「い、いえ、俺はその……」
跡部の言葉を聞いて、呆然と上擦った声で口籠もりながら海堂が答える。
「お、俺は……」
「ほら……遠慮するなよ。なぁ、海堂……俺がしてやるからよ……」
手首に赤く痣の残る手をひらひらと振ると、その痣を見てか、海堂がごくり、と唾を飲み込んだ。
「……俺のこと、好きにしていいんだぜ…? な?」
できるだけ甘く、機嫌を取るかのように優しく声を掛ける。
海堂がふらり、と身体を揺らした。
ゆらん、とふらつきながらも、跡部と手塚の方に寄ってくる。
「可愛いやつだぜ……」
灰青色の瞳を細め形の良い唇をふ、と緩ませて跡部は微笑んだ。
「なぁ、手塚。……海堂も可愛がってやらねぇと可哀想だよな?」
自分の身体に覆い被さったままで横を向いて海堂を見ていた手塚に手を伸ばし、頬を軽く撫でながら言うと、手塚がはっとして跡部を見下ろしてきた。
切れ長の深い海のような瞳に笑いかけると、手塚が瞬きを数度繰り返し、なんとも言えない表情をする。
「海堂が恥ずかしがってるようだからな……お前が手助けしてやれよ……」
手塚の身体を起こさせ、ずるり、と尻から手塚の長いペニスを抜きながら、跡部はふぅ、と息を吐いた。
手塚の唇にねっとりと吸い付き、舌同士を絡める濃厚なキスをしてから、乱れた前髪を掻き上げる。
気怠げに身体を起こすと、今度は四つん這いになって海堂の方に尻を向ける。
「ほら、……挿れてみろ……」
「……ぶ、部長っ」
海堂が動揺した声を出した。
「手塚、助けてやれよ……」
「……あ、あぁ…」
手塚もまっとうな理性が働いていないらしい。
もっとも、自分がセックスしてしまったばかりでは、それも無理からぬ事ではあるが。
「…海堂、ズボンを脱げ」
手塚は自分がリードしないと駄目だと思ったのか、ベッドで上体を起こしたままの姿勢で海堂に声を掛けた。
「……ぬ、脱ぐんスか?」
「あぁ、跡部がせっかく申し出てくれているんだ。申し訳ないだろう?」
「…そ、そうッスね…」
海堂も、その場の淫猥な雰囲気と手塚の言葉にすっかり理性を失っていた。
手塚に言われるままに慌てて制服のズボンを脱ぐ。
海堂も普段から身体を鍛えているスポーツマンである。
顔は幼い雰囲気ではあるものの、身体は筋力の必要なプレイをするせいか、筋肉がついて逞しかった。
下半身が露わになると、外見に似合わず大きく既に剥けたペニスが飛び出てきた。
すっかり勃起しきって、腹に付くほどそそり立っており、色黒の地肌のせいか、ペニスも色黒でそこだけ見ると凶悪なまでの面構えである。
しかも、跡部と手塚の情事を目の前で見せられたのだ。
余程刺激が強かったのだろう。
先端からは滴るほどに先走りが溢れ、部室の照明にてらてらと光っている。
---------------ズキン。
と、射精したばかりのペニスが疼いて、跡部は思わず息を呑んだ。
「……ほら、…来いよ…」
掠れた声で囁き、海堂に向けて尻を突き出す。
「海堂、跡部がああ言ってるのだから、早くしろ」
手塚も掠れた声でそう言ってきた。
「は、はい…」
ふらふらとベッドに近寄ると、海堂は自分の方に向けられた跡部の白い尻を両手でぐっと掴んだ。
「………」
脳がすっかりもう思考力を失って、くらくらする。
目の前に、白く円やかな掴み心地のいい尻がある。
所々赤く腫れているようなのが、もっと自分の手で赤く腫らしてやりたい、という欲望を起こさせる。
力を入れて抓ってみると、微かに震える。
震える白い尻の中心は、もっと震えていた。
ピンク色に濡れた粘膜が、口を空いたり閉じたりしている。
てらてらと光りぬめった鮮紅色の内部と、綺麗に揃った襞が開いたり閉じたりする入り口。
赤く腫れて、口を開けると中からくぷ、と白く濁った粘液を溢れさせている。
(これは、……部長の精液なんだろうか)
そう思った途端、ぞくり、と全身が戦慄いた。
自分のものも、この可愛らしい口に挿し入れて、欲望を思う存分この中に流し込んでやりたい。
そんな、凶悪な欲望が込み上げてきた。
今までそんな事など考えたこともないのに。
-----------海堂は手塚に負けず劣らず品行方正で、異性と付き合った事もない。
だいたいそんな事など考えた事もないのだ。
頭の中は常にテニスの事ばかりだ。
たまに学校の勉強のことも入ってくるが、それ以外は殆ど何もないに等しい。
自慰は生理的欲求が溜まればするものの、淡泊なもので、なんとなく布団の中で擦っているうちに出る、というぐらいのものだ。
海堂にとっては排泄とあまり変わらないものだった。
そういう欲望が薄いので、特に不便も感じなかった。
なのに、……こんなに自分が勃起したのも初めてだが、直接的な刺激を受けて全身が戦慄き、脳が沸騰するような興奮も生まれて初めてだった。
くらくらして、血がペニスに全て集まっていくようで、ふらつく。
………堪えきれない。
目の前の尻に自分のものを突っ込んで、射精したい。
視界がぼやけるような気がした。
ごくり、と唾を飲み込み、海堂は一気に跡部の肛門に自分のペニスを突き入れた。
「………ッッ!」
ずん、と喉元まで内蔵が迫り上がってくるような心地がし、跡部は思わず背中をぴん、と反らせ喉を仰け反らせた。
く、と唇を噛み、秀麗な眉を寄せ、瞼を固く閉じる。
ずくずくと内部の柔らかな部分を抉るように海堂の堅い楔が埋め込まれる。
ぞくぞくと全身の毛が逆立った。
………気持ち良かった。
身体中が熱く蕩け、汗が噴き出る。
簡易ベッドの粗末なシーツを千切れるほど握りしめ、跡部は快感を堪えようと顔をがくり、と突っ伏した。
痛みなどどこかに消え去ってしまい、身体を快感だけが支配していた。
「く……んんッ…ぁ、もっと、来いよ……ッ、ほら、遠慮するんじゃねぇッッ!」
自分からも腰を激しく振り、海堂の腰にぶつけるようにする。
「あ、だ、駄目っス……イ、イっちまうッス…!」
海堂には刺激が強すぎたのだろうか。
跡部が腰を動かした途端に切羽詰まった声を上げる。
と、すぐさま、どくん、と腸壁に熱い迸りが叩きつけられたのを跡部は感じた。
「……なんだ、もうかよ……」
思わず跡部が不満げに鼻を鳴らすと、
「す、すんません……」
唇を噛みしめ、海堂が数度身体をびくびくと震わせた。
「……海堂……」
ベッドに腰掛けて二人の情事を眉を顰めて眺めていた手塚が、どうしたものか、というように声を掛けてきた。
「気にするな…」
「………は、はい…」
恥ずかしそうに答えると、海堂が跡部の尻からペニスを抜く。
「……俺がイってねえぜ…」
跡部は四つん這いで突っ伏したまま、顔だけ後ろを向き、海堂を睨んだ。
もう少しで絶頂に達しそうになった所でやめられて、ペニスは中途半端にずくずくと疼き、尻ももっと太いものが欲しい、と飢えにも似た欲望を跡部の脳まで伝えてくる。
疼いてどうしようもない内部を、すぐにでも掻き回してほしい。
居ても立ってもいられないような疼きが跡部を襲う。
「……おい、手塚……続きやれよ?」
跡部は、悠長に腰掛けている手塚を見上げて睨み付けた。
「……俺がか?」
「あぁ、……お前、まだまだイけそうじゃねえか…」
手塚のペニスは、一度射精したとはいうものの、海堂と跡部を見ていたせいか、再び勃起していた。
ベッドの端に腰を掛け、脚を片方だけベッドに乗せて脚を開いているので、その中心で大きく反り返ったペニスが、跡部の目に飛び込んでくる。
ごくり、と唾を飲み込み、跡部は潤んだ瞳を眇めた。
「すぐに来い。……俺をイかせろ」
5,6人目その4。
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