◆茨の冠◆ 8









コンドームを被せ終わると、バーナビーは自分もバスローブを脱いで全裸になり、男をベッドの上に押し倒した。
腰を跨いで圧し掛かると、ローションをたっぷりゴム越しにペニスに垂らす。
それからローションでしとどに濡れた指を自分のアナルに無造作に突っ込んで、急いで準備をした。
その一連の動作を彼がただただ目を丸くして見ているのがおかしくもあり、反面、手慣れている自分を彼がどう思うか、と思うと複雑な気持ちにもなる。
ローションを垂らし終わってとろとろになった彼のゴム越しのペニスを掴んで、バーナビーはアナルに押し当てた。
「いいですか?」
「あ、……う、うん…」
許可を求めると、彼がぱちぱちと瞬きをして琥珀色の瞳を忙しなく揺らす。
「…ん………」
そんな彼の様子を眼下に眺めながら、バーナビーはゆっくりと腰を進め。硬い楔を自分の身の中に納めていった。
「んっ……く…っ」
ずずっ、と衝撃が来て、一瞬内臓が押し上げられるような、吐き気にも似た切迫感が押し寄せてくる。
しかし、切っ先が入れば後はずぶずぶと重力に従って身体を落とすだけだ。
根元まで深々と、バーナビーは彼のペニスを飲み込んだ。
一度飲み込んでしまえば、慣れたアナルはすぐさまそこから快感を拾い上げてくる。
みっちりと腸壁につまった感触。
自分が下から串刺しにされている貫通感。
体内の感じる部分を全て擦られているような、焼け付くような悦楽。
そういうものが、すぐにバーナビーの理性を席巻してくる。
「あ、…あっ…う…ッ」
ぞくぞくと全身に震えが走る。
待ちかねた快感に、身体が歓喜しているのが分かる。
眉を寄せ目を閉じてバーナビーは、彼の引き締まった固い腹に手を突くと、腰を上下に動かし始めた。
ぐちゅぐちゅ、と濡れた粘膜同士の擦れ合う音と、肌のぶつかり合う音が、安ホテルの部屋に響く。
――気持ち良かった。
気持ち良くて頭が沸騰してしまいそうだった。
これこそ、自分の求めていた快感だ。
彼のペニスは硬く鋭く、腰を動かせば自分の感じる部分を抉ってくるそれにバーナビーは陶然となった。










数分ぐらい経った頃だろうか。
「……あっっ!」
バーナビーが自分で腰を動かすのに没頭していると、突然身体が宙に浮いた。
慌てて彼にしがみつく。
男が急に起き上がり、バーナビーをベッドに押し倒してきたのだ。
乱暴な体位の交換に結合していた部分が離れそうになり、慌てて腰を突き出せば、今まで当たらなかった場所にペニスが当たり、バーナビーは更に呻くことになった。
「な、んですかっ…!」
「なんでって、そりゃその…っ俺にもやらせて…?なんか、もう、我慢できねー…っ」
切羽詰まった声だった。
その声の調子にずくんと体内が疼いて、バーナビーは思わず瞬きをした。
上から圧し掛かられ、大きく脚を広げさせられる。
彼が上から自分をじっと見つめてきた。
その瞳が真摯で視線を合わせられず、咄嗟に視線を逸らす。
彼が身体を屈めて、逸らしたバーナビーの首筋に軽くキスをしてきた。
(え……?)
初めはふわ、と柔らかく首筋にキスをし、それから強く吸い付いてくる。
ちり、と痛みが走って、バーナビーは思わず目を瞑った。
自分が強く抱き締められたのが分かる。
鼻孔を、彼のやや堅めの黒髪が擽る。
シャワーを浴びた時に洗ったのだろうか、清潔なシャンプーの香りがした。
「ぅあ…っっ」
ぐっと腰を突き入れられて、バーナビーは思わず背中を反り返らせて呻いた。
体内深く、彼の硬い肉棒が突き入ってくる。
かと思うとそれはすぐに抜かれ、再度強く深く侵入してくる。
彼が腰を回して、バーナビーの内部を抉ってくる。
「……あ、も、っわりぃ…っっ」
彼が狼狽した声を上げた。
目を開けると、目の前に眉を寄せて快感を堪えている彼の顔があった。
ドキン、と心臓が跳ねて、バーナビーは思わずその顔を見つめた。
見つめられているのが分かったのか、彼が眉尻を下げて苦笑してきた。
「ごめんっ、なんか俺、もうイきそうだわ…。でも、お前がイかないとな?」





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