◆オジサンのバレンタイン☆デー◆ 6




こんな、……自分で制御できないような興奮なんて、何年ぶりだろう。
もう、身体中が熱くて熱くて火照っていて、俺は舌を出して喘いだ。
バニーが俺の事を好きだったって聞いて、嬉しくてたまらなかった。
その嬉しいという気持ちが快感に直接結びついているみたいだ。
バニーと肌が触れ合う度に、ソコが火傷したみたいに熱く火照る。
じりじりして、じんじんと疼いてくる。
一度もやったことねぇってのに、尻の中まで疼いてきた。
なんなんだこれ、……なんで疼くんだ…?
しかもなんで尻の中なんだ?
これって、つまり……バニーに抱かれたいっていう気持ちがあるからだよな。
普通だったら、尻の中なんか疼くはずねぇ。
俺は男だし、男だったら相手を抱く方だよな。
勿論俺のペニスもビンビンで、びくびくと動いて疼いていたけれど、でもそれとは別に、何故か尻の穴の中がうずうずとしたのだ。
――男として、やばくねぇか。
『抱かれたい』って思ってるって事だよな、これ。
……どう考えても。
やった事なんか一度もねぇのに、疼くとか。
……どうなってんだ、俺…。
でも、疼いてそこを弄ってもらいたくなっちまって、どうしようもなかった。
俺はバニーにペニスごと、股間をぐりぐりと擦りつけていた。
情けない。恥ずかしい。
いい年して若い子に抱かれたいとか、本当に恥ずかしいにも程がある。
と思ったけれど、でも身体は正直で呆れるぐらいだった。
「虎徹さん…、ごめんなさい。…こんな、……はしたないですよね、僕。あなたが欲しくて我慢できなくて…」
バニーがはぁはぁと息を荒げながら、俺の耳元に囁いてきた。
耳にバニーの熱い息がかかるだけでじーんと全身が痺れる。
脳細胞がとろっと溶けるのを感じる。
「やっ…いや、俺だってっ、そのっ…。……バニー、俺も我慢できねーしっ。…す、げぇ、…こんな、俺、おかしいって…」
「虎徹さん、虎徹さん……ごめんなさいっ…」
バニーが頻りに謝ってくる。謝る事なんかねぇのに。
俺だってこんなに興奮してるのに。
……って言うか、俺の方がずっとはしたない。
謝るのは俺だ。
こんな中年なのに、バニーに恋なんかしちまって。
恥ずかしいにも程があるのに、チョコなんか手作りして告白しちまって。
ごめんなバニー。
でもお前が好きなんだ。
お前が可愛くて可愛くて、愛おしくてたまらない。
「んなこと、ねぇよっ。俺の方が、ごめんっっ…。あ、バニっ、でも、もっ、なんか、なんにも考えられねぇって…」
なんか上手く言葉も出てこない感じで、俺はひたすらバニーの股間に自分の股間を押しつけてぐりぐりと擦って喘いだ。
やべぇ。な、んか我慢できねぇ。
「あァっっ……っあ、ァっあァァっっっ!」
しまった、と思った時にはもう遅かった。
無我夢中でペニスを擦りつけていたから、俺の情けないペニスはあっというまに絶頂に上り詰めちまった。
俺は甲高い喘ぎを上げながら、バニーの腹に向かって思いっきり精液を噴出させていたのだ。
ピュルッ、と迸った精液がバニーの腹に当たって、ポトポトと俺の腹に滴り落ちる。
「…虎徹さんッッ」
ほぼ同時にバニーが苦しげな声を上げた。
気が付くと俺の腹に、俺のじゃねぇ熱い大量の粘液が飛び散っている。
「……ごめんなさい…」
ははは、バニーも射精したのか…。
ぐちゃぐちゃな気持ちのまま、嬉しいやら情けないやらわくわくするやら、気持ちがふわふわして落ち着かなくて、俺は思わず笑っちまった。
「……虎徹さん、もっと、いいですかっ僕、……ごめんなさいっっ!」
ハハハって笑ってちょっと脱力していたら、バニーが急に俺の両足を広げてきた。
そのままぐっと折り曲げられて胸が圧迫される。
「うわっ、バ、バニーっ?」
クチュ、とバニーの指が俺の尻の穴に触れてきた。
精液でたっぷり濡れた指が、ぬぷ、と湿った音を立てて俺のナカに入ってくる。
「あ……あっァ、そ、こっ、変ッ…バニーッッ…や、あッ……!」
展開が突然すぎて、理性がついていかない。
さっきまで俺は、すげぇ落ち込んでいた。
バニーにチョコを渡したのはいいものの、軽蔑されただろうとか、嫌われただろうとか思っていた。
気持ち悪がられているはずだ、どうしよう、でも告白したかったからしょうがないんだ、と自分に言い聞かせていた。
仕事の上だけでも、普通に話してくれればいい、それ以上望まないからそれだけでも、と思っていた。
それなのに、今。
――こうして、バニーの身体の下で喘いでいる。
二人とも裸で、肌をくっつけ合って、俺なんざ格好悪く足を開いて、しかも信じられない事にバニーの指が俺の尻の中に挿入されている。
腹は、自分のとバニーの精液でべとべとだ。
こんな風に抱き合えるなんて、想像してなかった……いや、想像はしてたけど、でもあくまでそれは想像だった。
現実に、こうして肌を触れ合わせることができるなんて……思ってもみなかった。
―――すげぇ、どうしよう。……本当にこれは現実なのか?
今更ながらに俺はこの事態が信じられなくて、震えた。
「あッ…ひッッ、……ァ?そ、こなにっっ?!」
しかし現実は凄かった。
バニーの指が俺の内部のどこかをぐりっと擦ってきた。
目の前にぱぁっと閃光が走った。
全身が勝手に震えた。
ぞくぞくっと何とも言えないすげぇ快感が、背筋を走り抜けた。
「やっ、バニっっ…だ、駄目だッッ!」
身体が勝手に跳ねた。
「虎徹さんっ…可愛いっ…」
バニーの上擦った声が耳元でする。
俺が可愛い、とか本当にバニーが言ってんのか?
そりゃすげぇ、信じられねぇ。
気持ち良すぎて、どうにかなりそうだ。
どうしよう。こんなの……。
「ひっっっ!バ、バニーっ、…ちょっ、俺っっ!」
いい年してこんなに声上げてるとか、俺どうなっちまうんだ。……もう訳分からねぇ。
バニーの指がぐぷっと奥まで入り込んでくる。
柔らかい部分をぐりぐりと擦り、感じる部分を刺激してくる。
その度に俺はびくびくと折れるぐらいに背骨を反り返らせ、シーツを千切れる程に強く掴んで呻いた。
なんかもう、羞恥心とか、不安とか寂しさとかあきらめとか、先程までいろいろ心の中でうずまいていたネガティブな気持ちが、すっかり消えてどっかに行っちまった。
代わりに、気持ち良くてもうどうにもならねぇ激情が、心の中で暴れている。
こんな俺がバニーに告白なんかしちまって、とかそういう申し訳ないと思う気持ちもすっかり吹っ飛んで、とにかく気持ち良くて身体中ジンジンしている。
もっとこの快感が欲しくて、たまらなくなる。
こんなに相手が欲しくて我慢できなくなるなんて。
相手がバニーだからだよな。
バニーだから、欲しいんだ。
バニーだから、嬉しくて我慢できなくなるんだ。
バニーだから。……愛しているから。
「虎徹さん、も、っいいですか?ごめんなさいっっ僕……もう、我慢できないですっ」
バニーがすげぇ切羽詰まった声を出した。
指がぐぐっと引き抜かれる。
ぽっかり空いたような喪失感に一瞬目を見開いてバニーを見上げたが、すぐにその空いた部分に、火傷しそうに熱く固い肉塊が押しつけられた。
(―――………!!!!!)
目の前が真っ赤になった。
全身、冷や汗がどっと溢れ出た。
尻の穴がぴりぴりとして限界まで引き延ばされ、鋭い刺激が、俺の柔らかい脳細胞に何千本もの針のようになって突き刺さってきた。
痛い、のかもしれない。
でも不思議と痛みとは感じなかった。
ただただ、圧倒的な快感だった。
声も出ない程の衝撃だった。
俺の身体の中に、バニーが入っている。
繋がっている。
一つになっている。
身体が繋がると、その繋がった熱い部分から、いろいろな感情が流れこんでくるような気がした。
俺の感情もバニーに流れ込んでいく。
切ない気持ち。
嬉しい気持ち。
恥ずかしい気持ち。
バニーを愛している気持ち。
……みんな流れていって流れてきて、合流して一つになっていく。
「ば、にっっ、…す、げぇっっ…い、イイっっ。も、っと、来て、いいからッッッ!」
バニーの首にぎゅっとしがみついて、俺は無我夢中でバニーに合わせて腰を動かした。
ズッズッとバニーが熱い肉棒を出し入れする。
その度に俺の尻からはズチュッと濡れた音があがる。
内部の感じる部分をバニーの硬いものが擦る度に、全身がビクンッと跳ねる。
気持ち良くて、脳神経が焼き切れるようだった。
痛いはずなのに、痛みは感じなかった。
圧倒的な快感の前に、痛みなんか吹っ飛んじまったんだろうか。
気持ち良くて、どうしようもないほど幸福だった。
夢みたいだった。
だって、よくある少女向けのマンガみてぇじゃねぇか。
冴えない主人公が、格好良いモテモテの王子様みてぇな相手に、自分の手作りのだせぇチョコとかプレゼントしたら、その王子様が、『君のことが好きだったんだ』とか告白してきて、めくるめくエッチ、とかよ……。
ああ、恥ずかしい。
その通りの展開じゃねぇか…!
でも、恥ずかしければ恥ずかしいほど、嬉しかった。
恥ずかしかろうが、格好悪かろうが、でも現実にバニーが俺の事を好きだって言ってくれたんだから。
こんなに俺を求めてきて、二人で一つになって気持ち良いんだから。
傍から見てどう思われるか、なんてどうでもいいんだ。
自分が嬉しいんだから。幸せなんだから。
「バニっ……あ、あァっ…も、無理っっ!…イくッッッ!」
再び身体の奥底からぶわっと、居ても立ってもいられないような快楽が迫り上がってきた。
身体全部が熱くなって、溶けてバニーと混ざり合っていく。
気持ち良くて嬉しくて幸せで……めくるめくような快感が俺を翻弄する。
「――ああァっっっっ!!」
ぐりっと中を抉られて、たまらずに俺は二度目の射精をした。
ぴゅうっとバニーの腹に精液を迸らせる。
バニーが、肺が潰れるほどに強く俺を抱き締めてきた。
ぐぐっと深く深く、バニーの熱い楔が俺の奥まで穿たれる。
腹の奥に溢れる熱い愛情に、俺は幸せで意識が遠のくのを感じた。





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