お気に召すまま 
《28》











帯が解かれ、紺色の浴衣を真田が肩から滑り落とす。
日焼けした艶やかな肌が露わになって、柳は瞬時息を飲んだ。
胸が-------ドキンドキン、と波打つ。
心臓が、肋骨を破って外に飛び出しそうだ。
身体の隅々まで熱くなり、握った拳の中にじっとりと汗が出てくる。
(……………)
浴衣の下は裸なのか、と思っていたら、水色の清楚な下着が浴衣が滑り落ちるのに従って見えてきて、柳は目を見開いた。
自分に背中を向けているので、柳の目からは、ブラジャーの後ろの紐が見えた。
きゅっと引き締まった腰と、むっちりとした大きな尻。
尻を覆っている水色のこれもまた清楚な下着が、かえって肢体の素晴らしさを強調している。
「その……下着は、どうしたんだ?」
「あ、あぁ、これか…?」
真田が口籠もった。
「跡部が着ろというのでな。…着けてみたんだが…窮屈だ。……こんなものを毎日着けていると思うと、女性も大変だな」
(跡部が……)
なぜか、かっと頭に血が上った。
跡部は、この真田を抱いたのだ……という事実が改めて思い出されて、柳は細い眉を顰めた。
不快だ。
この真田が、跡部の前で足を開いて、……身体を繋げたとは。
しかも、下着まで跡部に選んでもらっているとは。
「俺が、外してやろう…」
無意識のうちに立ち上がっていた。
「れ、れんじ…?」
さすがにぎょっとしたのか、真田が狼狽して振り返る。
ブラジャーに包まれた巨大な乳房がむっちりと揺れて、柳を誘ってきた。
ブラジャーから盛り零れるほどの大きさの、柔らかそうな乳房。
「…凄いな…」
声が上擦って掠れた。
「蓮二、ちょ、ちょっと待て」
「待てん。……跡部にはやらせたのだろう?」
近づくと、柳は真田のブラジャーの上から、乳房に掌を這わせた。
「む……」
真田が眉を寄せ、困ったように立ち竦む。
ブラジャーの繊細なレースの感触ごしに、むちむちとした肉の弾力が指を押し戻してくる。
中心のくりっとした感触は、乳首だろうか…。
掌から伝わる柔らかな暖かい肉の感触に、柳は息を詰めた。
自分の股間が、みるみるうちに大きくなっていく。
「蓮二……その、…やはり自分で外すから、少し待っていてくれ…」
真田が顔を背けて、ぼそぼそと呟いた。
「ふむ……では、待つか…」
できるだけ落ち着かなければ……。
柳は自分の心の中で必死にそう繰り返していた。
興奮に、我を忘れてはいけない。
ここはなんとしても、冷静さを取り戻さないと……。
手を離し、少し下がる。
「…かたじけない…」
真田がふう、と息を吐いて、背中に手を伸ばし、不器用な手つきでブラジャーのホックを外し始めた。
プルン、とまるでブラジャーから零れ出るように、白い乳房が露わになるのを、柳は息を詰めたまま見守った。
----------大きい。
二つの巨大な乳房が、自分の眼前に突き出される。
むっちりと脂肪の詰まっている巨大な胸。
触れたらとろけそうに柔らかであり、また弾力があって堅そうでもある。
そして、色の濃い大きな乳輪の真ん中に、ブルーベリーぐらいの大きさの桃色の乳首がぷるぷると頭を揺らしていた。
背骨をぞくっと快感が突き抜けて、柳は思わず眉を寄せた。
股間に、ダイレクトに快感が抜ける。
あっという間にペニスが勃起してくる。
「大きい、な…」
掠れた声で言うと、真田が恥ずかしげに俯いた。
「そう見るな、蓮二。……俺もでかいと思って困っているのだ。…どうしてこんなにでかいのか、わけが分からん…」
言いながら、もそもそと今度は下半身に手を掛け、ショーツを恥ずかしげに降ろしていく。
形の良い臍の下に、ふさふさとした黒い陰毛が現れる。
そこは、どこから見ても完璧に女性の陰部だった。
異性のそこを直接見た事はないが、柳とて雑誌やネットなどで何度も目にしたことはある。
ふっくらとした恥丘から、逆三角形に生える黒い陰毛、大きな尻とむちむちした太腿まで……完璧に素晴らしい女性だ。
目線を落として息を詰めたままそれを眺め、目線を戻そうとして、柳は乳房の下あたりに、軽い鬱血の痕を見つけた。
いわゆるキスマークだ。
そうと悟った瞬間、身体の温度が2度ぐらいあがったような気がした。
「……跡部がつけたのか?」
思わず近づいて鋭く誰何の声を出しながら、真田の乳房の下に手をあてる。
真田がぎく、として柳を見た。
「そ、そうかもしれん……あまり、覚えてない…」
(覚えてないほど夢中になっていたのか)
柳の心に、どす黒い雲がわきあがる。
---------嫉妬だ。
真田を、跡部に取られた、という思い……。
(しかし、どうして俺が嫉妬など……)
頭が混乱する。
冷静に考えれば、跡部に嫉妬するなど、おかしい話だ。
だいたい真田は今だけ女になっているわけで、普段は男なのだ。
……とは思ったが、嫉妬はむらむらと胸を焼き尽くしてきた。
「跡部に、いろいろやられたのか? 弦一郎……見せろ…」
「み、見せろとは…」
「跡部が入った部分を、ちゃんと見ておかなければな。……ベッドで足を広げて、俺に見せろ」
「…れんじ……」
真田が困惑した声を出すのを無視し、柳は真田の肩を掴むと、ベッドに押し倒すようにした。
「…うっ」
ベッドに尻餅をつき、その時に痛かったのか、真田が眉を顰めて呻く。
「れんじ……?」
真田が哀願するような声を出してきたが、その時の柳は嫉妬で身体中満ちていた。
跡部が憎らしかった。
(この弦一郎を……跡部が最初に抱いたのだ……)
と思うと、かっと嫉妬の炎が燃え上がるようだった。
「見せろ、弦一郎……」
柳の声の調子に不穏なものを感じ取ったのか、眉を顰めてはいるものの、真田は少しずつ足を開いていった。
だが、恥ずかしいのだろう。
局部を掌で隠し、目線を逸らして開いていく。
やがて膝の間が50センチも開いただろうか。
焦れた柳は真田の両膝を掴むと力一杯左右に押し広げた。
「…れんじっ!」
真田が悲鳴を上げる。
「そのまま足を開いていろ、弦一郎。…それから手を退けろ」
足の間に入り込むと、柳は上目遣いに真田を睨んだ。
「……れんじ……」
巨大な乳房が左右に揺れ動く。
こんな状況で興奮したのだろうか、乳首がぷくりと勃ちあがって、円く膨れたそれがいかにも美味そうだった。
ごくり、と喉を鳴らし、柳は唇を噛んだ。
「手を退けろ、弦一郎……」
再度、押し殺した声で言う。
「………」
普段とは違った柳の様子に、真田が些か臆したように柳をチラ、と見ては息を詰める。
大きく股を開いたままで、真田は少しずつ手をどかしていった。
真田の正面に身体を乗り出すようにして、柳は形の良いしなやかな手の間から垣間見える陰部を凝視した。
ふさふさとした黒い陰毛に縁どられた、濡れて光る柔らかそうな花弁。
先端が微かに膨らんで、全体がひく、と蠢く。
-----------眩暈がした。
















真田編その11