部長、大変です!《7》
|
「う、うん………ど、どうしようかにゃ」
先走りでぬるぬるになったペニスを握りしめたまま、菊丸がつぶやく。
先ほどからやりたくてやりたくてたまらなかっただけに、いざ自分の番が回ってくると、反対にどうしていいか分からなくなってしまったのだ。
迷ったまま、ベッドの上の跡部を見る。
跡部は固く瞳を閉じ、頬を涙で汚したまま、苦しげに息をついていた。
猿轡を噛ませられているので、思うように息ができないのだろう。
大きく肩を上下させている。
後ろ手に縛られた手首はふるふると震えたままで、血がよく通っていないのか、指先が青白くなっている。
すらりとして、美しいその指も微かに震えていた。
身体は、と言うと、桃城に蹂躙された格好のまま、尻だけ高く上げて、上半身はベッドに突っ伏したままである。
高く上げ、広げられた脚の間では、先ほどまで桃城が思う存分入っていた可憐なアナルが丸見えである。
周囲が赤く腫れ、ローションでてらてらに光ったピンク色の襞と、少し口が開いて内部のサーモンピンクの腸壁が見える。
その下には、可愛らしく張りつめた陰嚢と、刺激で勃起したままのペニスがひくひくと蠢いている。
ペニスの先端からは先走りがあふれ、シーツまで滴りを作っている。
「…………ど、どうしようかな」
いざとなると跡部をヤるのが勿体なくて、菊丸は迷った。
コンドームを自分のペニスに装着しながら、ひたすら悩む。
(オチビは正常位。桃は後背位だったな…。おんなじじゃぁ、芸がない……俺は……)
「ようし、俺は座位に挑戦だ! 桃、アトベーの身体を持ち上げてよ!」
菊丸はそう宣言すると、ベッドにあがり、胡座をかいて座った。
「…俺のここにアトベーを落としてくれる?」
「……へぇ……エージ先輩、座位なんスか?」
リョーマが興味深そうに瞳を細める。
「そうそう、アトベーの身体を、桃に動かしてもらうんだ。桃、いいだろ?」
「え……俺がっスか……」
「俺より先に跡部の事抱いたんだから、文句言わない!」
「へぃへぃ、分かりましたよ……」
肩をすくめて、桃城はベッドに突っ伏したままの跡部の腰を掴むと、ぐい、と引き上げた。
突然視界が回転して、跡部は猿轡を噛まされた喉からくぐもった呻きを漏らした。
まだ身体がじんじんと疼き、少しでも動かされると、表現しようのない感覚が血液に乗って全身を駆け巡る。
「……ンく……ふ、うッッ………んグっ……」
後ろ手に縛られているため身体を支えることもできず、跡部は弱々しく首を振りながら、ぐったりと桃城に寄りかかった。
「桃、アトベーは俺の方向けて座らせてくれよ。アトベーの可愛い顔見ながらエッチするにゃ!」
菊丸がうきうきとした声で言う。
「はいはい、分かりましたッスよ」
桃城が肩を竦めた。
跡部の身体を抱きかかえたまま、菊丸の方を向かせて、脇腹をしっかりと支えると、両足を大きく開かせて菊丸の膝に乗せるようにする。
「…………んぁ……」
ぼんやりとしていた跡部も、次に何をされるか分かったのだろう、眉を顰め、激しく首を振る。
菊丸は舌嘗めずりをしつつ、跡部の細い腰を掴んだ。
「へへへ…………どきどきする……」
上擦った声で言いつつ、跡部の白く滑らかな内股を見つめる。
前から見ると、跡部自身の精液で濡れそぼった陰毛と、その中でそそりたっている跡部のペニスの先端、それから桃色の鈴口がぱくぱくと口を開いたり閉じたりしているのが見える。
ゴクリ----------------。
我慢できず、菊丸は跡部の腰を掴んだまま、勢いよく自分のペニスめがけて腰をぐっと降ろさせた。
「--------ッッッ!」
熱く柔らかな肉襞を掻き分けてペニスがめり込んでいくと同時に、跡部が喉を仰け反らせ、苦悶の呻きを発する。
「……っと、エージ先輩、入れるときはちゃんと言ってくださいっス!」
跡部の脇腹を抱えていた桃城が、体勢を崩しそうになって慌てた。
「……ごめんごめん……って………はぁー……極楽だにゃー……」
根元まで深く挿入し、熱くうねる内壁に自身を包まれて、菊丸がうっとりとした声音で言う。
「……そうっスか……はい、動かしますよ?」
やれやれ、と肩を竦めた桃城が気のなさそうに返事をし、それから跡部の身体を上下に揺さぶり始めた。
「…………んぐッ、く……うく……ッうぐ……ッッ!」
やっとのことで責めが終わったと思っていたのも束の間、すぐにまた激烈な刺激が尻の穴から内蔵を押し上げ喉元まで駆け上がってきて、跡部は思わず猿轡を舌で押し出し吐き出すようにしながら呻いた。
----------------苦しい。
痛いのか、それとも快感なのか。
もう、身体がどこかに行ってしまいそうだ。
全身が千切れて、柔らかな部分が全て弄られ、好きなように弄ばれて、誇りも矜持も粉々に砕けてしまったようだ。
ずずっと体内に太く固い鋼鉄の楔が打ち込まれ、すぐにまた内蔵を引き抜くような勢いでずずっと抜かれる。
どこか、感じる点があるのだろうか。
ある部分を突かれると、目の前に火花が散り、全身がぞくぞくと震える。
どくどくと体中の血の流れが速まり、全身が熱くなる。
「…………く……んッッ、……ぐッ」
涙が後から後から溢れて頬を伝い、顎から滴り落ちていく。
「かーわいい…………最高だにゃ、アトベー……」
下から激しく突き上げながら、菊丸が陶酔した声で言った。
「ははは、エージ先輩、本当に嬉しそうッスねぇ…」
跡部の脇腹を掴んで上下に揺さぶっている桃城も、菊丸の素直な感動に思わず苦笑する。
「そりゃそうさっ! だって、アトベーっ、最高………中、蕩けそう……はうっ……も、もう駄目だぁ!」
せっかく待ちに待った跡部とのセックスだったのだが、菊丸は待ちすぎた。
跡部に入れた時点で既に射精寸前だったのだ。
いくら我慢しても我慢しきれない。
跡部の腰をぐっと落として、ぴったり自分の腹と跡部の尻を密着させ、最奥までペニスを差し込むと、菊丸はぶるぶると全身を震わせて、白濁を勢いよく迸らせた。
「…イっちゃっったよー……」
「あははっ、エージ先輩、そんなにがっかりしなくてもいいじゃないッスか」
リョーマが堪えきれずに笑い転げる。
「……オチビ……ぶつよ!」
「……まぁまぁ、エージ、………まだまだできるから、焦らないで……ね?」
端で見ていた不二が瞳を細めて笑った。
「ちぇ………まぁ、でも極楽だったからいいか……」
名残惜しげに跡部の勃起したペニスを右手で掴んで捏ね回しながら、菊丸は跡部からペニスを抜いた。
満足げに息を突きつつ、ゆっくり、コンドームを外していく。
「……俺も溜まってるにゃ……」
コンドームの先に溜まった精液を見て肩を竦め、桃城に向かってコンドームをぶんぶん振ってみせる。
「うわっ、や、やめてくださいよ!」
自分の方に投げてこられたらたまったものではない、と桃城が慌てて跡部の身体をベッドに放り投げるようにして転がすと、ベッドから退散した。
「さて、と………じゃぁ、ボクの番だね……」
ベッドからやや離れたソファでゆっくりと一部始終を眺めていた不二が、ソファから立ち上がった。