テストの日 
《4》












「ごめん………汚れちゃったね……」










下着が濡れてしまったのを感じ取ったのか、不二がすまなそうに言ってきた。
羞恥で顔がかっと熱くなって、手塚は視線を逸らした。
涙が滲んできた。
恥ずかしくて情けなかった。
他人の前で射精してしまうなんて。
--------それも、不二の手で。
「服、脱がないとね……」
あやすように言われて、ますますどうしたらいいか分からなくなって、手塚は俯いた。
「ね、僕が脱がせてあげるよ……」
「い、いい。……自分で脱ぐ……」
服に手をかけてくる不二を遮って、手塚は消え入るような声で言った。
情けないやら恥ずかしいやら、収拾のつかない気持ちのまま、押し黙ってズボンを脱ぐ。
じっと不二が見つめているのが分かって、手塚は身体を震わせた。
不安なのか、期待なのか分からなかった。
これから何をするのか、それは分かっている。
不二と……………セックスをするのだ。
-------本当に?
本当に、するのか?
この俺が、…………不二と?










「こっちに来て」
振り向くと、不二がベッドの上で足を投げ出して座っていた。
何時のまに脱いだのか、既に裸だった。
何も身に纏っていない。
まるでそれが当然のように、裸のまま笑いかけてくる。
「ふ………じ………」
ロボットのようにぎくしゃくとした動きで、手塚は不二に近寄った。
「眼鏡、取らなきゃね?」
不二が苦笑しながら、手塚の眼鏡に手を伸ばす。
カタン。
ベッドサイドに眼鏡を置く音がする。
その音に思わずびくりと身体を震わせると、不二がぐいっと手塚の腕を引っ張ってきた。
体勢が崩れて、ベッドに肘を突いたところに、上から不二が伸し掛かってきた。
不二の方が自分よりずっと体格が劣っているはずなのに、なぜか抵抗できないような気がした。
「手塚………」
甘い囁きに眩暈がする。
身体が密着して、不二の滑らかな、火照った肌の感触が直に伝わってきた。
下半身の、固い感触も一緒に。
「……………!」
ぞくり、と何とも表現できない戦慄が、背筋を駆け昇ってくる。
今、自分がどんな格好をしているのか、考えるだけで身体が震えた。
他人の家で、昼間から、裸で抱き合っているなんて。
それなのに、厭じゃない。
「そんなに固くならないで………」
不二がくすっと笑った。
「僕だって緊張してるんだから……君だけじゃないよ……」
ほらこんなに、と、不二が手塚の手を取って、裸の胸に押し付けてくる。
筋肉が張り詰めた胸に手を当てると、規則正しい鼓動が伝わってきた。
「こんなにどきどきしてるんだよ、僕………」
不二が?と意外な面持ちで見上げると、不二が目を細めた。
「君とこういう事できるなんて、思ってなかったから……」
「………だって、おまえが……………誘ってきたのは、おまえじゃないか?」
「そりゃそうだけど。………でも、君が本当に来てくれるかどうか、分からなかったから……」
「……俺は………」
「僕のこと、好きだよね?」
不二が手塚の言葉に被せるようにして言ってきた。
「手塚……………僕のこと、好きでしょ?」
もう一度言ってくる。
不二の瞳が、じっと自分を見つめてくる。
色素の薄い茶色の瞳に、自分が映っている。
「………分からない………」
譫言のように答えると、不二が目を瞬かせた。
「………じゃあ、………やめる?」










「……不二っ!」
瞬時カッとなって、手塚は思わず大きな声を出した。
ここまで来ておきながら、今更やめられるものか。
-----俺をこんな気持ちにさせておいて、放り出すつもりなのか!
「ごめんごめん………」
手塚に睨まれて、不二は破顔した。
「嘘だよ、やめるわけないでしょう?……だって、こんなチャンス、もう二度と巡ってこないかもしれないもの………」
不二が顔を近づけてきた。
無意識に目を閉じると、口付けが降りてきた。
同時に、不二の手が、秘部をまさぐってくる。
「ぅ……………」
柔らかな茂みを掻き分けられて、不二の長い指が、すうっと奥まで入り込んできた。
「足、もっと開いて、手塚………」
唇を離して、不二が囁いてきた。
言いながら、指を一本、奥に差し込んできた。
「……………ッッ!」
固く閉じた入り口をぐいと開かされて、手塚は瞬間身体を強張らせた。
男同士で性行為をするときに、どこを使うかは知っていた。
が、実際にそこに触れられて、しかも異物が入ってくるとなると衝撃は大きかった。
自分がそんな行為を不二とするという事を、嫌がっていない事も、ショックだった。
「もっと、力を抜いて………」
「で………きない………」
痛みが理性を引き戻してきて、手塚は腕を突っ張らせて不二から逃れようとした。
嫌がっていない自分が、怖かった。
このまま行ったら、自分がどうなってしまうのか、分からない。
それが怖かった。
------やっぱり、できない!
手塚は頭を振った。
こんな事、できるわけがない…………!
「駄目だ………不二…………!」










「やめないよ」
頑とした物言いに、思わず瞳を上げると、不二の目と視線が絡み合った。
茶色の瞳が、憑かれたように光っていた。
「駄目、やめない………だから、手塚、我慢して………」















手塚が処○みたい(っていうか、そうでしたね^^;)