部長、大変です!《9》
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「………………」
視界を塞いで不二の肉棒がぬっと突き出されて、跡部は一瞬ぎょっとした。
灰青色の潤んだ瞳を挙げて不二を見る。
不二が瞳を細め、口端をつり上げて笑いかけてきた。
「……ふざけっ……ぐうッッッッ!」
あまりの事に跡部がかっと瞳に憤怒を込めて睨んだ途端、不二はしれっとした様子で跡部のペニスを潰すかのごとく力一杯握りしめてきたので、跡部の言葉は途中で悲鳴に変わった。
目の前が真っ赤になり、全身に痛みが駆けめぐる。
「………ッッッ!」
声も出せず喉を詰まらせ、背筋を反り返らせて苦悶すると、不二がにっこりした。
「ね…? 舐めてよ……お願い?」
口調は丁寧だが、行動は残酷だった。
ペニスを握りしめた上に、更に陰嚢をも万力のように指で握り込んできたのである。
陰嚢は男の急所である。
全身から冷や汗が吹き出し、忽ち跡部は降参して、がくがくと首を上下に振った。
「ふふふ、そう……じゃあ、よろしくね?」
先端から熱い先走りを滴らせたペニスでぴんぴんと頬を叩かれて、跡部は涙が堪えられなかった。
一旦涙が溢れると、次から次へと溢れ、頬を伝ってベッドに滴っていく。
「…可愛いっスねぇ…」
見物していたリョーマがごくり、と唾を飲み込んで呟いた。
「全く……最高にそそるな、跡部さん、…すげえっスよ」
桃城も上擦った声で言う。
しかし、当の跡部にはそんな声も聞こえなかった。
全身が針で突き刺されたかのように激烈な痛みに襲われている。
とにかく、この痛みから逃れたい。
そのためには、なんでも---------なんでもする。
跡部は口を開いて舌を出すと、眼前のペニスをぱっくりと咥えた。
口の中に忽ち先走りの塩辛いような味が広がる。
だが、咥えた途端に--------不二が跡部のペニスに加えていた力を抜いて、リングを外したからだが-----、全身を襲っていた痛みがすっと引いていき、代わりに血流がどっと流れ込んで、痛かった分、反対に激烈な快感が跡部を襲った。
「……くんッ…んんッッ………うぐ……ッッッ!」
不二を深々と咥え飲み込んだままで、跡部は不二の手の中に、三度目の精をどくり、と吐きだした。
全身が宙にでも浮いたかのように軽くなり、びりびりと感電したように快感が駆けめぐる。
「んぐ……んんんッッ…」
体重がかかった手首の痛みまでもが甘美な快感になり、跡部は全身を痙攣させて快感に酔いしれた。
もちろん、いつのまにか、一心不乱に不二のペニスをしゃぶっている。
「………すげぇ……」
菊丸が拳を握りしめて、感嘆の声を漏らした。
「さすが、不二だにゃ。……なんか、俺完敗……」
「あはは、エージったら。…跡部に素質があるからだよ。ボクじゃなくて、跡部がいいから……ね?」
「でも、アトベー……こんなに従順になっててさ……」
はぁ、と溜息を吐き、菊丸が首を振って不二を見る。
「不二にはかなわないにゃ…」
不二がくす、と笑って、夢中で不二のペニスをしゃぶっている跡部の髪を優しく撫でた。
「跡部、上手だね。…ご褒美に、後ろに、入れてあげる。…さぁ、もういいよ。今度は四つんばいになって、ボクに、キミの可愛いお尻を見せて?」
「…………」
痛みと、その後の射精の快感で、跡部の頭は既にぼおっとなっていた。
不二の言葉だけが耳から入ってきて、跡部は、口からだらだらと涎を垂らしながら、不二のペニスを離した。
四つんばい-------その言葉だけが脳裏を駆け巡り、のろのろと身体を起こすと、不自由な上半身に顔を顰めつつ、俯せになる。
シーツに顔を埋めると、シーツの感触が心地良く、身体中がお湯にでも浸かったかのように火照って敏感になっていて、跡部は思わずうっとりと瞳を細め、熱い吐息を漏らした。
「お尻挙げて? ボクによく見えるようにね?」
「……ぁ…あぁ……」
言われるままに尻を上げ、振り向いて不二を見上げる。
不二が茶色の瞳を細めて、満足そうに頷いた。
「そう、……いい子だね、跡部。…どう、……お尻がうずうずしてるでしょ? ボクのこれが……」
不二はそこで跡部に、先ほどまで跡部がしゃぶっていたせいでぬらぬらと光る己のペニスを示した。
「欲しくて……どう…ここに、入れてほしい? 貫いて、もっと、気持ちよくしてあげるよ……?」
「………」
言われると、じぃん、とアナルが疼いた。
欲しい-------------その単語が頭に渦巻き、跡部は霞んだ瞳で不二を見上げて頷いた。
「じゃぁ、ちゃんと言ってみて。……欲しいって、跡部。……入れてくださいって……言ってごらん?」
不二が手を伸ばして、跡部のシーツに散らばった髪を優しく撫でてくる。
「………う…ほ、しい……」
跡部はひゅっと息を吸い込んだ。
「……入れて、……」
「……なぁに? その先もちゃんと言うんだよ?」
跡部の言葉が切れたのを見て、更に優しく髪を梳いてくる。
跡部はごくり、と喉を鳴らした。
「………入れて……くださ、い……」
不二を見ながら、掠れた声でそう言うと、菊丸が目を見開いた。
「…不二、すげぇ……」
「ふふふ、じゃあ、入れてあげる……」
次の瞬間、不二が跡部のアナル目掛けて思い切りペニスを突き刺してきた。
柔らかく綻びきったアナルの襞をめりめりと広げ、濡れた内壁を突き、前立腺を擦りあげながら、ペニスがねじ込まれる。
「………んぐッッッッ!」
跡部は、拘束された手首が擦れて赤くなるほど強く力を込め、背筋を反り返らせて、不二のペニスを深々と受け入れた。
目の前が白くなり、脳の中が爆発する。
不二が入ってきた部分が熱く蕩け、ぐつぐつと煮えたって、その熱が全身を蕩かしてくる。
「あ……あ、あ、あ……んぐ……ひッぁ……ああ、い、いいッ、ふ、じッ……あ、あぁ、ッッッ!」
不二のペニスがぐっと入り、抜かれ、また挿入されるのに合わせて、快感が電撃のごとく突き抜けていき、跡部は喉を枯らして喘いだ。
「く、…んくッ……あッ、だ、駄目、だッッ……も、もう、死ぬ…ッッッッ!」
「ふふ、死ねば?」
不二が言って、跡部の前立腺を思い切り突いてきた。
「ひぎッ……いッ……あぁぁぁッッッ!!」
もう、何も出ないと思っていたペニスがびくびくとまた痙攣した。
薄い白濁がどく、と迸り出る。
全身が痙攣しながら宙に浮き、そのままどこかへ飛んでいってしまいそうな、そんな感じさえした。
意識がすぅっと無くなっていき、目の前が暗くなる。
軽い失墜感と共に、跡部はぐったりとベッドに沈み込んだ。
「…不二……すげぇ……」
不二が満足げに息を吐き、ずるり、と跡部からペニスを抜くのを横目で眺めながら、菊丸も詰めていた息をはぁ、と吐いた。
「なんか俺が疲れてるし……」
「あはは、エージが疲れることないじゃない? ボクだって別に疲れてないよ?」
「そりゃ、不二はなんか……ちょっと別人って感じだし……な、オチビ?」
「……まぁ、…さすが不二先輩って感じっスかねぇ」
さすがのリョーマもふぅ、と息を吐いて、部室の壁に沿って置かれているソファに腰を下ろした。
「不二先輩の見ちゃったら、俺たち手も足も出ねぇって感じっスよ…」
桃城も頬を紅潮させて口ごもる。
「そんなに畏まらなくてもいいのに……ほら、跡部のお尻、すっかりほぐれてるよ? 意識もなんだかはっきりしてなさそうだし、今ならやり放題じゃない?」
身支度を整えた不二がにっこりして言った。
「い、いや、俺は……」
不二に見据えられて桃城が手を振って慌てて後ずさった所に。
「あーっ、まずい!」
ふと窓の外を見た菊丸が大声を出した。
「ど、どうしたっスか?」
「海堂と手塚がくるー!」
「え、……ほんと?」
「ほ、ほら、あそこ……」
と、菊丸が指さした窓の外に、二人並んで歩いてくる海堂と手塚の姿が3人の目に入った。
「ほ、ほんとッス……今日は部長、来ないんじゃなかったっスか?」
「海堂先輩と手塚部長、今日は生徒会の用事で部活休むって言ってたっスよ?」
今日は学校は休日なのだが、特別に生徒会の予算委員会があり、あらかじめ生徒会長の手塚と、生徒会の会計をやっている海堂は部活に来られないからよろしく頼む、と不二に話があったのだ。
それで不二たちが今日の計画を立てたわけだが。
「…と、とにかく、来るよ……どうするにゃ!」
「どうするって………逃げちゃおう!」
「逃げるンスか、不二先輩?」
「こっちこっち……裏の窓から逃げよう?」
さすがの不二もこの自体は予測していなかったらしい。
4人は大慌てでバッグを手に掴むと、出入り口とは反対側にある窓を開け、這々の体で逃げ出した。
窓をぴしゃっと閉めた時に、ドアノブが回った。
部室には、全裸で手首を後ろ手に拘束され、ベッドに俯せで突っ伏して朦朧としたままの跡部が一人残された。