◆スクープ☆ヒーロー恋愛事情◆ 10









「そんな風に誘われたら、もう我慢できませんよ…」
押し殺した声に身体が更に熱くなる。
その熱がそのまま下半身を直撃する。
堪えきれなくて、股間をもじもじとバーナビーに擦りつける。
バーナビーが眉をぐっと寄せて、それから決断したように顔を上げ、虎徹の着衣を脱がせてきた。
着ていたスーツに手を掛けて肩から滑らせ、下に着ていたシャツももどかしげに脱がしてくる。
スラックスのベルトも外され下着ごと脱がされて、虎徹は全裸になった。
全裸になると、さすがに恥ずかしくて、虎徹はベッドの上で局部を隠すように身体を丸めた。
バーナビーが一度ベッドから降りると、自分の服を乱暴に脱いで床に放り投げる。
「ちょっと待っててくださいね…」
上擦った声とともに、バーナビーが一度寝室を出て、すぐに戻ってきた。
顔を上げてみると、手には調理の際に使うオリーブ油の小瓶があった。
「こんなのしかないですけど…ごめんなさい。我慢してくださいね?」
「………」
それを何に使うのか分かって、虎徹は瞬時顔を赤らめた。
「い、いいから…。バニー、早く…」
そんな気を遣わなくても良かった。
それよりもバーナビーと早く一つになりたかった。
「身体、大丈夫ですか?」
「あぁ、だんだん薬が切れてきたみたいだ…もう大丈夫だ…」
そう言って両手を伸ばすと、ダイブするようにバーナビーが虎徹の身体の上に重なってきた。
もう一度、キスを交わす。
素肌同士が触れ合う。
肌表面が敏感になって、バーナビーの存在を皮膚でも感じているようで、触れ合った部分にびりびりと甘い電気が走る。
「ぁ……んっ…ぁ…」
堪えきれず短く呻くと、バーナビーが、
「そんなに煽らないでください、僕も余裕がありません」
と切羽詰まった声で言ってきた。
なんとなく可笑しくなって虎徹はまだ涙目のままくすっと笑った。
「何、笑ってるんですか?」
バーナビーが拗ねたような物言いをしてくる。
「ん?だって、幸せなんだもんな…」
そう言ってバーナビーの頬に自分の頬を擦りつける。
「虎徹さん…」
バーナビーが虎徹の股間をきゅっと握ってきた。
「ぁ…う…っ…――っっ…」
握られてズキッと痛いような、居ても立っても居られないような疼きが腰骨の内部を走り抜け、虎徹は思わず呻いた。
「本当はあなたの事をじっくり抱きたいんですけど、すいません、僕ももう余裕がないです…」
自分も全く余裕が無かったが、それでもバーナビーの上擦った声に思わず笑みが零れた。
バーナビーがそんな切羽詰まった声を出すなんて、思いもしなかった。
いつも彼は年齢よりずっと大人びていて冷静で、余裕のない表情などした事がなかったのに。
「うん、俺も。……俺も余裕ない。早く来いよ、すげー欲しい。…バニーが欲しい…」
バーナビーの耳元にそう囁く。
バーナビーがぎゅっと眉を寄せて、快感を堪えるようにした。
「そんな声、出さないでくださいよ…」
「なんで…?だって、本当にバニーちゃんが欲しいんだ…」
もう身体中が熱くてどうしようもなくなっていた。
火照って汗で濡れて、…全身がバーナビーを求めている。
バーナビーの股間を見る。
そこはもう驚くほどに大きくそそり立っている。
同じ男の性器だというのに、そこを見ただけでじいん、と身体の中心が焼けるように疼いた。
好きだから、なんだろう。
不思議な感じだ。
こんな風に彼とセックスをすることになるとは思いもしなかったのに。
それなのに今、その経過がすごく自然な気がする。
バーナビーとこうして裸で触れ合っていて、信じられないぐらい幸せだ。
そうしてこれから自分の中にバーナビーが入ってくるのだ、と思うと、幸せにプラスして、純粋に肉体的にも期待が高まって、ぞくぞくとする。
「バニーちゃん…」
我慢できなくて自分から脚を限界まで広げてバーナビーを誘う。
バーナビーが下唇を噛んで衝動を堪えるようにしながら、虎徹のアナルに指を挿入してきた。
オリーブ油でしとどに濡らしたその指は、つぷり、と容易く体内に入ってくる。
「あっ……あっあっ…んぅ…っっ!」
ずしん、と脳天まで突き抜ける快感に虎徹は堪えきれず、背中を瑞枝のように撓らせた。
「…痛くないですか?」
「んッ…ぜ、ぜんぜん…それより、もっとっ…欲しいっ…」
指1本では焦れったい。
もっともっと、ナカに欲しかった。
深く抉って、内部をバーナビーで侵略されたかった。
自分を彼で支配して欲しかった。
「そんな、に、煽らない、で、虎徹、さん…っ」
バーナビーもはぁはぁと息を切らし、切れ切れに言ってくる。
興奮を抑えるのに必死のようだ。
指が2本に増やされる。
腸内で指がグリグリと腸粘膜を抉ってくる。
擦られて、その度に目の前がパッと真っ白になるような快感がして、虎徹はシーツを千切れる程に掴んで身を捩らせた。
「はっ、、う…ううっ…ぁ…いっ、イイ…っっ」
全く痛くない。
体内に外から異物が入り込めば、痛いだろうと思っていたのに。
それより、我を忘れるような快感に戸惑うばかりだ。
「ひぁっ…あ、あァっっっ!!」
指の先がどこかに当たった、と思った瞬間、全身を貫く激烈な快感に、虎徹は瞬時悲鳴を上げた。
「ここ、気持ちイイんですね?」
「あァッ、や、あっ、ダメだッ。バニっ、――も、もうっ…ソコっ、ダメっっ!」
体内の一番柔らかくトロトロとした部分を、容赦なく抉られる感触がする。
トロトロになった部分はちょっと刺激されるだけでも気持ち良くてどうにかなってしまいそうなのに、そこを鋭い棒で引っかき回されるような、…まるで治りかけの傷口を弄られるような、そんな耐えられないような衝撃だった。
じっとなんて、とてもじゃないがしていられない。
バーナビーの指がそこを擦ってくる度に、神経が焼き切れるような、過ぎた快感が脳に突き刺さる。
「あっ……――ぁ、あ―っっ、バ、ニ―っ…だ、めっ、も、もうっ、ソコ、無理っっ!」
自分がどうにかなってしまいそうで、もうどうにかなっていそうで、怖かった。
バーナビーの名前を呼んで、強請る。
バーナビーが指を引き抜いて、ソコにぴたり、と熱く硬い性器を押し当ててきた。
指が抜けた衝撃にくっと喉を鳴らして顎を仰け反らせ、虎徹はシーツに後頭部を沈めて頭を振った。
少しだけ、一瞬だけほっとしたけれど、すぐさまソコに火傷しそうなほどに熱い肉棒が押し当てられたのを感じて、全身の血がさぁっと引いた。
すごく、熱くて、太い…。
こんなもの、本当に入るのか…?
指なんかとは比較にならないほどの太さと、熱さと、硬さだった。
予想される痛みに恐怖が湧き上がってくる…のに、それと同時に何とも言えない悦びも湧き上がってきた。
ぞくぞく、した。
早く、欲しい。
入ってきて、欲しい。
自分をぐちゃぐちゃに、掻き回して欲しい。
めちゃくちゃに、抱いて欲しい……。
もう何も、考えられなくなる程に。
頭の中も、身体の中も、全部バーナビーで満たされて、全部を彼に明け渡して、繋がって一つになってしまいたかった。
両足をバーナビーの腰に絡め、手をバーナビーの首に回し、ぎゅっとしがみつく。
「いきますよ…」
上擦った掠れた声でそう呟くと、バーナビーがぐっと虎徹の中に身体を進めてきた。
「うぅ…ぅう――っっ!!」
――痛い。
痛くてアナルが引き裂かれて、焼けてちりちりと焦げる気がした。
無意識に腰が逃げたが、それをバーナビーは許さなかった。
腰骨をぐっと掴まれ、反対に引き寄せられて、結合がゆっくりと進んでいく。
「は、はぁッ、は、ぁっっ…あ、バ、ニ、――ッッあ、あっあっ!」
一番太い亀頭が入り込んでしまえば、みっちりと収まったソコから不思議と痛みが引いていく。
代わりにどうしようもない程ぐずぐずに蕩けた快感が堰を切ったように溢れて、尻から尾てい骨を突き抜け背骨を瞬時に駆け上がり、脳髄に突き刺さってきた。
「はぁ…い、イイっ、すっげ、イイっっ!ど、どうしよ、俺っ、な、なんか、どうにかなっちまうっ、バニっ、バニちゃんっ!」
目も眩むような激しすぎる快感が、虎徹を襲う。
生まれて初めて味わう後ろからの悦楽は想像を絶するほどに激しくて、恐怖を感じるほどで、虎徹は溺れまいと必死でバーナビーにしがみついた。
「虎徹さんっ、そんなに締め付けないでっ…!」
バーナビーの焼けた肉棒が、腸内を広げて侵入してくる。
ずずっと内臓が押し広げられ、ズシンという深く甘い衝撃とともに、太い楔が体内深く深く、虎徹の中心を引き裂くようにして入ってくる。
身体の中心が、串刺しにされたようだった。
鋭い肉棒に貫かれて、身体の真ん中が溶ける。
溶けきって、熱したバターのようにトロトロになって、そこを太く硬いモノで掻き回される。
虎徹はもう、我慢しきれなかった。
自分が何をしゃべっているのかも分からないぐらいに、我を忘れて強請る。
全身が性感帯になったようだった。
堪えきれずベッドの上をのたうちまわって、少しでも激しすぎる快感を逃そうとするが、上からバーナビーにしっかりと押さえつけられて、身動きもままならない。
ぐさ、と彼のペニスに貫かれ、内部で腰を回される。
堅い切っ先で、とろけきった柔らかな腸粘膜を擦られて、目の前に閃光が散る。
「あっあ―っ…、バニ、ちゃんっ、や、だっ、もっ…む、りだってっ…あーっっっ!!」
こんなに快感を感じた事は、今まで30年以上も生きてきて、一度もなかった。
どうしよう。
自分がどうにかなってしまう。……怖い。
怖いけれど幸せで、気持ち良い。
自分の全部がバーナビーと一つになって溶けて、混ざり合っていく。
「はっあーっ…、や、だっ…っ、も、い、イイっ…あーっ!」
ずっずっ、と灼熱の堅い肉棒が抜き差しされる。
痛みも確かに感じているはずなのに、それがすっかり快感に変わってしまっている。
抜かれる度に、内部が全てが空洞になってぽっかり穴が開いたような喪失感がする。
しかしすぐにそこにみっちりとペニスが埋め込まれて押し広げられ、身体の一番中心、柔らかく溶けた部分がバーナビーでいっぱいになる。
目の前がチカチカする。
身体が宙にふわっと浮いたような心持ちになる。
浮いて、身体も心も全部、解れてほどけて、バーナビーと混ざり合ってまた一つになる。
「い、イイっ…あっ、す、げぇイイっっあ―っ…あっあっ、も、もうダメだっ、バニ、バニちゃんっ!イ、イっっっ!」
ぐりっ、と蕩けた内部を抉られて、がくん、と顎が仰け反る。
神経が全て焼き切れてしまうような快感に、虎徹は目を張り裂けんばかりに見開き、喉奥を詰まらせて叫んだ。
「バニーっ、バニちゃんっっ、も、もうっッッ!!」、
「虎徹さんっ、虎徹さんっっ、好きっ大好きっ、愛してますっ」
「あ、ぁっ、俺も、俺もッッ…バニーッ、すげっ好きっっっ!」
好き、と言葉に出すだけで、身体が瞬時に勢い良く燃え上がる。
繋がっている部分が隙間なく混ざり合っていく。
全て混ざり合って細胞一つ一つまで結合して、得も言われぬ安心感と至福感に、陶然と意識が遠のいていく。
「あっ…あっあっあーっっっっ!!!!」
ぐりぐりっと前立腺を抉られて、もう、限界だった。
後頭部を激しくベッドに打ち付け嬌声を上げながら、虎徹は熱い粘液を互いの腹の間にぶちまけた。
少し遅れてバーナビーが、虎徹の体内深くに突き刺したペニスから白濁を一気に迸らせる。
「……………っっっ!」
目の前がふっと暗くなった。全身が急激に脱力し、どさり、とベッドに沈み込む。
快感にふわふわと宙に浮いたまま、肉体だけが気怠く熱い。
シーツのひんやりした感触が気持ち良い。
そのまま二人でぐったりと射精の余韻に浸る。
暫くハァハァと息を切らせがら、しっとりと汗を掻いた肌を密着させる。
鼓動がドキドキと同じ速度で打ち、二人分の鼓動が身の内に満ちる。
ぴったりと隙間なく触れ合った身体と、通じ合った心に、至福感が溢れてくる。
夢のようだった。
こんな幸せを感じる事ができるなんて。
今まで自分が誤魔化してきた月日が、なんて勿体なかったのだろうと思った。
もっと早く、素直になれば良かった。自分の気持ちに気付けば良かった。
けれど、いろいろ紆余曲折があったから、こうして今、抱きあえているのだと思うと、それまでの回り道も必要なものだったんだ、と思う事が出来た。
とにかく、今、途轍もなく幸せだ。
それでいいのかも知れない。






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