「…くそ、離せよ!」
切原一人なら簡単にやっつけることができそうだが、さすがに4人となると難しい。
変な方向にねじり上げられた腕の痛みに、顔を顰めながら、それでも藻掻くと、
「柳生、ちゃんと押さえてんしゃい」
仁王に両足をがっちりと押さえ込まれて、跡部はくそ、と悪態を吐いた。
じりじりと焦りが生まれる。
このままだと、先日の青学の二の舞になりそうだ。
こんな所で、自分の意志でもないのにやられるなど、もうまっぴらごめんだ。
射殺すように仁王を睨む。
「いい目やなぁ。…さすが、氷帝の部長さんじゃ…」
仁王が嬉しくてたまらない、というように笑った。
「っててて……」
跡部に振り払われて畳に顔を打ち付けた切原が、漸く起きあがる。
「ほれ、俺たちが押さえておいてやるから、はよやりんしゃい」
仁王が笑い混じりの声で言う。
「くそっ、離しやがれ、この野郎!」
「跡部君、言葉が汚いですよ。氷帝の部長ともあろう方が、それでは下の者に示しがつきませんね」
示しも何も、こんな事をされている所を部員が見たら卒倒モノだ。
しかし、藻掻けば藻掻くほど、がっちりと上体を柳生に、足を仁王に押さえつけられて、跡部は身動きがとれなかった。
「挿れちゃえばこっちのもんって事っすよね」
切原が、跡部のズボンのベルトに手を掛けてきた。
ベルトがカチャ、と軽い音を立てて外される。
(…くそ…ッッ!)
このままでは非情に不味い。
そうは思うのだが、身体が動かない。
今の跡部は、両手をバンザイの格好で柳生に、両足も開いた格好で仁王に押さえ付けられていて、まるで磔にでもあっているかのようだった。
「へぇ……跡部さん、黒のボクサーなんだ。……格好いいっすねぇ…」
ズボンをずり下げられ、履いていた下着が露わになる。
「さっき、ここを真田副部長にねぇ……」
切原の上擦った声が気持ち悪い。
だが、次の瞬間、切原の熱を持った熱い手が、ボクサーをずらして直接性器を握り込んできたので、跡部はうっと呻いた。
熱を持った手が、やわやわとまだ柔らかいペニスを握り込んでくる。
「ほー、跡部のここは、顔と同じで綺麗じゃねえ…」
足を押さえている仁王が、しげしげと跡部のソレを見つめてきた。
「ズボン脱がしますよ、仁王先輩」
「お、そうじゃのう」
切原と仁王の二人かがりでズボンを下着事脱がされて、その足を大きく開かされる。
情けなくて、跡部は涙が滲んできた。
「やっぱ、越前の言った通りっすね。…最高っす…」
いったい、切原と越前はそんな話をするほど仲が良かったのだろうか。
部屋の8つの瞳が自分の性器を凝視しているのが分かって、跡部は激しく首を振った。
「…離せっ!」
「下の毛の色も美しいですね、跡部君は…」
「毛だけじゃなくて、ちんこの形もよいじゃろ。…いい色してるぜよ…」
跡部のペニスは切原に執拗に弄られて、生理的に勃起し始めていた。
薄い桃色の綺麗な頭が柔らかな皮の間から顔を擡げ、剥いたばかりの桃のような先端では、可愛らしい口がぱくぱくと口を開けたり締めたりしている。
「これは滅多に見られないですね、眼福、というものでしょうか…」
「あまりいたぶらないように。…氷帝の部長さんだからな…」
一人だけ少し離れたところで見守っていた柳の声に、3人が頷く。
「大丈夫っすよ、優しくしてあげるっすから。ちゃんとローションも用意しておいたっすからね」
そう言って切原がごそごそとズボンのポケットから、小さなプラスチック製の容器を取り出した。
「最初によく馴らしておけば、痛くなくてすごくよがるって越前が言ってたっすからねぇ……っと、そういえばさっきまで真田副部長のあのでかいやつ、受け入れてたんだから、心配しなくても大丈夫っすかね?」
切原が小馬鹿にしたように笑う。
怒りで顔が紅潮して、跡部は切原をぎりっと睨み付けた。
「いい顔するね、アンタ。……ますますやりたくなるっすよ…」
睨み付けても切原には全く聞いていなかった。
それどころか面白そうに瞳を細め、にやにやと笑ってくる。
「仁王先輩、足の方よろしくっす」
「あぁ、大丈夫じゃけん、赤也は焦らないようにせんといけんよ?」
両足がぐっと持ち上げられ、胸に付くほどに折り曲げられた。
シャツをたくしあげられ、臍の上まで丸見えにさせられる。
「いい、色っすね…」
跡部のアナルを眺めて、切原がごくり、と唾を飲み込んだ。
「ひくひくしてる……さっき、ここ使ったばかりだってのに、……そんなふうに見えないっすね」
「そうやのう……赤也は尻の孔見るの初めてかの?」
「え、そういう仁王先輩は見たことあるんすか?」
「そりゃあの…」
仁王が跡部の足をぐいぐいと折り曲げて、身体を移動させ、片方の足を跡部の足に乗せて固定し、腕を伸ばして反対の足を押さえ付けながら笑った。
「女のケツにもあるけんなぁ? じゃけんど、跡部の尻の方がずっと綺麗やのう。……こんなきれいな尻の孔、初めてや…」
自分の尻の孔に、仁王や切原の視線が突き刺さってくる。
恥ずかしさと憤怒で、跡部は身体が震えた。
「そう緊張しなくても大丈夫ですよ、跡部君。…もっとも、百戦錬磨だそうですから、私たちがそれほど心配することもないのでしょうが」
柳生が上からしれっとした口調で言ってきて、更にかっと全身が燃える。
(…くそっ!)
力一杯身体を動かして、跡部は逃れようと虚しい努力を続けた。
「あは、そんなに抵抗したって無駄って言ってるじゃないっすか。…まぁ、そういう跡部さんの方が犯し甲斐があって、俺としてはいいんですけどね……」
くすくす笑いながら、切原が手に持ったローションのキャップを取り、とろり、と掌にピンクがかった透明な粘液を垂らした。
「あんま馴らさなくても大丈夫だと思うっすけど、一応、傷つけたくないんで…」
肩を竦めそう言うと、ローションで濡れた指をつぷり、とアナルに埋め込んできた。
「う……!」
先ほどまで、真田の太く大きなものを受け入れて解れていた所だ。
そこはあっけなく切原の指の侵入を許したどころか、内部からじんわりと快感が湧き起こってきて、跡部は思わず形の良い眉を寄せて呻いた。
いやなのに、そこは気持ちがいい。
快感で、身体が柔らかく溶けていくような気がする。
「すごい、っすね……熱くてて、指、引きちぎられそうっす…」
切原が上擦った声で呟いた。
指を2本にふやし、ぐちゅ、とローションの淫靡な音を上げながら、指を腸内に埋め込んでいく。
根元まで埋め込まれ、ゆっくりと中で掻き回されて、跡部は思わず息を飲み喉を仰け反らせた。
そこから、ぞっとするような快感が昇ってくる。
まだ静まっていなかった快楽の余韻に、再度火が点いて、あっという間に燃えさかってくるようだ。
「く……んッ…」
意識しなくても甘い声が漏れ出てしまうのがいやで、跡部は激しく首を振った。
「すごい……もう、すぐ入れても大丈夫みたいっすね。……ねぇ、仁王先輩?」
「そ、そうじゃのう。…さすが、跡部じゃ…」
跡部のアナルはひくひくと可愛らしく蠢き、上の双球が張り詰めて震え、更にペニスはすっかり勃起していた。
つやつやと濡れた亀頭が揺れ、先端の可愛い口から透明な涎がこぼれ落ちそうになる。
「俺も、もう、駄目っす」
切原が掠れ声で言い、ジャージのズボンをぐっとずり下げて、自分のものを引き出した。
切原のそこは、まだ少年らしく色も薄く、皮を被っていた。
自分で亀頭を剥き出しにさせて、跡部のアナルにぴた、と押し当てる。
「なんだか、どきどきしてきて、怖いっす…」
「はは、なに言うとんじゃ、赤也。はようやりんしゃい」
跡部の足を胸の所で押さえ付けている仁王がくすっと笑った。
「ん、んじゃ、いただきまーす!」
切原が跡部の太腿をぐっと掴んでくる。
と思う間もなく、熱い異物がぐぐっと侵入してきたので、跡部はく、と唇を噛んだ。
別に痛くはなかった。
ついさっきまで、切原の2倍はありそうな太さの真田のものを受け入れていた所である。
すんなりと切原のものを受け入れて、しかもそれを離すまいと腸が勝手に動いている。
細いとは言え、熱く堅い切原のペニスが、柔らかな腸壁の感じる部分を鋭く突いてくる。
「う……んぁッッ!」
そのたびに電撃のように快感が脳天を貫いて、跡部は首を振って喘いだ。
-------くそ、こんなやつに気持ちよくさせられてたまるか!
猛烈に腹が立ってきた。
すぐにイかせてやる!
跡部は切原のペニスを意図的に食いちぎらんばかりに肛門で締め付け、腰をくねらせ、腸壁を出来うる限り蠢かせた。
「あ、……ちょ、ちょっとッ…跡部サンッッ!」
上擦った慌て声にも構わず更に肛門を緩めたかと思うとすぐにぎゅっと締め付け、腰をうねらせる。
「…あ、あ、あッッ!」
跡部の技巧の前に、切原などひとたまりもなかった。
あっという間に、己の腹の中に熱い粘液が迸る。
「……な、もう、射精してしまったのですか、切原君……」
柳生の呆れたような声に、跡部はふん、と鼻で笑った。
「テメェなんざ、俺とヤルには千年早えぜ。ほら、早漏少年は退きな!」
切原の顔がさっと赤くなり、次の瞬間には青くなった。
仁王も呆れたように切原を眺め、苦笑する。
「退いたほうがええようじゃ、赤也…」
「…………」
先ほどまでの元気は何処へやら。
切原がしおしおと自分から萎えたペニスを抜き取るのを、跡部は瞳を眇め軽蔑したように眺めた。
「おい、逃げねえから、離せよ」
足と手を押さえつけている仁王と柳生に、ドスの利いた声で言う。
仁王と柳生が顔を見合わせて、恐る恐る離れた。
8人目
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