お気に召すまま 
《7》









「は…ッン、ちょ、ちょぉ、待ち…」
「待てねぇぜ…俺の息子を見ろよ。…一触即発だな…?」
跡部がくすくすと笑いながら、忍足の乳房を両手で掴み、寄せ上げるようにして盛り上がった部分に顔を埋め、頬ずりでもするように顔を動かしてきた。
「…いい気持ちだぜ。…お前もやりてぇだろ?自分のじゃできねぇからなぁ…」
顔を上げ、忍足を見上げて得意そうに笑う。
「べ、別に…機会があれば俺でもできるやろ…。他の子相手にな…」
「はっ、まぁそうだな。しかし、お前みてぇにいい乳の持ち主もそうそういねえぜ?」
再び顔を埋め、柔らかく弾力のある肌を楽しんで、跡部が言う。
自分の顔のすぐ下で茶色の髪が揺れ、胸が圧迫されまさぐられるのを、忍足はなんともいえない気持ちで眺めた。
くすぐったいが、悪い気持ちではない。
もっと触って欲しいような…甘い疼きがぞくっと背筋を震わせる。
下半身が更に熱くなり、とろりと蕩けていくのを感じる。
「一回抜くか…。このままじゃ我慢効かねぇで、お前を思いきり犯しちまいそうだぜ…」
熟れた大きな乳首を口に含み、ちゅうと吸い上げながら跡部が呟いた。
「お前のバージンいただくんだからな……できるだけ痛くねぇようにしたいからな…」
そう言って顔を上げ、名残惜しげに乳首を吸って唇を離すと、跡部は忍足の身体に跨ぐようにして膝立ちになった。
ちょうど忍足の脇の下あたりに膝を進めたので、忍足の眼前に跡部の勃起したペニスが突き出される。
「……な、なんや…」
些かぼーっとして跡部の与えてくる初めての快感に浸っていた忍足はぎょっとした。
「なにって………一回抜いとくかと思ってな?」
「………抜く?」
「あぁ……ほら、しゃぶってくれよ…」
「はァ………?」
「フェラしてくれって言ってんだよ」
「フェ……フェラ……ッ? 冗談ッ、きついわッ!」
跡部の言葉を理解して、忍足は思わず叫んだ。
「なんで俺が他の男の持ち物舐めなあかんのや!」
「なんでって………ンなにいやかよ…」
さすがに忍足が大声を出して拒絶するとは思っていなかったらしい。
跡部が傷ついたような声を出した。
「ヤる時は、舐めてくれるのが普通じゃねぇのか…お互い様だしよ…」
「……お互い様って…」
「忍足…そうか…そういやお前……童貞だから、経験ねぇんだな…」
「…………べ、別に中学生やし…童貞でもおかしないわ…」
バカにされたような気がして、そっぽをむいてぼそぼそ答える。
気分を害したような表情だった跡部が気を取り直したのか、瞳を細め、忍足を覗き込むようにしてきた。
「はっ、まぁ、いいぜ。…童貞なお前にいろいろ無理難題言ってもしょうがねぇってか?…だけどよ…」
言って再び忍足の眼前にペニスを突きつける。
「まぁ、俺のたってのお願いだぜ…なぁ、忍足……フェラしてくれよ……」
低い甘い声音で囁かれて、ズキン、と腰が疼いた。
熱くとろり、と溶けていく感じだ。
「な、……そんな事言われたかて……」
腰の疼きに気を取られ、頬を染めて顔を背ける。
そんな忍足の様子を見てあと一押しと思ったのか、跡部が猫なで声を出してきた。
「なぁ、そう言わずに…してくれよ、忍足…お前にしてもらえたら、極楽なんだけどなァ…?」
「……………」
「忍足………俺のこと、嫌いか…?」
「…………」
「冷てぇじゃねぇか……俺とお前の仲だろ……忍足…………なぁ、してくれよ…」
跡部に何回も言われてそれでもふん、とそっぽ向けるほど忍足は冷たい人間ではなかった。
あの跡部が自分に何度も頼んできているのである。
申し訳ない気持ちにもなるというものだ。
「しゃあないなぁ……」
溜息を吐いて、顔を上げる。
目の前に、跡部の勃起したモノがそそり立っている。
先端から透明な先走りをとろり、と垂らし、湯気が立ちそうな程熱く堅く反り返っている。
やっぱり、気持ち悪いかも知れない。
同じ男の性器を咥えてしゃぶる………などとは昨日まで思いもしなかった事なのだが…。
















「………………」
眉間に皺を寄せ、ごくり、と唾を飲み込んでから、忍足は堅く目を閉じて思い切って大きく口を開いた。
どうせなら一気にやってしまった方が潔い。
忍足は跡部のソレを喉奧まで深く飲み込んだ。
「………ンぐッ…」
忽ち口腔内が跡部のペニスで一杯になり、喉奧をペニスの先端で突かれて思わず噎せる。
吐き出しそうになるのを何とか押さえて、忍足は軽く歯を立ててみた。
弾力のある熱い肉棒の感触が歯にダイレクトに伝わってくる。
(………熱い……ちゅうか…堅いちゅうか……)
何とも言えない気持ちになる。
滲み出ていた先走りが舌を刺激して、表現しようのない味がする。
(…………こんな感触、なんか……)
背筋がぞくっと冷たくなったような気がして、忍足は思わず眉間に深い皺を寄せた。
「………忍足……」
頭上で跡部の感激したような声が聞こえる。
不意に髪に跡部の手が差し入れられ、髪を梳くように撫でられて、忍足は更にぞくぞくした。
うっすらと目を開けると、眼前に茶色の陰毛と跡部の引き締まった腹が見える。
下唇に陰嚢が当たってくすぐったい。
上目遣いにちらり、と跡部の表情を見上げると、跡部は秀麗な眉を寄せ、形の良い唇を少し開いて、目を閉じて長い睫を微かに震わせていた。
忍足の口からの快感を余さず受け取ろうというのか、そこに神経を集中させているようである。
(………………)
なんだか複雑な気持ちになって、忍足は眼を瞬くと、跡部から視線を逸らした。
変な気分だ。
「なぁ……動かして、くれよ…」
頭上から掠れた甘い声が降ってきた。
「ン……ンン…」
はっとして忍足は口をゆっくりと動かし始めた。
唇を窄め、肉棒を唇で挟むようにして顔を引き、雁首を歯に引っかけるようにしながらちゅ、と先端を吸い上げる。
忍足は童貞だったから、勿論、誰かにフェラチオをしてもらった経験などない。
だから、実際に自分のモノで経験したわけではないが、書物等での知識は豊富だ。
(真面目な忍足だが、そういう所に興味がないわけではないので、当然本などはよく読んでいる)。
それを思い出す。
(とりあえず舐めて吸って、歯や舌で擦ったりすればええんやな…)
「……おい、上手ぇじゃねえか……」
跡部がやや驚いたような声を出した。
「なんだよ、やったことがあるのか?」
「……ンッ、あるわけっ、ないやろっ!」
跡部がとんでもない事を言ってきたので、忍足は口に含んでいた跡部のペニスを一旦口の外に出して反論した。
「……やったことねぇのに、これかよ……」
跡部がおいおいと言った感じで目を見開き、肩を竦める。
「……すげえな。……いい女だぜ……」
「………その台詞、キショイからやめぃや…」
「まぁ、そう言わずによ………本当にいい女だぜ、忍足……」
頬をすうっと撫でられてぞくぞくと背中が総毛立つ。
「続き………やってくれよ…」
掠れた声で囁かれて、更に背筋がぞくっとし、忍足は身体を震わせると、眉間に深く皺を寄せたまま、跡部を咥えなおした。
「…………いい、気持ちだぜ…」
跡部が満足げに瞳を閉じて陶酔したような声で言いながら、手を回し、忍足のたわわな乳房に指を這わせてきた。
乳房を掴み、やわやわと握りながら、微妙な強弱を付けて揉みしだいてくる。
乳首をくり、とつまみ上げ、親指と人差し指でくりくりと転がしてくる。
そのたびにじぃん、と腹の中が疼いて、下半身が熱くとろりととろけてくる。
そんな感覚も生まれて初めてだ。
今まで感じたことのない、じんわりとした快感。
男の時よりも深くてゆっくりと熱くなっていくような感じだ。
--------------悪くないかも。
いつしか忍足は下半身に感覚を集中させつつ、無我夢中で跡部のものをしゃぶっていた。
口の中の熱く弾力のある肉塊を舐め、歯を立てて軽く噛み、食べるようにしながら喉奧まで深く吸い込む。
ちゅく、と音をさせて吸いあげ、先端から滲み出るとろりとした液体を啜る。
「……も、いい……出ちまう……」
跡部が切羽詰まったような声で言ってきた。
言った途端に口の中の肉塊がどくん、と跳ねた。
喉奧に熱い迸りが叩きつけられ、生理的に忍足は噎せてペニスを吐き出した。
















「…ゴホッ…ふ、ン……ゲホ……」
顔を背け、掌を当てて口の中に溜まった粘液を吐き出す。
生臭いなんとも表現しようのない味に、たまらずに忍足は激しく顔を振り、掌にたまった白濁を傍らのティッシュを数枚一度に抜いてごしごしと拭き取った。
「……まず……ッッ」
口の中に苦く生臭い味が残り、忍足は眉間に深く皺を寄せて首を振った。
「こんな、まずいもん…死ぬわ………み、水、ないんか?」
「おい、そこまで言わなくてもいいじゃねぇか……ほら、水…」
ペニスを乱暴に吐き出されて些か不満げながらも、忍足を気遣ってか、跡部は立ち上がると部屋の片隅に設置してある部屋専用の冷蔵庫からペットボトルを取り出し、それを持って戻ってきた。
忍足の隣にごろり、と横になると、ペットボトルの蓋を取って忍足に渡す。
「……ン……」
口を付けると冷たいレモン水が喉に流れてきて、忍足は生き返ったような気持ちでそれを飲んだ。
「まぁ、俺も口に出す気はなかったんだけどよ……お前が上手いもんで、つい我慢効かなくてな?」
跡部がくす、と笑いながらそう言ってきたので、ごくん、とレモン水を飲んでやっと人心地ついた忍足は眉を顰めて跡部を見た。
「跡部は百戦錬磨なんやろ?もうちょい我慢せぇや……」
「そう言うなよ……お前があんまりいい女なもんでな…」
「……そう、オンナオンナ言うな…なんや、本当にオンナになった気ぃしてくるわ…」
「おい、今は本当に女だろうが…」
更に笑って跡部が身体を起こす。
上からじっと灰青色の瞳で見つめられて、どうにもいたたまれなくなり、忍足は視線を逸らした。
「お前に随分サービスしてもらっちまったからな……今度は俺がじっくりサービスするぜ…」
不意に跡部が低く響く声で囁いたかと思うと、身体をずらした。
あっと思う間もなく、忍足の両脚が太腿の所で左右に広げられて、その広げられた脚の間に跡部が入ってきた。
忍足は仰天した。
「ちょ、ちょぉ、待って…ッ」


















結構跡部がオヤジですね…。