部長、大変です!
《2》















一、二分、気を失っていたらしい。
次に跡部が気が付いたとき、既に彼は後ろ手にきつく縛られていた。
口の中に布を押し込められているので、声を出す事もできない。
頭を振って顔を上にあげると、青学の粗末な部室の天井が目に飛び込み、同時に、上から自分をにやにやと笑いながら見下ろしている見覚えのある顔が目に入った。
こいつは、ストテニ場で何度か顔を合わせてよく知っている桃城武。
それから、一年で青学の強力な勢力である、越前リョーマ。
「ふーん、桃先輩、結構あっけないっスね」
「な、そうだろ? なんだかんだ言って、こいつ、油断してっからな」
「くそっ、なんの真似だ!」
と言おうとして、跡部はくぐもった呻きを漏らした。
立ち上がろうとするが、両腕が背中の所で一括りにされて縛られているので、うまく身体を起こせない。
くそっと思って目線を自分の身体に向けて、跡部は心臓が止まるほど驚いた。
(……………!!)
なんと、全く衣服を身に着けていなかったのだ。
気を失っている間に脱がされたらしく、上半身はもとより、下半身も丸出しである。
呆然として周囲を見ると、自分の服が一纏めになってテーブルの上に放り投げられていた。
「あは、結構驚いた顔が可愛いっスねえ、この人」
リョーマがくすくすと笑った。
「まぁな。……さて、じゃあ、せっかくさ、氷帝のお姫様に来ていただいたんだから、こんな床に転がしておいたんだじゃぁ悪いよな」
呆然としている間に腕を掴まれて、跡部はソファにどさっと投げ出された。
驚きに目を見開いたままで桃城やリョーマを見上げる。
「あ、来た来た」
その時ドアがとんとんとノックされて、リョーマが言った。
「準備オッケーかにゃ?」














(…………!!)
ぎょっとしたままで入ってきた人物を見ると、それは青学テニス部3年の菊丸英二と不二周助だった。
「こんなんでいいっスか?」
リョーマが跡部を指さして言う。
「うひゃー、ホントにアトベーじゃん!」
菊丸が歓声を上げた。
「すげえ! おまえらの計画聞いた時にはまさかできるはずねえって思ったけど、実際こうやっているの見るとびっくりにゃ」
「そりゃ俺たち、できねえ計画は立てねえっスよ」
桃城が、頭に手をやって照れくさそうに言う。
「で、不二先輩、ちゃんと持ってきてくれたんスか?」
菊丸の後ろからにこにこして跡部を眺めている不二に、リョーマが声を掛ける。
「うん。どっさり持ってきたよ」
不二が、肩に掛けていたバッグの中から小さな袋を取り出した。
「……はい」
袋の中から綺麗にラッピングされた小さな長方形の箱と、それからチューブ状の薬のようなものを取り出す。
「二箱も買って来ちゃったけど、そんなにいらないかな?」
「うわ………高そうで悪いッス」
嬉しそうに言って、リョーマがびりびりとその箱を破いた。
呆気に取られてリョーマたちの様子を見ていた跡部の目に、リョーマが取り出した物が跳びこんできた。
………コンドーム?
手の平に収まるぐらいの正方形のフィルム。
「ま、こんだけあれば、一人二、三回やっても十分間に合うかと思って。でもそんなにやったら、跡部壊れちゃうかな?」
心臓がきゅっと縮み上がって、跡部は蒼白になった。
(お、おい………冗談だろ?)
目の前にいる面々を、視線を忙しく動かして見上げて、何度も何度も心の中でそう呟く。
まさか………そんな…………。
「さて、じゃあ跡部君のほうの準備もしなくっちゃね」
不二が機嫌良くそう言って、
「桃、越前君。脚、広げさせてくれる?」
と、とんでもない事を言ってきた。
「………よせ!」
いくら叫んでも、跡部の口からはくぐもった呻きが漏れるばかりである。
「へーい、分かったっス……」
気のない返事をして、リョーマと桃城が跡部の脚を掴んで思い切り広げてきた、
ソファに転がされて、胸に付くぐらい脚を折り曲げられ広げさせられて、しかも後ろ手に縛られたままで憤死してしまいそうな格好をさせられる。
「へえ………やっぱり綺麗だね……」
不二が、跡部の露になった局部をしげしげと眺めながら感心したように言ってきた。
「オレにも見せてにゃ」
菊丸もそこに顔を近づける。
「ホントだなにゃ〜。アトベーって色素が薄いもんな。下の毛もさ、こんな茶色ってことは上も地毛なのかにゃ?」
「うん、色も綺麗だし、食べちゃいたいぐらいだね」
「…でもちょっと縮こまってるにゃ。可愛い!」
(……………!!)
菊丸に無造作にペニスを握られて、跡部は全身を突っ張らせた。
「まぁ、ね。こんな格好させられて興奮しろっていうほうが無理だよね。ごめんね、跡部君」
「でも、跡部にも気持ち良くなってもらいたいにゃ−。どうかな、触ってるうちに大きくなるかにゃ?」
(く……そ………!)
菊丸が柔らかな跡部のペニスをきゅっきゅっと扱いてくる。
「うわぁ、感触もいいし、先っちょもこんなに綺麗なピンク色ですっげぇ可愛い」
「先輩、俺にも見せて下さいよ」
「ほらほら」
「ホントっスね−。跡部って性格は悪いけど、身体は良さそうっスね」
事もあろうに自分のペニスを扱かれて、しかもそれを4人もの人間に見られている。
情けないやら憤怒やら、もう跡部は感情の収集が付かなくなっていた。
知らない内に涙が滲んできて、目尻から頬を伝って流れ落ちる。
「うわぁ、泣いちゃったよ。かーわいい! 跡部君! まだまだ、これからだからね」
「跡部さんって、ホント、泣き顔も可愛いっスね。目も青いし、下の毛も茶色いから、もしかして純粋な日本人じゃないんスかね?」
「そうだね、こんなに綺麗なんだし、きっとハーフかクォーターかもね」
4人がてんでに勝手な事を言っているのが耳に入る度に、跡部は憤怒と悔しさが身体中を駆けめぐった。





















さて延々と青学×跡部で…