部長、大変です!《4》
「ぅ………ッッ!」
途端に跡部の身体がびくん、と反り返る。
「あーッ、エージ先輩、それはないっしょ!」
跡部の頭の上に回って、両足首を押さえていた桃城が抗議の声を挙げた。
「えっへっへー。だってさー、……いいじゃん? 別に、ここをどうするかあって相談してなかったし。とりあえず、オレのものっ! あ、尻もちゃんと解すからさー」
一旦口に銜え、ぬるり、と舌で舐め回してから唇を離し、菊丸がにやにやしながら答えた。
「こっち舐めてればさ、後ろも馴らすのラクそうじゃんってね?」
「……詭弁っスよ……」
「……まぁ、エージにやらせてあげてよ。エージが一番、跡部のこと犯したがっていたんだしさ」
「オレだって、跡部さんなら何回でも犯したいッスよ!」
「分かった分かった」
不二が苦笑する。
「大丈夫。ゴムもいっぱい買ってあるし、好きなだけできるからさ。とりあえず、解さないとね?」
「……まぁ、そうッスけど…」
不二に説得されて、桃城も不承不承押し黙った。
「ンじゃぁ…」
菊丸がにやけながら、跡部のペニスを銜え直した。
「ンーっ、いい感触……」
鼻にかかった声を挙げながら、そのまま喉奥銜えこめるだけ深く飲み込んでいく。
これ以上無理という所まで銜えると、菊丸はそこで一旦止め、舌で口中の肉塊を舐り回した。
歯を立て、弾力のあるソレを味わうように目を閉じる。
舌で舐られ、歯を立てられて、跡部は全身を震わせた。
下半身から背筋を伝って快感が稲妻のように駆け上がってくる。
今まで自分であっさりとした自慰しか経験の無かった跡部にとって、他人から、それもこんな屈辱とともに与えられる快感は刺激が強すぎた。
こんな恥ずかしい格好をして、しかも明るいところで自分だけ全裸を晒し、余す所無く、複数の人間に見られている。
……それだけでも羞恥に全身が戦慄き、脳が沸き立ち、さらに興奮する。
菊丸が口を上下させてペニスを扱きながら、跡部のアナルにローションを馴染ませた人差し指をズブ…と挿入してきた。
ぐぐっと指が柔襞を掻き分けて侵入し、前立腺あたりをくい、と突いてくる。
(ーーーーーーーーーーーーッッッ!)
その瞬間跡部は、勢いよく菊丸の口の中に、白濁した精液を飛び散らせていた。
「うゎッ…ングッ………ンもー! 跡部っ、早すぎっ!」
突然口の中の肉棒がびくびくと跳ねながら、生暖かい粘液を迸らせてくる。
忽ち口の中が精液で溢れ、菊丸はたまらず跡部のペニスから口を離した。
ゴクン、と飲み干して、白濁の溢れた口元を拭いつつ、呆れたような顔をして、跡部を覗き込む。
覗き込みつつ、人差し指を更にぐいぐい、とアナルに突き立てる。
「……ッッッッ!」
跡部は既に、……自分が人前で射精してしまった、と感じた時から、感情の制御ができなくなっていた。
射精だけでも全身が震え、目の前が霞む。
ーーーーーーーーーなのに、容赦なく、今度は後ろにーーーーーーー信じられないような、恥ずかしい場所に、異物が押し入ってくる。
勿論跡部も、男同士の性交渉があることも、その際、女性の部分のない男はどこを使うかも分かっていた。
そういう性癖について特に嫌悪感もない。
さまざまな嗜好の人がいて当然、というスタンスを持っている。
が、それとこれ-----実際に自分がやられる方になるのとは話が違う。
涙が後から後から溢れてきて、頬を伝う。
大きく広げさせられた太腿が震え、菊丸の指が内部に突き立てられるたびに、疼くような、じっとしていられない衝撃がそこから脳天まで突き上げてきて、跡部は喉を仰け反らせ、くぐもった呻きをあげた。
菊丸は、そんな跡部の様子を嬉しげに見つめつつ、人差し指を咥えこんだアナルが次第にほぐれてきて柔らかく蠕動しながらうねってきたのと感じ、指を増やして2本、一気にアナルに埋め込んだ。
「すっげー、中、気持ちいいー!」
2本を中でかき混ぜるようにして動かしながら、菊丸が上擦った声で言う。
「なんかねー、熱くてやーらかくてっ、生き物みたいに動くんだ!」
「……エージ先輩っ、もういいッス!」
菊丸一人が良い思いをしていることにしびれを切らしたリョーマが、その時行動を起こした。
学生服のズボンのベルトをもどかしげに外し、ジッパーを下げて、下着の中から自分のペニスを引き出したのである。
「う………っと、オチビ………デケェ………」
目の前にペニスを突きつけられて、菊丸がぎょっとしたように声を上げた。
「ちょっと反則じゃん。最初っからこんなので、大丈夫なのか、アトベー……壊れちゃうんじゃ……」
「ンなヤワに出来てないッスよ。跡部さんの尻は」
不二から渡されたコンドームの袋をびりびりと破り、素早く自分のものにそれを装着しながらリョーマが鼻先で笑った。
「ンじゃぁ、いただきまーッス!」
不満そうな菊丸をどかし、代わりに跡部の両脚の間に入ったリョーマは、指が抜かれたばかりで、襞が柔らかく綻んでサーモンピンクの内壁を僅かに覗かせている跡部のアナルに、自分のペニスの先端を押しつけた。
「桃先輩、足をしっかり押さえていてくださいッス」
跡部の両脚を反対側から押さえている桃城に声を掛けると、次の瞬間、リョーマは跡部の体内に凶器の先端をねじ込んだ。
やっと一人目です。