「了解だぁ、ボスさん」
「や、やめてよっ、スクアーロ!」
「お前が嫌がらなければ腕解いてやるぞぉ?」
「嫌がらなければって、嫌だって…!」
「じゃあ駄目だぁ…」
スクアーロがのんびりした声で笑う。
山本は眩暈がしてきた。
絶対この二人はおかしい。
いや、もしかしてイタリアではこういうのは普通なのだろうか。
日本と違って、イタリアは性にオープンで進んでいそうだし…こういうプレイもありなのかも知れない。
けれど、自分は日本人だし、なんといってもまだ中学生だ。
こんな、大人二人、しかも男に迫られて、というか、どう考えてもこの状況はハードすぎる。
「スクアーローっ!」
涙声になって助けを求めたが、スクアーロはふっと鼻で笑うだけだった。
「往生際が悪いぞぉ、山本…」
「ドカス、山本のを少し扱いてろ」
ザンザスが鷹揚に言って、ベッドに仰向けに寝転がった。
「お゛ぉ、了解だぁ、ボスさん」
「…うぁぁっ!」
スクアーロがしなやかな指で山本のペニスを無造作に握ってきたので、山本は思わず悲鳴を上げた。
先程達したばかりだというのに、ひんやりとした指に扱かれて、あっという間に腰が重くなる。
(な、なんで、オレっ…もう、やだ…!)
と思うのに、自分の股間はもったりと膨れ、むくむくと頭を擡げてくる。
しかも、それを自分の尊敬し敬愛する師匠のスクアーロが扱いているのだ。
頭の中がどうにかなりそうだった。
というよりはもうどうにかなっているのかも知れない。
自分はかなり環境に順応できるタイプだし、どんな時でも比較的楽観的だ。
思いも寄らない状況に陥ってもなんとかなるとか構えていることも出来る。
が、そんな自分でもこの状況はさすがに狼狽するしかなかった。
しかも、狼狽しつつもペニスはまた勃起してすっかり大きくなってしまったのだ。
(オ、オレのばかっ!)
と自分を叱咤するがどうにもならない。
「ふっ、もう大丈夫みてぇだな…」
仰向けに寝て二人の様子を両手を後頭部にあてて余裕綽々で見ていたザンザスが薄く笑った。
「あぁ、ボスさん、もういいぞぉ?どうする?」
スクアーロの言葉にザンザスが上体を起こす。
ベッドヘッドからローションの瓶を取ると、とろりと透明な液体を掌に垂らし、その手を尻へと持って行く。
指がザンザスの尻の間に埋まっていくのを、山本は呆然と眺めた。
すごく、いやらしい光景だ。
太く逞しい、ザンザスのペニス。
仰向けで、足を大きく開いて、自分に見せつけるようにしているので、山本からはザンザスの秘部が余すところなく見て取れた。
――ペニスは、ものすごく大きかった。
太くて硬そうで、えらがはっていてびくびくと脈打っている。
イタリア人だから特に大きいのか、それともザンザスが大きいのか…。
スクアーロはどうなんだろうか…などとつい考えてしまって、山本は赤面した。
自分の尊敬する師匠の股間を想像するなど…しかし、今、その師匠にこうして拘束されて、しかも自分のペニスを扱かれているのだから、この異常な事態では、何を考えてももうオーケーな気もしてきた。
目の前にはザンザスのペニスがどーんという存在感を持って迫っている。
ペニスの下は、これまた大きな陰嚢が、形良く納まっている。
その下、ひくひくとひくついてぱくぱくと開閉を繰り返している色の濃いアナルを、山本は半ば呆然として眺めた。
綺麗に揃った襞が締まったり緩んだりしている。
無造作にそこに、ザンザスが指を突き入れている。
グチュグチュと淫猥な音を立てて指が入ると襞がきゅっと締まり、指が引き抜かれる時にめくれ上がった内部が垣間見える。
てらてらと濡れ光る粘膜に、背筋が震えるほどの興奮を感じて山本は狼狽した。
ザンザスの股間を見て、興奮するなんて……!
あんなに怖い相手なのに。
でも、その粘膜の濡れ光る様子を見た瞬間、自分のペニスがドクンと脈打って、スクアーロの手から飛び出た。
「ボスさん、山本もう準備いいぞぉ?」
スクアーロが相変わらずのんびりした声で言う。
「オレの方もだな。よし、じゃ、そのまま山本押さえてろよ?」
「了解だぁ」
「ちょ、ちょっと待った!ってやだよっ、スクアーロっっっ!!」
悲鳴を上げるが、泣く子も黙るヴァリアー暗殺部隊のボスと副官二人だ。
自分の悲鳴なんざ子守歌ぐらいにしか聞こえないのだろう。
スクアーロに仰向けに押さえ込まれ、自分の腰を跨いでザンザスがのし掛かってくる。
(…………っっっっ!!!)
熱く熟れた粘膜に自分が包み込まれていく、表現しようのない、蕩ける感じ……。
熱くて、火傷しそうなのに、どこかすうっと溶けて心地良い。
弾力のある粘膜に押し潰されそうなのに、反対に吸い込まれて膨れ上がっていく…。
「……あ、――ぁ、あー………っっ」
山本は力無く声を上げた。
何と言っていいのか分からない、例えようもない感触だった。
こんなのは生まれて初めてだった。
自分の手とも違う、スクアーロの手とも違う、ザンザスの口の中とは熱さは煮ているけれど、でもこの、押し潰されるような圧力と、反対に膨らんでいくような吸引力……。
「や、あ…あ、……――っっっっ!」
絶頂はあっという間だった。
きゅうっとペニスが吸われて蕩ける、と思った瞬間、強く潰されてぞくっと背筋が硬直する。
目の前が一瞬眩んで、全身から力が抜ける。
自分を跨いで深々と腰を下ろしていたザンザスが唇端を歪めて笑った。
「ハッ、…早ぇな、山本。…もう、イったのか?」
「…………」
軽蔑したような口調だったが、反論も何もできなかった。
脳味噌がぐずぐずに溶けるような快感に、山本は呆然としていた。
―――凄かった。
セックスがどういうものか、山本だって興味が無いわけではないし、その手のAVなどを見て興奮する普通の少年だ。
きっと気持ちいいんだろうとは思っていた。
経験したいとも思っていた……。
けれど、この、魂まで吸い取られるような感じは―――…。
これはきっとザンザスだからだ…。
気持ち良くて麻薬のようにも思えた。
唐突に怖くなって、山本はじりじりと後退った。
ザンザスがずるりとペニスを抜いて腰を浮かせたのを幸い、後退ってベッドからずり落ちる。
ドサッ!
頭から落ちてしたたか後頭部を打ったが、そんな事気にしている余裕もなかった。
怖くて、震えてきた。
「ゔお゙ぉい、山本、……大丈夫かぁ?」
さすがに山本の様子が変だと思ったのだろう、スクアーロが声を掛けてきた。
「ボスさんよぉ、ちっと山本には刺激が強すぎたみてぇだぞぉ、どうするぅ?」
「はっ、まだ子供だな…っ、しょうがねぇ、ドカス、テメェ殴っとけ」
「了解だぁ」
―――ボカッ!!
突如目の前に火花が散った。
視界がくるくると回る。
何がなんだか分からないうちにスクアーロに急所を的確に殴られて、山本は一瞬にして気を失っていたのだった。
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