◇Vita Rosa(ヴィータローザ) 4   






シャマルは逸る心を抑えて、冷静な声を出した。
百戦錬磨の自分が、初体験の少年に翻弄されたとあっては名折れだ。
興奮する自分を抑えながら、殊更ゆっくりと、ツナのジーンズのベルトを外す。
カチャリ、と軽い金属音をあげてベルトを外しジッパーを下げて、ジーンズを脱がせる。
ツナはされるがままだった。
はぁはぁと白く薄い胸を上下させながら、ベッドの上でくたっと仰向けになっている。
乳首は可愛らしく勃ったままで、胸から腹、臍にかけてほんのり上気して薔薇色に染まっている。
すらりとした少年の肢体を舐めるように眺めていき、穿いている柄物のトランクスに目を遣る。
トランクスの、ちょうどペニスが当たっている辺りが張り詰め、布地が濡れていた。
(おい、やべぇぜ……あんまり興奮するんじゃねぇよ…)
と、自分自身に言い聞かせながら、シャマルはどきどきする自分を叱咤して、ツナのトランクスに手を掛けた。
殊更ゆっくりと降ろしていく。
柔らかな茶色のふわりとした陰毛がまず視界に入り、次にその中心で恥ずかしそうに勃ちあがって震えているツナ自身が目に飛び込んできた。
少年らしく、色白で綺麗なペニスだ。
皮も剥けていないらしく、包皮に包まれたペニスの先端からほんの少しだけ、つやつやとした桃色の亀頭が覗いている。
そこが透明な雫で溢れ、包皮もねっとりと濡れていた。
「……シャ、マル……や、だよ…」
媚薬でぼんやりしているとは言っても、自分が全裸にされたのが分かったのだろう、ツナが口籠もりながら身を捩って股間をシャマルから隠そうとしてきた。
「ほらほら、いやとか言ってる場合じゃねぇだろ。坊主のチンコはまだ皮被ってるんだな…。剥くか…」
皮が被っていても可愛らしいのだが、完全に勃起させるにはやはり頭が出ていないと駄目だ。
ツナの両膝をぐっと広げて腕で固定し、脚の間に割って入ると、ふるふると震える可愛らしい肉棒に、シャマルは唇を寄せた。
「あっ、ああ、や、だッ!」
ツナが驚いて声を上げる。
琥珀色の大きな目を見開いて顔を振り、腰を小刻みに揺らして、刺激に耐える。
シャマルの咥内は熱かった。
熱い粘膜に、自分のペニスが包まれている、という認識が更にツナを追いつめた。
こんな所を、他の誰にもまじまじと見られた事も無ければ、勿論舐められた事など無い。
そういう性技があるとは、ツナだとて知識では知っていた。
が、それは自分には縁のない遠い世界の、遠い未来の出来事であって、まさか今、自分がされるなどとは到底想像もしていなかった。
「あ、あっ、シャ、マルっ……や、やだッッ…だめっっ…やッッ!」
ひっきりなしに情けなく声が出る。
シャマルの口の中にぐっと吸い込まれ、ぐにぐにと噛まれ強く先端を吸われると、腰全部が吸われているような衝撃が来た。
先端をつつかれて、シャマルの無骨な指が繊細に動き、包皮をゆっくりと剥いてくる。
「綺麗な色をしてるな…食べちまいたいぐらいだぜ…」
シャマルがごくり、と唾を飲み込み、間近にツナのペニスを眺めて言った。
包皮をゆっくりと剥いていき、亀頭を露出させると、そこは薄桃色に色づいてつるりと丸く、みずみずしい果実のようで、シャマルは我慢できなかった。
男に対して性的興奮をするなんて噴飯ものだが、まぁ、今回は特別、という事にしておこう。
ぱく、と咥え容赦なく根元から歯で扱き、先端の鈴口に舌をめり込ませて吸い上げる。
勿論、ツナはあっと言う間に陥落した。
「──あ、やだっ、あぁ…ッッッ!!」
津波のように快感が一気にツナの脳髄を侵してきた。
背中を反り返らせ、シーツを千切れるほど掴んで、ツナはシャマルの咥内に射精した。
「………ご、…めん、なさい…ッッッ!」
しまった、と思ったときには精液は既にシャマルの口の中。
ツナは真っ赤になった。
目に涙まで滲む。
琥珀色の瞳を潤ませて、窺うようにシャマルを見ると、シャマルはごくり、と精液を飲み下して、黒い瞳を細めた。
「坊主のは爽やかな味がするなぁ」
「…ごめん、なさい…」
「謝る事はねぇよ。…どうだった、気持ち良かっただろ?」
「……うん……」
確かに気持ちよかった。
気持ちよすぎてどうしようと思うぐらい良かった。
こんなに気持ちよかった事は、今まで生きてきてなかったぐらい気持ち良かった。
身体中がじんじんして、心地良い痺れが広がる。
射精の解放感が全身を浸し、熱い吐息が漏れる。
「可愛いぜ、坊主……チンコも可愛い。……乳首も可愛いしな…。媚薬なしでも十分いけるかもしれねぇな…」
シャマルが口元を拭いながら身体を起こした。
「だが、本番はこれからだ。やっぱり媚薬なしじゃ無理かもしれねぇな…」
「……ほんばん?」
「あぁ、坊主は守護者の精液を体内に取り込まなくちゃならねぇんだからな。…どんな相手でも容易にそれができるようにならねぇとな?」
「………なに、するの…?」
射精の余韻で頭がぼんやりしているせいか、シャマルが気持ち良くしてくれたからか、ツナはなんだかシャマルに任せておけばなんでも大丈夫なような気がしてきた。
媚薬の所為で、頭の中の理性を感じる部分が麻痺してきたのかもしれない。
「媚薬には痛み止めの成分も入ってるが、もし痛かったら遠慮無く言うんだぜ?少しずつ馴らしていくからな?」
「……馴らす…?」
「あぁ、そうだ。さて、と本番本番。レッスン3だな…」







シャマルが浮き浮きした声を上げながら、服を脱ぎ始めた。
少しくたびれたスーツによれたネクタイ、だらしなく着崩したシャツを脱ぎ、ズボンも放り投げて全裸になる。
服はくたびれているとはいえ、さすがに長年殺し屋稼業をしているだけはある。
引き締まって筋肉の付いた、着やせする逞しい身体が現れた。
ツナのまだ骨格も伸びきっていない少年の柔らかさを残した身体とは、正反対だ。
そして、勿論百戦錬磨のシャマルの性器は、それにふさわしくふてぶてしく威容を誇っていた。
黒く縮れた陰毛の中から根元の太い長い肉棒がそそり立ち、えらの張った頭から先走りを溢れさせている。
(…………)
大人の男性のペニス、しかも勃起した状態など見た事のなかったツナはさすがに目を見開いて、ベッドの上で身体を強張らせた。
(これを……入れる、とか…なの?)
ツナの貧弱な知識でも、男同士のセックスでは何をどうするかぐらいは知っている。
リボーンやシャマルの言い分だと、どうやら自分は女役の方をやらなければならないらしい。
という事は、アレを……お尻に……。
(───って絶対無理っ!!)
「シャマルっ、無理っ…!」
とろんとしていた意識が驚いた事ではっきりとする。
「無理ってなんだ?」
「…だ、だって………オレに、それ、入れるんでしょ…?ぜ、ったい、入らない……から…」
「お、坊主も結構知ってるんじゃねぇか、ちょっと安心したぜ。一から教え込まなければならねぇかと思ってたからな…」
そういうの面倒くせぇしよ、と苦笑しながらシャマルが近寄ってくる。
ツナは青くなってずるずると後退った。






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