お気に召すまま 
《9》









「あ、あとべっ……!」
「心配するなよ、強引にはやらねえからな…」
忍足の怯えが分かったのか、跡部がくす、と笑う。
「すぐにでも挿れてぇ所だが、まぁ、我慢大会という所か……辛いぜ……」
くすくす笑いながら、跡部が指を再び忍足の花芽に宛ててきた。
円を描くように指の腹を回しながら時折芽をはじき、細かく振動を与えてくる。
「あ、…んな、んか、へんや……って……あと、べ……ちょ、やめっっ…!!」
言っても跡部がやめるはずがない。
それどころか、忍足の反応ににやにやと頬を緩めつつ、更に繊細に花芽を細かく愛撫してくる。
(……?!)
不意につつかれた所から電撃のように堪えきれない衝撃が広がり、びくびくと背筋が仰け反った。
太腿が突っ張り、喉が詰まる。
「----------ッッ!」
次の瞬間、忍足は仰け反ったまま息を飲んだ。
身体が硬直し、頭が爆発したように熱く滾り、思考が一気に弾ける
身体が浮き上がってどこかに跳んでいってしまいそうになる。















「………イったか……感度いいぜ……」
忍足の身体をがっちりと両足で押さえて、跡部が満足げに笑った。
「………はぁッ……んッ…」
一瞬の硬直が次の瞬間、崩れるように解けた。
じぃんと身体中が熱くなり、蕩けたように柔らかくなる。
ぐったりと跡部に凭れかかり、忍足は荒い息を吐いた。
「……すっかりぐしょぐしょになっちまったぜ……これならローションとか使わなくても十分だな…」
濡れそぼった指を目の高さまで上げて見入り、跡部が笑う。
「今ならいい具合に身体も柔らかくなってるしな……じゃぁ、いただくか……」
不意に背後から身体を抱き上げられ、反転させられた。
あっと思う間もなく、そのままベッドに仰向けに寝かされる。
「あ……あとべ?」
「大丈夫だからな、……安心していろよ……」
太腿を跡部が掴んできた。
ぐっと掴まれたその両足が高くかかげられ、跡部の肩に乗せられる。
「……や、その……ちょぉ、待ち……」
展開が早いので、忍足は慌てた。
そりゃまぁ、…ある程度覚悟はもう決めていたのだが……。
「タイミング的に今がいいんだよ。……忍足……可愛いぜ……」
跡部が低く耳に響く声で囁いてきた。
じんじんと痺れたようになっている部分に太く堅いものがぴた、と押し当てられる。
「………あ、とべ…」
「ゆっくり入れるからな…」
「や、その、あんなんでかいもん……入らんって……」
「入るから安心してろよ…」
脚の間にぐぐっと跡部の体重がかかってきた。
それとともに、大きく開いた脚の中心の、じんじんと痺れた柔らかな部分に、鋭く堅い切っ先が当たってきた。
「………くッッッ!!」
次の瞬間、その切っ先がずぶり、とまるで傷がついたばかりの柔らかな傷口を押し広げるように、めりこんできた。
ずしん、と背骨まで突き抜けるような衝撃がして、忍足は思わずぎゅっと堅く目を瞑った。
めりめりと身体が引き裂かれるような、焼け付くような衝撃が襲う。
「…いたッッッ!!」
ある部分を堅い異物が無理矢理突破した途端に、脳天まで突き抜ける激痛が走り抜け、忍足は全身を突っ張らせて跡部を押し退けようとした。
「……ここでやめねえぜ?」
しかし跡部はそんな忍足を上から体重を掛けて、少しも逃がさないというように押さえ付けてきた。
ぐぐっと異物が侵入してくる。
全身が震える。
わんわんと耳鳴りがして、忍足は喉を仰け反らせて掠れた呻きをあげた。
「……いた、あ、ッッつ……く……ッッ!」
「………入ったぜ……」
忍足の抵抗をものともせず、熱くとろけた蜜壺に自分のペニスを深々と突き入れて、跡部がふぅ、と息を吐きながら声を発した。
入ったぜ、という言葉はなんとか耳に入ってきたものの、忍足は激痛で何も考えられなかった。
痛い。
ひりひりと赤く剥けた部分を突かれているようだ。
びりびり痺れと激痛で全身が戦慄いて、声も震える。
「……痛い、てッ!」
ごほごほと咳き込み、掠れた声で漸く忍足は叫んだ。
「…んな痛くて、…なんも気持ちよう、ないやん!」
先ほどまでの気持ち良さなどすっかりどこかに吹っ飛んでしまった。
跡部の身体をぐいぐいと押し返すようにしながら、霞んだ瞳を開いて身体の上の跡部を睨む。
「…どうしたよ?」
忍足が睨んでいるのに気づいて、跡部が、くす、と笑った。
「………痛い、言うてるやろ!」
「……痛いのはある程度我慢してくれねえとな、次に進めねえだろ? 最初は誰でもいてえもんだぜ?」
「……なんや、経験者のようやな……」
跡部が肩を竦めた。
「俺も女になって、やられてみてえもんだぜ」
「……本気か?」
「あぁ、本気だぜ?」
跡部がくすくす笑いながら、身体を屈めて忍足の黒髪に軽く口付けてきた。
「女の方が気持ちいいって言うしな……お前が羨ましいぜ、忍足。……ってわけでな……動くぜ?」
冗談なのか本気なのか。
忍足は眉を顰めて跡部を見上げた……とずる、と跡部が動いて、脳天まで鋭く激痛が走り抜けた。
「……くッッ!」
「…我慢しろ」
「い、いたッ、いたいてッ……ん、ッ、やめッッ!」
今度はいくら言っても跡部は全くやめようとしなかった。
ここまで来てやめるわけにも行かないのだろうが。
「は、っ……んく……くっ、ひ、……いッ!」
跡部がずっずっとペニスを出し入れするたびに、焼け付くような激痛が走る。
下半身が全部焼け爛れたように熱く、特に跡部が入っている部分は火箸でも突き入れられているようだった。
痛みの余り涙が溢れてきて、視界が白く霞む。
忍足は痛みから少しでも逃れようと、無意識に腕を突っ張らせた。
だが跡部はやめようとしない。
それどころか気持ちいいのか、満足げに瞳を閉じて身体を動かしている。
尻がリズミカルに動き、それに伴って熱い吐息が忍足の頬にかかる。
下半身はすっかりもう感覚がなくなり、熱くて何がどうなっているのか分からなかった。
ただ、痺れてじんじんと焼け、跡部の動きに合わせて腰が動き、揺さぶられ、胸もゆさゆさと揺れている。
忍足は堅く目を閉じ、歯を食いしばって顔を振った。
閉じた目の裏に閃光が走る。
頭は沸騰し、どこまでが己の身体の境界線なのか、分からない。
「………イくぜ」
朦朧とした意識に、跡部の低く掠れた声が入ってきた。
「………は?」
次の瞬間、跡部の身体が大きく震え、力強く抱き締められた。
胸が圧迫され、息が苦しい。
腰を叩きつけるように押しつけられ、内股が限界まで広げられ、跡部が奧まで入り込んできているようだったが、忍足には下半身がすでに熱くて何がなんだか分からない状態だった。
部屋が静かになり、跡部の激しい吐息だけが響く。
「忍足……」
暫く忍足の胸に顔を埋めて深く息を吐き出していた跡部が、ゆっくりと顔を上げた。
「……良かったぜ」
灰青色の瞳を満足げに細くして、忍足に囁いてくる。
「お前の処女は、俺がもらったぜ…」
「…………」
背中がぞくぞくした。
気持ちいい、のではなくて、なんとも言えない違和感だ。
(処女………跡部に捧げたわけやな……)
処女とか考えたら、忍足は更に背中がぞくぞくした。
気持ち悪いというかなんというか。
なんだかしてやられた、という感じだ。
それに、口惜しい気持ちというか、悔しいというか…。
だいたい、どうしてこんな事に。
最初は真面目に相談するつもりでやってきたのだ。
それに、今まで跡部と性的な話をしたこともなかったし、そういう関係になるなど、微塵も考えた事がなかった。
なのに------。
(……セックスしてしもた…)
一瞬ずきずきする痛みも忘れて忍足が渋面を作って考えていると、跡部が身体を起こし、ずるり、と忍足の体内からペニスを抜き取った。
「………いた!」
抜かれる時にも鋭い痛みが走り、忍足は思わず声を上げた。
「っと、すまねぇ。…ンなに痛いかよ。さすが処女だぜ…」
跡部が嬉しげに頬を緩めて囁いてきた。
「明日は股に何かがはさまっているようで、うまく歩けねぇかもな」
「……な、なんやそれ…」
忍足の言葉には軽く肩を竦めて、跡部は抜き取ったペニスをティッシュで拭きながら、忍足の白くしなやかな脚を大きく広げて中心に顔を近づけた。
「…随分血がでたな」
「え、血、出とるんか?」
「そりゃ、処女だからな。…見るか?」
「……え、見んでええ……」
「そう言わずに見ろよ。俺のと混じってピンク色だぜ」
跡部がくすくす笑いながら、先ほど放り投げて置いた手鏡を再び手に持つと、それを忍足の脚の中心向けてかざしてきた。
「……ほら、見ろ」
「え、ええって……」
鏡がちら、と視界に入って忍足は慌てて顔を背けた。
だが、
「ちゃんと見ろよ。まさか怖じ気づいてるわけじゃねえんだろ?」
と笑いを含んだ声で言いながら跡部が、鏡をかざしていたのとは反対の手を伸ばし、忍足の頭を掴んできた。
「…いたっ!」
乱暴に頭を掴まれ正面を向かされる。
「ほら、見てみろ」
盛大に眉を顰め、忍足は不承不承鏡に視線を合わせた。
見たくはないのだが……。
だが、興味がないわけではなかった。
自分の身体から精液が溢れている所など、----勿論、男だった時に自分で出すというのは別にして----滅多に見られるものではない。
そう思うと、見ておかないと損かも、などという些か貧乏くさい考えが浮かんだのだ。
「………」
鏡の中のソコは、花弁が赤く充血し、膨れて左右に開いていた。
中は-----ぷく、とピンク色の濁った粘液が微かに泡立っている。
花弁の内側に、まるでイチゴミルクのような色の粘液が溢れ、とろり、と花弁の合わせ目から下に垂れている。
孔の部分は泡立った精液が覆い隠しており、傷ついているのかどうなのか、いったいどうなっているのか全く分からなかった。
ただ、じんじんと痺れるような痛みがそこからするだけである。
「………可愛いだろう?」
跡部が忍足の表情を見上げるように覗きながら囁いてきた。
「すげぇ、可愛いアソコだぜ。……すぐにでもまたぶちこみたくなっちまうぜ」
「ちょ、……冗談!」
「ははは、冗談だ。俺は優しい男だからな、無理強いはしないぜ。…痛いだろうしな?」
ほっとして忍足は首を振った。
先ほどあんなに痛かったのに、またやられたらたまったものではない。
「はぁ……」
なんとなく心身共に疲れ果て、忍足は深い溜息を吐いた。
「お、どうしたよ。……疲れたのか?」
「そりゃぁなァ、朝からいろんな事ありすぎや……」
「まぁ、そうだな。…つか、腹減ってねぇか? そろそろ昼だぜ」
ふと跡部が気が付いた、というように言ってきた。
「ん、もうそんな時間なんか?」
「12時過ぎだぜ。…飯食おうぜ? 一汗かいたら腹が減ったぜ」
「…そ、そうやな……」
そう言えば忍足も朝は大慌てで、牛乳を急いで飲んだだけである。
それから全く何も食べていない。
そう気が付くと急に腹が減ってきた。


















痛そう……(汗)