◆Mimosa◆ 13
バーナビーが短く喘ぐ。
その声を聞いただけでも、もう爆発しそうだった。
こうしてバーナビーの気持ちが聞けた。
バーナビーも自分の事を愛しているのが分かった。
嬉しくて幸せで、――しかもこうして身体を密着させている。
これで興奮しない方がおかしかった。
鼻孔からはバーナビーの甘い匂いが入ってくる。
皮膚はバーナビーの滑らかな皮膚に密着している。
耳には彼の掠れた声や息づかいが聞こえる。
眩暈がした。
血が下半身に集まって興奮しすぎて、貧血を起こしたようだった。
「バニー、…い、いいか?」
上擦った、いかにも興奮しています、という声が恥ずかしかったが、そんな事を恥じる余裕もなかった。
「…お、じさんっ、…こ、こで…?」
「ダメか…?」
「……聞かないで、ください…っ」
バーナビーが虎徹の首に手を回してきた。
股間を擦りつけられて、虎徹は目の前が霞んだ。
こんなに興奮するなんて、自分が10代後半の少年に戻ってしまったような気がした。
ちょっとのことでも勃ってしまうぐらいの思春期の少年だ、これでは。
興奮しすぎて動作もままならなかった。
バーナビーのベルトをカチャカチャとやたら音だけ騒がしく車内に響かせて外そうとするが、なかなか外せない。
もどかしくなったのか、バーナビーが自分でベルトを外した。
「わ、悪い!」
情けなかったがそんな事を気にしている余裕もなかった。
バーナビーの両足を持ち上げてぐっと折り曲げさせ、息も吐く間も惜しいように自分のボトムのベルトを外す。
不器用にベルトを外すと、下着の中から自分の猛った肉棒を取りだしてバーナビーのアナルに押し当てる。
準備も何もしていない、という事に思い当たって、一気に押し入ろうとしたのを必死で思いとどまる。
右手を自分の口の中に突っ込んで唾液でべたべたにし、その指でアナルを探る。
「ぁ…、っ、おじさんっ、…い、いですから…も、来て、いいですっ!」
「や、ダメだって、傷つけちゃうだろっ…」
何度も指を口に運んではアナルを濡らす。
「もっ、いいからっ、僕も、我慢できませんからっっ、早く…っっ」
切羽詰まった声で言われて、虎徹ももうどうしようもなく興奮した。
「そ、そか?じゃ、悪い…っっっ!」
申し訳程度にしかほぐしていなかったが、虎徹ももう少しも我慢できなかった。
先走りでねっとりと濡れた先端をぴたりと押し当て、少し腰を回してぬるりと濡らしてから息を詰め、腰を一気に進める。
「―――っっっ!」
バーナビーが一瞬目を固く閉じ、虎徹にしがみついてきた。
狭い車内でバーナビーの足が天井に当たり、腰を進めた事で車がゆらりと振動する。
熱くうねる粘膜が、虎徹を搾るように蠕動して迎え入れた。
息を飲んで、虎徹は根元まで深々とペニスを挿入した。
バーナビーの体内に入った部分が溶けてしまうようだった。
熱くて、自分の中にその熱が伝染って、くらりと眩暈がする。
全身にその熱が伝播して、渦巻いて血流が全身を駆け巡る。
どくんどくんと心臓が全身に鳴り響いて、その鼓動と共にペニスが疼く。
耐えようのないものすごい快感だった。
決して今までのセックスが気持ち良くなかったわけでない。
バーナビーとのセックスは、気持ち良くていつも深い満足があった。
が、今の快感はそれとは桁違いだった。
……心が伴っているからだ。
自分の心も、バーナビーの心も、お互いに相思相愛なのが分かって、一つになっている。
心も体も。
多幸感に、虎徹はふっと意識が眩むのを感じた。
挿入したばかりなのに、もう、自分の限界を超えたのを感じた。
「……バニっっ」
数度抜き差しを繰り返しただけで、もう、堪えきれなかった。
ずちゅ、と深く突き入れて、熱い中にどくんと射精する。
射精しながらバーナビーのペニスを握って扱けば、彼もやや遅れてぶるっと身体を震わせた。
「………っ!」
小さく呻いた彼の声が、耳に響いてたとえようもなく嬉しかった。
今までで一番つたなく切羽詰まったセックスだったけれど、最高に気持ちが良かった。
それにしても、こんなに早く自分が達してしまうとは。
本当に思春期の少年の頃に戻ったようだ。
心も身体もその頃に戻って、その頃のどきどきとした気持ちのままに相手を好きになって、好きな相手とこうして身体を繋げている。
思春期の頃のように感情がとてもリアルだ。
嬉しくて幸せで虎徹は、狭い助手席の倒したシートの上でバーナビーの身体にぴたりと乗り上げたままで、全身で息をした。