「……………」
逆らえなかった。
頭の中ががんがんと鳴り、何も考えられなくなる。
手塚は無意識のうちに頷いていた。
跡部が顎を仰け反らせて笑う。
「じゃぁ、脱げよ……。ほら、脱いでここに来いよ…」
そう言って跡部はベッドの上でゆっくりと足を開いた。
先ほどまで思う様蹂躙され、充血して赤く腫れたアナルが露わになる。
----------ごくり。
唾を飲み込み、手塚は眉間に皺を寄せたまま、制服に手を掛けた。
学ランを肩から滑り落とし、シャツのボタンに手をかける。
しかしそこで、手塚のなけなしの理性が行動を留めた。
いくらなんでも------身体は燃え盛り、ペニスは痛いぐらいに張り詰めてはいても、やはり手塚だった。
「…………」
手塚の手が止まって動かなくなったのを見て、跡部は軽く舌打ちした。
(さすが手塚だが………面白くねぇ……)
ここでやめられたら、沽券に関わる。
(俺様がここまで誘ってやってるのに、手塚のやつだけ俺のことを欲しがらねぇなんて、許さねえ…)
「手塚…」
跡部は甘く掠れた鼻にかかった声で手塚を呼んだ。
はっとして弾かれたように手塚が跡部を見る。
その眼鏡の奧の切れ長の眼に笑いかけて、跡部は手を伸ばし、手塚の制服のズボンに手を掛けた。
カチャ、とベルトを外し、ジッパーを下げる。
開くと、飛び出るように下着を押し上げて、手塚のペニスが出てきた。
下着の中から取り出すと、それは既に凶悪なまでに勃起しており、すっかり剥けた先端は先走りでねっとりと濡れていた。
下着もすでにぐっしょりと濡れており、跡部は軽く笑った。
「すげぇな……」
体格の良い手塚だけに、ペニスも大きかった。
猛々しく勃起したそれは獣のようで、手塚の普段の性格からは想像も付かないほどだった。
勢いよくズボンを引き下ろし、眼で示して脚から脱がせると、跡部は手塚の腰に手を回した。
「……来いよ…」
囁いて、大きく脚を広げ、手塚の腰に絡める。
ギシ……。
ベッドを軋ませて半ば呆然としたまま、手塚が跡部にのし掛かってくる。
跡部はくすくす笑いながら、手塚のペニスを手に取ると、自分のアナルに導いた。
「ほら、……入って来いよ……」
手塚の耳元で囁くと、手塚の喉が上下し、息を吸い込むのが分かった。
「………ッッくッッ!」
次の瞬間、一気にアナルが押し開かれ、異物がぐぐっと体内に入ってきた。
さすがに衝撃が来て、跡部は喉を詰まらせて声にならない悲鳴を上げた。
大きく広げた内股が、痙攣したように震える。
爪先が宙に浮き、足指まで痙攣する。
「て、づか……ッッ!」
ずぅん、と重く甘い衝撃が背骨を蕩かしていく。
跡部は白い喉を仰け反らせて喘いだ。
………気持ちが、いい。
痛みの感覚など、いつの間にか忘れてしまったらしい。
いや、痛いのは痛いはずなのだが……それが最早痛みと思えなくなっている。
甘くて、ぞくぞくと全身が沸き立つような快感だ。
下半身が蕩け、脳が煮え立つ。
「んはッ……んくッ、んッッ…ッも、っと、来いッ……」
挿入によって涙が生理的に浮かんでくる。
その涙に濡れた瞳を開けて、重い腕を上げ、手塚の髪に指を絡めて引っ張るようにしながら喘ぐと、手塚が眉間に深く皺を寄せ、く、と唇を噛んだ。
太く堅いペニスが、ぐいぐいと内臓を抉り掻き分け、押し上げてくる。
喉から胃が迫り出しそうだ。
全身から汗が噴き出し、霞んだ瞳に手塚の秀麗な顔が映る。
「ん……くッん……んんッうッ……はッ……ッッ!」
喘ぎ喘ぎ、快感を余すところなく貪るように、跡部が白い脚を手塚の腰に絡める。
「く……あと、べッ……!」
手塚の掠れた呻きにも、ぞくぞくと全身が総毛立つ。
「いい声ッ、出すじゃ、ねえか……ッッ、手塚ッッ!」
低く響くバリトンの美声。
それが自分を呼んでくる。
全身が震え、さんざん射精した後だというのに、ペニスがまた膨らんで重く立ち上がっていく。
先端が手塚の腹に当たって擦れ、快感がそこからも脳天まで稲妻のように突き上げてくる。
「く……あ、あッ……うッ…、て、づか………ッ!」
もう何人もの男を受け入れたアナルはすっかり解れ、前立腺を刺激され続けて、爛れるように熟れていた。
快感が背骨を駆け上がり、絶頂感に目の前が真っ白になる。
「…………!」
一気に血圧が上がり、全身を戦慄かせて跡部は、手塚と己の腹の間に勢いよく白濁を飛び散らせた。
些か濃度は薄くなったものの、どこにそれだけの量があったのか、と思うほどの液体が迸り出る。
射精と同時に内部をきゅっと締め上げたからだろうか、手塚もぐ、と唇を噛み締め、全身を強張らせながら、跡部の体内で大きく膨らんだかと思うと、次の瞬間、勢いよく弾けた。
どくどくと腸内に熱い液体が流し込まれるのを感じて、跡部が満足げに微笑む。
-----------ガタン。
その時、背後で大きな音がして、跡部ははっと我に返った。
手塚も同様らしい。
はっとしたように横を向く。
「……海堂…」
手塚の強張った声。
海堂が椅子を倒して立っていた。
どうしたらいいのか分からない、というような表情。
視線が手塚と合うと、さっと顔を赤らめ俯き、拳を握った手はぶるぶると震えている。
(…しまった。海堂の事、忘れてたぜ……)
すっかり手塚籠絡に夢中になっていて、海堂がいたことを忘れていた。
(海堂か……)
手塚の身体の下で、跡部は海堂をぶしつけに眺めた。
俯いていた顔をおずおずと上げ、跡部と視線が合うとはっとして目許を真っ赤にしてまた俯く。
(なんだ、青学のくせに、随分と純情なんじゃねぇか…)
先ほど自分を強姦したやつらととても同じ部員とは思えない。
(どっちかってーと、手塚に似てるってやつか…)
ストイックで努力型。
口数は少ないが、確実に実力をあげていくタイプだ。
生活態度も至って真面目。
まさか部室でこんな事が行われていたとは、想像もしないタイプ。
このまま逃げていってしまいそうだ。
ふと跡部はそう思って不快な気分になった。
手塚でさえ、俺が誘ったら乗ってきた。
なのに、ここで海堂に逃げられてたまるか。
なぜかそんな負けられない気持ちまで湧いてきた。
「す、すんません……あの、俺……」
ぼそぼそと口籠もりながら海堂が言葉を発する。
「お、俺………その……」
「海堂」
愕然としていて声も出ない手塚に変わって、跡部が声を掛けた。
跡部の声を聞き、弾かれたように海堂が顔を上げる。
再び視線が合い、跡部は濡れた灰青色の双眸を細め、口角をつりあげて微笑んで見せた。
「こっち、来いよ、海堂……」
そう言って手塚の首に回していた腕を解き、海堂を手招きする。
「なぁ、……お前のことも、可愛がってやるからよ…」
5,6人目その3。
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