部長、大変です!《8》
|
「不二………なんだか、怖い感じだにゃ……」
「ふふふ、そう? 別に…そんなつもりはないんだけどね…」
不二の雰囲気に押されて、菊丸が後ずさる。
後ずさって空いた跡部の側に、不二が悠揚迫らざる雰囲気で近寄った。
「どうしようかな…」
にこにこ笑いながら、ベッドにぐったりと横たわる跡部を見下ろす。
跡部は、後ろ手に拘束された手首を仄かに赤くさせ、はぁはぁと肩で息を切りながらベッドに横たわっていた。
乱れて額や頬に張り付いた茶色の髪が、ベッドにも乱れ散っている。
涙で汚れた頬は赤く紅潮し、うっすら開いた灰青色の瞳は茫洋として、どこを見ているのか、もはや自分でも意識していないのだろう。
長い睫に涙の粒が光り、猿轡を噛まされた唇は震えて血の気が無くなっている。
白く滑らかな肌も上気し、弄られた乳首は赤く腫れ、ぷっくりと勃ちあがったままだ。
内股にはローションがぬめ光り、勃起した状態でほおっておかれているペニスは、先端からぬるり、と先走りが滴っている。
「…綺麗だね、跡部……」
瞳を細め囁くと、不二は、跡部の涙で濡れた頬をそっと撫でた。
「キミの声が聞けないのは残念だから……ボクの時は聞かせてもらおうかな…」
「え、不二……外して大丈夫か?」
不二が跡部の猿轡を外そうとしたので、菊丸が慌てた。
「大きな声出されたら、困りませんか?」
桃城も不安げに言う。
「ふふふ、大丈夫。もう時間も遅いし……まぁ、跡部だってさ、大声出して助けを求めたとしてもねぇ……こんな格好しているの、他人に見られちゃうわけだし…そっちのほうが恥ずかしいんじゃないのかなぁ?」
「…それもそうッスね。天下の氷帝学園テニス部の部長が……まっ裸で男にヤられてよがってる所、見られちまうわけッスからね…」
桃城も納得して頷く。
「じゃぁ、跡部……キミの可愛い喘ぎ声、たっぷり聞かせてもらうよ…」
口端を上げて微笑しつつ、不二がゆっくりと跡部の口を覆っていた手ぬぐいを外す。
口の中に押し込んでいたタオルも取る。
口の中に押し詰められていたものが唐突に引き抜かれて、跡部は無意識に大きく息を吸い込んだ。
舌がびりびり痺れている。
開かされていたせいで顎も痺れている。
息を吸い込みつつ顎を動かして、跡部は胸を上下させて深呼吸した。
何度も呼吸をし、舌を少しずつ動かして、唇を舐める。
塩辛い味に、ぼうっとしていた意識もはっきりとしてきて、跡部は重い頭を巡らして、自分を覗き込んでいる人物ーーーー不二を見上げた。
「……どう、跡部……話せるかな……?」
不二の言葉が耳に入ってきて、跡部は掠れた声を出した。
「………ふざけんじゃ、ねぇ……」
「ふふふ、なんだ、元気じゃない……? じゃぁ、安心だね?」
「……く、そ‥テメェ‥‥ただじゃ、……」
「へぇ、ただじゃねぇ? なんだろう?」
不二がにこっと微笑する。
「ただじゃおかないのはね、ボクのほうだよ、跡部……キミの台詞じゃないね」
言うなり、不二が跡部の勃起したペニスを力一杯握ってきたので、跡部はひゅっと息を呑んだ。
忽ち、塞き止められて逆流した血液が頭に上り、目の前が霞み、痛みが身体中を走り回る。
「……く、ぅ…。ッッ……いて、えッッッ……」
頭を振って身体を捩り、少しでも不二の手から逃れようとするが、そのたびに今度は後ろ手に縛られた手首が己の体重で軋み、痛みを伝えてくる。
それに、先ほどまで思う様蹂躙されていた肛門が、動くたびに疼くように痛んで、跡部は顔を顰めた。
「ぁ…くッ……いて……いてぇ……って……はなせ、よ……ッッ……!」
「ふうーん……痛いの、跡部……ねぇ、どこが?」
跡部のペニスの根元をぎゅうっと締め付けて、爪を立てながら不二が言う。
「……てぇ、離せ……ッッ……」
「離したら、キミ、あっという間にイっちゃうじゃない? もう、こんなに膨らませているのにさ?」
くすくすと笑いながら、不二が肩を竦めて言った。
「そんな勿体ないこと、できないよ。……キミには、ボクと一緒にイってもらいたいし……ね?」
言いながら、不二は自分の制服のポケットから、輪状になった太めの紐のようなものを取り出した。
「……不二先輩、それ、なんスか?」
あれ、桃は見たことない?コックリングって言ってね……こうしてさ……」
桃城の問に答えながら、不二はそれを跡部のペニスに嵌めると、根元でぎゅうっと締め上げた。
「まぁ、イかせないようにする道具だね?」
「へぇ………いろいろ持ってるんスねぇ……」
「………ッッッッ!」
不二と桃城は楽しそうに会話をしているが、リングを嵌められた跡部はたまったものではなかった。
なんとも表現しようのない、じれったいような圧迫感と、痺れるような痛みが背筋を駆け上る。
思わず背筋を仰け反らせ、唇を噛み締めて呻きを殺すと、
「……可愛い声、聞かせてって言ったでしょ?」
その唇をぐい、と指でこじあけられた。
「…うぐ…ッッ…く、うぅ………ふ、じ……はな、せよッッ」
声が出せるようになった事で、一層跡部は羞恥と悔しさが全身を駆け巡った。
全身が燃える。
余す所無く全て見られ、しかも既に3人もの人間に犯されたのだ。
そう思うと、悔しさに涙が溢れ、跡部は自分の口の中に入ってきた不二の指を思い切り噛もうとした。
ーーーーーーーが。
「…ふふふ、まだ元気だね…そうでなくちゃね、跡部…」
そんな事は分かっていたのだろう。
跡部が顎に力を入れるよりも早く、不二が指を更に押し込め、跡部の舌を掴むと引き抜くかのように力を込めた。
忽ち痛みが脳天まで突き刺さり、跡部は喉を詰まらせて戦慄いた。
身体に力を入れると、ペニスに嵌まったリングが更に締め付けてくるらしく、ペニスが千切れそうに痛む。
「…く…は、はッッ……あ、いて、ェ………」
跡部は切れ切れに呻いた。
「ねぇ……跡部…噛んだりしなければ、リング外してあげるけど、…どう?」
不二がにっこりと笑って話しかけてきた。
「痛いでしょ……? もう、こんなに充血して、今にもはちきれそうだよ?」
言いながら、リングが嵌まって先端が赤黒く充血したペニスを、更に締め付けるように握りしめてくる。
「……ぐぁッッッ!」
跡部は白目を剥いて呻いた。
「……ね、このままずっと締めてても、いいんだけどね。…キミがね、…優しく舐めてくれるなら、ここ、外してあげるよ…」
不二は、ゆっくりとズボンの前をくつろげ、自分のペニスを引き出した。
色白の不二に似合った、上品なペニスである。
既に勃起して、びくびくと蠢きながら点を向いており、その点では上品ながらも猛々しい。
それを不二は、跡部の目の前に突きつけた。
「…舐めて……?」