じて耐えていると、尻にさらりとした髪が当たった。
「ボス……」
スクアーロのペニスがひたり、と押しつけられる。
熱く堅い鋼鉄のような肉棒が、とろけきった腸壁を抉って突き入れられる。
「く…あ、あぁぁァッッッッ!」
激烈な快感だった。
堪えきれずザンザスは顔を激しく振りシーツに押しつけて喘いだ。
ぐりぐりと内部を侵食され、自分が甘く崩れていく。
内部の一点を抉られ、ずきん、と痛みにも似た衝撃が走り抜ける。
「ザンザス……気持ちいいだろ?オレに感謝してぇだろ?」
「……ディー、ノ……」
「お前はスクアーロに可愛がられてるのが一番似合うぜ?スクアーロは自分からはどうしても行動に出られなかったようだけどな…。こうしてスクアーロとできてるのがオレのお陰だって分かるだろ?」
「………」
「まぁ、お前等がボンゴレに戻っても、オレも偶にはお前をヤらせてもらうかな…オレだって、お前の事好きなんだしな…?」
ディーノの言葉も既にザンザスの頭には入ってこなくなっていた。
スクアーロから与えられる肉の快楽にひたすら酔いしれ、焦点の定まらない深紅の瞳を茫洋と開き、肉厚の赤い唇からは涎を垂れ流す。
尻だけは別の生き物のように激しく動かして、スクアーロを貪る。
背後から前立腺を刺激され、ザンザスのペニスは左右に激しく頭を揺らしながら先走りをシーツに飛び散らせていた。
「ボスっ……も、うッッ!」
スクアーロの切羽詰まった声と共に動きが更に激しくなった。
既に肘を突いている事ができず、ザンザスは上半身をベッドに突っ伏してスクアーロに揺さぶられていた。
羽根飾りもグチャグチャに乱れ、涎がこびりついて濡れている。
スクアーロが一際深く内部を抉ってきた。
目の前が真っ白になった。
息が吐けず、ザンザスの脳内は急激に酸素不足となる。
全身が熱く沸騰して、そのまま昇天していきそうだった。
もう何も考えられない。
自分たちがこれからどんな関係になってしまうのか。
スクアーロとの関係も、ディーノとの関係も。
何もかも。
血流がぐっと自分のペニスを押し上げ、陰嚢から尿道に向かって勢い良く熱いものが奔流となって迸っていく。
真っ白になった視界に、光が散った。
眩いそれに包まれて、ザンザスは意識を手放していった。
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