◇ある日の午後  2







うわぁ、二人きりだとこんな声出すんだー。
あのいつもの濁声のどこからこんな声出してんだっていうような、ちょっと高めの声。
王子びっくり。
ボスもいつもより興奮してんのかな。
そのままボスはスクアーロを机の上に仰向けに押し倒してきた。
机を背面にしてボスの膝に乗っていた形だから、腰から上が机に倒れてきたって感じで。
さっと銀髪が机に広がって、滝のように流れ落ちる。
きらきらと光って、ちょっと綺麗で見とれた。
「あ、…あ、ン…ボス……ひぁ…ンッ」
ってさ、スクアーロの声がいやらしくて、王子の方が赤面しちゃうよ。
王子、こんなの近くで見た事ないもん。
スクアーロは隊服の釦外されて、すっかりはだけられちゃってた。
胸にボスの顔が覆い被さってくる。
乳首をボスに舐められてる。
……気持ち良さそう。
布の隙間から机の上を窺って、猫のように身を縮め息を殺す。
微かな息づかいと、衣擦れの音。
銀髪がさぁっと流れて動く光。
腰のベルトを外す音も聞こえる。
カチャカチャと金属音がして、スクアーロの脚が持ち上げられた。
ブーツとか脱がすのめちゃくちゃ大変そうだと思ったら、そこまでは脱がさないんだ。
尻だけ剥き出しにさせたみたい。
上着ははだけられ、尻を出した格好。
こういうのもいやらしくていいね。
ボスが机の引き出しからなんか取りだしてスクアーロの股間で手を動かしてる。
スクアーロの脚が中で不安定に揺れる。
「あ、あッ、ボス……ッッひ、あぁぁッ!」
グチュ、ってちょっと湿った音がして、それからちょっとの間二人でごそごそやっていて、その後スクアーロが甲高い声を上げた。
ボスがぐっとのし掛かってリズミカルにスクアーロを揺さぶり始める。
うわぁ、ホントに生本番だー…。
オレの寝転がっているソファからは、結合部分は残念ながら見えないけど、スクアーロの仰け反った顔とか、ボスが覆い被さっている様子とか、スクアーロの高く掲げられたブーツを履いた脚とかが見えた。
机がぎしぎし言って、ぐちゅぐちゅとすっごくいやらしい音も響いてくる。
スクアーロは、目をとろんって虚ろに開けて、唇を半開きにして、鼻に皺寄せてた。
気持ちよくて死にそうってのを顔で表してる。
ああいうのアヘ顔っていうんだろうなあって思うけど、スクアーロのアヘ顔は絶品だった。
色っぽくて可愛くてびっくり。
ボス、こういう顔見てるわけかー…。
──感慨深い。
オレ、ちょっと遠い目になっちゃうかも…。
「あ、あっあっンあ……ヒッ、ボ、スッ……も、ッッンンう゛─ッッッ!」
ゆさゆさ揺さぶられてスクアーロの脚がひくひくする。
自分からも腰を突き出してるみたいで、机の上でずるずる上体を前後に動かしている。
はだけた胸に覆い被さったボスの黒髪もなんかそそる。
机の端を掴んでいたスクアーロの腕が、ボスの頭を抱え込むようにして抱き締めた。
「ヒッ、あ……アッァツ……も、ぅッイくッッッッ!!」
がくん、とスクアーロが更に顎を仰け反らせた。
きゅっと目を閉じて唇から涎を流してる。
すっげー……!
王子、写メりてぇ!
一瞬スクアーロがぱっと目を見開いて、それからぎゅっと瞑った。
びくんびくんと身体が痙攣してる。
イったんだろうなー。
ボスもイったらしくて二人して動きが止まって、スクアーロは暫く息を止めたたみたいだけど、それからひゅっと音が出るぐらい息を吸って全身を弛緩させた。
「ンン─…ぁ、ン……ザ、ンザス……」
うわ、と、ちょっとフェイントだろ、その声。
スクアーロの濡れた甘え声とか初めて聞いたしー。
ちゅっちゅっとキスしてるらしい音も聞こえる。
なーんだ、ラブラブなんじゃん。
いや、ラブラブで大いに結構なんだけどさ。
「…今日はどうしたぁ?いつもより優しいじゃねぇかぁ?」
あ、そうか、オレが見てるからラブラブしようにしたのかな?別にバイオレンス路線でいいのにな。
「煩せな。…ほら、出てけ…」
「ン……ボス、また夜なぁ?」
えー、夜にもまたなのかよ!
さすが大人は違う。
っていうかボスのエネルギーが凄いのかな…
再びごそごそと何か拭いたり身支度してる音がして、机の上に仰向けになっていたスクアーロが立ち上がる。
頬がちょっとピンク色になっていて全然色つやが違う気がする。
ボスがスクアーロを引き寄せて首筋に長いキスをして、それからスクアーロが入ってきた時とは微妙に違って少し足取りがふらって感じで出て行った。
スクアーロが完全に出て行ってから、オレはソファから顔を起こした。
ちょっとくらっとした。
「はー……ご馳走様…」
「褒美はやったぞ?」
「うん、ありがと、ボス」
「ハッ……酔狂なやつだぜ」
なんて、ボスが上機嫌。
やっぱり見せるの好きなんだろ、ボス。うん分かる。
あのスクアーロならみんなに見せて自慢したくなるのも分かる。
しかもボスにぞっこんだもんね、スクアーロのやつ。
っていうかさ、オレもちょっと酔ったかも。
大人の世界って凄いよ、王子ついていけなさそう。
ふらふらしながらボスに礼を言って、オレも部屋を後にした。










そのまま自室に帰るのもなんとなくおさまりがつかなくて、暫く廊下歩いてフラフラしてから談話室に寄ったら、スクアーロがいた。
「あらぁベルちゃん、あなたもお茶飲んでかない?」
談話室にはルッスとスクアーロ、それにマーモンが居た。
「う゛お゛おぃベル、今までどこにいたぁ?」
(どこにって、……お前があんあんよがっててるとこ見てたんだけど…)
ちらっとスクアーロを見る。
いつものスクアーロに戻っている。
けど、首筋に新たについたキスマークをオレは見つけた。
さっきまでボスに突っ込まれてあんな声出してたくせにー…。
いやらしいよな、コイツ……。
さっきの顔と今の顔と──結構ちゃんと使い分けてるところがスクアーロらしくなくてオレは少しむっとした。
もっとスクアーロはこう…抜けててもいいと思う。
あんな大人で色気のある顔持ってるくせに、オレ達に全然見せてくれないなんて…
って、あれ、オレちょっとボスに嫉妬してる…?
まさかね…。
「別にー…先輩、首に新しい痕ついてるぜ?」
「う゛お゛…」
スクアーロが狼狽してばっと首を押さえるのを見ながら、オレは鼻で笑ってスクアーロの隣にぼすっと腰掛けてスクアーロの頬を撫でてやった。









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