◇Vacation 8   







「そ、そうだね…。じゃあ、って恥ずかしいからあんまり見ないでよ?」
などと口では言いつつもやはり酔って羞恥心も薄れているのか、恥ずかしげにしながらも綱吉がズボンのベルトを外して、中からペニスを取りだした。
体格に似合って可愛いらしいものではあるが、十分に育った健康的なものだ。
「おいドカス、四つん這いになってやれ。綱吉じゃ体格が厳しいからな、脚持ち上げるより後ろからのがらくだろ」
「うわ…ザンザスって気配り人間なんだね、知らなかったよー」
もごもごと頬を染めて言いながら、綱吉がベッドに上がった。
スクアーロの視界に再び誰かが入ってきた。
四つん這いになれ、というザンザスの声がうっすらと聞こえる。
数度瞬きをすると、視界に入ってきたふんわりとした髪がはっきりと見えた。
(…………)
いや、視界に入ってきた人間が誰かは分かる。
分かるのだが、それがどうこう、という所までは繋がらない。
とにかく、もう少しで達しそうなこのどうしようもない疼きを沈めてくれる相手である、という事だけは分かる。
四つん這いになって尻を出せば、それをしてくれるのだ、というのも朧気ながら理解できる。
(………)
スクアーロはのろのろと身体を転がして、俯せになった。
ちょっとでも動かすと、尻がぐずぐずと疼いてたまらなくなる。
身体中にかかった白濁の匂いにも、興奮がかき立てられて苦しい。
乱れてよじれた髪の毛もうっとうしく、それでいて早く、この疼いて爛れた粘膜を引っかき回して欲しくて、尻を上げる。
「あー……ン……ん゛ん゛……」
「すげー……。なぁ、ザンザス、スクアーロってさー、セックスをするとこういう風になっちゃうのか?」
「まぁ、今日は強力な媚薬を使ってるから特別だ。だがドカスは結構快楽には弱いから、常にこういう感じではあるな」
「いいなー…。最高じゃねー?いつもは強くてさ、格好良くて理想なのに、エッチの時は反対に可愛くて色っぽくてって……やっぱりすげー!」
山本の感嘆の声にザンザスが機嫌良さそうに笑う。
褒められて嬉しいらしい。
「ハッ…、まぁな」
まんざらでもなさそうに鼻で笑って、ベッドの上のスクアーロと綱吉を見守る。
「うわぁ……、じゃあ、入れるね?」
恐る恐る綱吉がスクアーロの震える腰を掴んできた。
「――あ゛あッ!」
「うわっ!」
腰を掴まれただけで感じてしまってスクアーロが上げた悲鳴に、綱吉がびくっとする。
「い、痛い…?」
「ち、違うって…早くしろぉっ…、ぁ、ァ、も.もう、駄目だぁッッッ……は、やくっっ!」
「う、うん…」
とにかくスクアーロは中の疼きに耐えられない。
尻を上げて強請るようにその尻を揺らす。
真っ白な形の良い綺麗な尻が眼下で揺れる。
柔らかくすっかり解れた桃色のアナルがひくひくとぬめった鮮紅色の粘膜を覗かせながら口を開き、開いては締まり、そのたびにくぷ、と山本の流し込んだ白濁が溢れてくる。
それは表現できないほどに淫靡で、性体験のない綱吉には、その光景だけでもイってしまいそうな刺激だった。
「じゃ、じゃあ…」
ごくんと唾を飲み込んで、スクアーロの解れた蕾にペニスを押しつける。
先端が触れ合うと、熱く濡れた粘膜がやわやわと歓迎するように絡みついてきて、綱吉はもう我慢できなかった。
「―ごめんっ!」
一気に根元までずぶっとペニスで貫く。
「あああ゛ぁーッッッ!」
大きさや長さは前の二人に劣るとはいうものの、堅さは遜色がない。
やはり日本人。
更に丁度いい感じに綱吉の長さがスクアーロの前立腺を的確に突いてきて、スクアーロはびくびくと背中を反り返らせて銀糸を振り乱した。
「ひっあ、ううッッッ……くっっっ……!!」
死にそうな程に気持ちがいい。
感じる部分をひっきりなしに擦られる。
ひいては突き、突かれては引き、そのたびに前立腺が確実に抉られる。
間断なく責められて堪えきれず、スクアーロは全身を突っ張らせた。
「うあぁ……あ、あっあっ!」
ピュッと薄い白濁がスクアーロのペニスからほとばしり出る。
さすがにもう殆ど出る物がなくなってしまったらしい。
それでもまだ更に前立腺を擦られて、スクアーロは息も吐けなくなった。
腰が、背中が、全身が痙攣する。
綱吉が突き入っている所から脳髄まで、びりびりと電撃がひっきりなしに走り抜けて、脳内が全て感電したようになる。
唇を強く噛んで必死に耐えるものの堪えきれず、スクアーロはがくりと上体をベッドに突っ伏した。
「ご、ごめんねっ、でも、もうちょっと……イきそう…も、イくよっっ!」
初めてセックスをする綱吉は自分の快楽を追うのに必死だ。
スクアーロの腰を掴んで引き寄せてはずぶずぶとペニスを突き入れ、腰を引いてはまた突き入れる。
「んっ……!」
短い呻き声を上げて綱吉がスクアーロの中に射精した時、スクアーロは既に意識を殆ど失い、全身をぴくぴくと痙攣させながら忘我の快楽に浸っていた。










全身が気怠い。
目を開けて太陽を見ると、どことなく世界が黄色かった。
(やりすぎだぁ……)
立っているだけでもふらつく。
「おい、ドカス、しっかり立ってやがれ。みっともねぇぞ」
「あ゛あー?アンタが好き放題させたからじゃねぇのかよぉっ…」
そこは空港で、スクアーロとザンザスはこれから帰る所だった。
あの後、スクアーロは気を失ったまま、寝てしまったようで、起きた時にはもう山本と綱吉はいなくなっていた。
ついでに言うとザンザスもいなくなっており、その次の日一日スクアーロはベッドで呆けていた。
夜になってザンザスが戻ってきて、漸く身体を起こしたものの、やはりふらつく。
なんとかべたべたした身体を洗い、清潔な方のベッドに転がり込んでまた寝る。
そしてその次の日はもう帰る日だった。
寝ている間にザンザスは用事を済ませてきたらしい。
寝ていた日一日殆ど何も食べず水ぐらいしか飲んでいなかったスクアーロは、空腹もあって本当にふらふらだった。
「大丈夫か、スクアーロ?セックス好きもいいんだけどさ、あんまりそっちにばかり張り込んじゃだめだぜ?」
「あ゛あっ!誰がセックス好きだよ、テメェだろうがぁっ!好き放題しやがってくそっ!なんでこのオレが…テメェとか綱吉とかにやられなくちゃならねぇんだぁっ、くそぉっ!」
忌ま忌ましさに舌打ちをして、ぎょろりと山本を睨む。
が、セックスの時の忘我の表情など可愛いらしい仕草をつぶさに見ている山本や綱吉には、もう、スクアーロの脅しや恫喝は全く効かなかった。
「ははっ、ホント普通にしてっと怖いのになぁ、なぁ、ツナ?」
「うん、ホントだねぇ、スクアーロってホントすっごい表と裏があるのかな?」
「いや、表と裏ってのは良くない事に使うんだぜ。そうじゃなくて、スクアーロは剣士としても格好いいし、エッチも最高ってことだよな」
「そうだね、ほんとすごい才能だよ」
(はー……才能だとぉ…?)
実を言うと、媚薬のせいであまりよく覚えていない。
自分がどんな醜態を晒したのか、と考えるだけで頭に血が上る。
とともに、どうしようもない羞恥でスクアーロは俯いてしまった。
「ははっ、ンなに気にすることねーって、スクアーロっ。セックス好きで上手って事は誇らしいことだと思うぜ、なぁツナ?」
「うん、そう思うよ。ホントスクアーロってすごいと思う。オレ、スクアーロ最初に見た時もすげーって思って怖かったけど、今も別の意味ですごいって思うし。ねぇ、ザンザス?すごいよねぇ?やっぱりさぁ、暗殺部隊のナンバー2っていうかさ、本当、ザンザスの次ってのが分かるね」
「うん、本当だなー」
(あ゛ァ?何馬鹿にしてんだぁ、こいつらっ!!……つうか、いつの間に3人で仲良くなりやがったんだぁ?)
「ねぇねぇザンザス、また今度日本に来たとき、4人で遊ぼうね?」
(ああぁー?)
にこにこしながら綱吉がとんでもない事を言い出したので、スクアーロはぎょっとした。
「じょ、冗談じゃねぇぞぉ!」
「おう、そら悪くねぇな。そういえば今回は縛ったりなんだりしなかったな。山本、お前結構好きだろ、そういうの」
「うん?あぁ、好きだぜ!ツナもだよな?」
「うん、緊縛だね?」
「よし、じゃあ次はその辺で楽しむか?悪くねぇな」
「テメェらっ、いい加減にしやがれぇっ!」
「おい、スクアーロ、ボンゴレ10代目がお望みなんだ、テメェまさか逆らう気じゃねぇだろうな?」
「ぐぐ…」
「ははっ、まあスクアーロだって表向きそうやって言ってないと、自分から好きっては恥ずかしいよな、なぁ?」
「そうだよね、ホントは好きなんだろうけどさ、それを言わないってのが奥ゆかしいんだよ」
「テメェら勝手な事言ってんじゃねえっ!」
「そろそろ出る時間だ。ドカス、きちんと立ってろ。いくらセックス好きでも昼間しゃんとしててもらわねぇとな」
「オレがいつセックス好きだなんって言ったぁ。好きなのはテメェらだろうがっ!」
「じゃあまたね?次も楽しみにしてるよー?」
「あぁ、オレも楽しみなのなー!」
などと勝手なことを言われてがくりと落ち込みつつ、スクアーロはしおしおとザンザスの後についてイタリアに帰って行ったのであった。








back