◇Vita Rosa(ヴィータローザ) 6   






刺激が無くなったからだろうか、ツナが潤んだ大きな茶色の瞳を自分に向けてきたので、シャマルは双眸を細めてツナに優しく言った。
背後から少年の華奢な白い身体を抱き締めると、解れて柔らかくひくついている、濃いピンク色の後孔にそっとペニスを押し当てる。
ツナがびく、と身体を震わせ、大きな目を瞬きし、振り向いて不安そうに見上げてきた。
まるでいたいけな小動物がじっとこちらを窺っているようで、それでいてその瞳が濡れて光り、妖艶に自分を誘っている。
天使と淫魔が同居しているような雰囲気に、さすがのシャマルも興奮を抑えきれなかった。
天性のものなのだろう。
自覚無く相手を誘い、その気にさせ、興奮させる仕草は。
(すげぇな、やはりボンゴレ……)
とは関係ないはずだが、なんとなく納得してしまって、シャマルはごくっと唾を飲み込んだ。
「坊主……息を吐けよ…」
低く囁きながら、シャマルはゆっくりとペニスをツナのアナルへ押し入れていった。
少しずつ少しずつ、襞を押し広げ、緊張しないように片手をツナのペニスに伸ばして柔らかく握りながら、ツナが息を吐くごとにぐっと己を押し進める。
「──あ、あぁ…ン、な、んか、へん、っっ、や、ぁっっ、しゃ、まるッッ…」
身体が強張ろうとする寸前でシャマルがツナのペニスを扱く。
すると緊張が解けて、シャマルの太い肉棒がぬるり、とツナの内部へ侵入していく。
「……痛かったら、言うんだぜ…?」
「……ン、っ、だ、いじょぶ……ッッ、あ、でも、へん、…あ、あっあっ!」
亀頭のえらの張った部分をずぶり、と沈めると、ツナがくう、と喉を詰まらせて背中を仰け反らせた。
肩胛骨が浮き出て、少年らしいしなやかな張りのある肌が汗に光る。
綺麗に反ったその項にキスを落とし、シャマルは徐々に腰を進めていった。
ツナの内部は、入口を通りすぎてしまえば、内部は熱くうねり蠕動し、シャマルを悦んで迎えていた。
媚薬の効果もあるだろうが、それだけでこんなに中がうねって男を歓迎するはずもない。
(……やっぱり、才能だな…)
ボスとしての資格、才能。
そういうものがツナには備わっている、という事だろう。
人心を掌握し、人を惹き付ける能力が。
まぁ、この場合、色欲によって人を惹き付ける、という事にはなるが。
変なところで感心しつつも、シャマルも相手が男だというのも忘れてセックスに没頭した。
時間を掛けて挿入していき、根元まですっぽりと収めて、そっと己の腕の中のツナの様子を窺う。
ツナはシーツに顔を埋め、尻をシャマルとぴったりと密着させた格好ではぁはぁと息を吐いていた。
茶色の柔らかな髪が乱れ、華奢な肩が震えているが、シャマルが握っているペニスは再び堅くなり、先端がぬるりとぬるついてツナの興奮を表していた。
「どうだ……入ったぜ…痛くねぇだろ…」
「…う、うん……は、ずかしいよ…しゃまる……」
「恥ずかしいとか、可愛い事言うじゃねぇか…気持ちいいだろ、坊主?」
「…ん、気持ち、イイ…どうにか、なっちゃいそう……どうしよう…ッッ、あ、あっ」
震える声で言ってくる所がたまらなく可愛い。
シャマルは堪えきれなくなって、ツナの腰をしっかりと掴んでゆっくりとした動きながら、確実に腰を動かし始めた。
ゴムとローションの滑りを借りて、ずるりとペニスを抜き出してはぐぐっと腰を突き出してツナの中へ確実に砲身を収めていく。
収めてはまた引き出し腰を回してツナの感じる部分を責め立てるようにすると、ツナが上体を震わせ、背中を反り返らせて顔を激しく左右に振った。
「あ、あんっ、…や、やっっっやだっっ、も、っっ、……も、だめっっ…!」
「駄目ならまたイってもいいんだぜ?ほら、坊主のここ、またイきたがってるしな…」
ツナのペニスをきゅっと扱いてやると、ツナが茶色の髪をぱさぱさと振り乱してシーツを掴んだ。
「ど、にか、なっちゃうよっ……こんあの、はじめてッッ……怖い、っっしゃ、まるっっっ!」
びくびくとペニスが脈打ち、シャマルの肉棒を咥えこんでいる腸壁が軟体動物のように蠢いてくる。
(す、げぇな……はじめてで、これかよ…)
余裕があるように見せてはいるものの、シャマルももう随分と前から射精感を耐えているのだ。
きゅううっと締め付けられて、限界が来た。
ツナのペニスを一際搾るように扱くと、ツナが
「やだぁ…ッッッ!」
と叫びながら熱い粘液を迸らせた。
それを手で感じながら、シャマルも奥歯を噛み締めてぐっと深くツナの中を抉り、どくり、と己の怒張から濃い白濁を噴出させていった。







「……はぁ……教えるつもりがついつい本気でやっちまったか…」
ツナの体内からずるり、とペニスを引き抜き、コンドームの先にたっぷりとたまった自分の精液を眺めてシャマルは肩を竦めた。
ぐったりとベッドに突っ伏して全身で息をしているツナを優しく包むように抱き寄せて、己の胸に抱え込む。
「大丈夫か、坊主…?」
柔らかな髪をくしゃっと撫でてやると、しばらく肩で息をしていたツナが、ようやく濡れた茶色の瞳を開いてシャマルを見上げてきた。
「気持ちよかっただろ…?」
「………恥ずかしくて、やだ……」
頬を真っ赤にし、目元に涙をいっぱいためて呟く様子が愛らしくて、思わずシャマルはツナの涙を舌ですくって舐めてやった。
「いやぁ、オレもこんなに気持ちよくできるとは思わなくてなぁ…坊主はすぐにでも守護者とセックスしても十分契約できるだろ…」
「………だから、オレはそんなの、できないってば…」
「おい、オレとはできたじゃねぇか?初めてそれだけ色っぽくオレを誘惑するたぁ、すげぇ才能だぜ?」
シャマルが苦笑すると、ツナがぱっと顔を赤くして俯いた。
「す、すごく、やらしい言い方するし…」
「でも自信ついただろ?」
「自信って……だって、無我夢中だったし、シャマルだから、できたんじゃないのかな……オレ、そんな自信なんてないし…」
「まぁ、なんだ、そう小難しく考える事はねぇよ。坊主の尻の孔に入れて射精してもらえばいいって事だしな?」
「…………」
ツナがぎゅっと目を閉じてシャマルの胸に顔を押しつけてきた。
「やっり、恥ずかしいよ。……こんな事、みんなとするの?」
「なんだ、最中は大胆なくせに、随分とウブなもんだ。…まぁ、そういう方がそそるがな。セックスは神聖な行為なんだぜ?そう恥ずかしがる事はねぇだろ?」
「……そ、そうかな…」
「さて、と…」
一仕事終えて、身も心も十二分に満足したからか、シャマルは少し眠くなってきた。
「坊主、少し寝てくか?身体、大丈夫だと思うがすぐに歩くのは辛いだろ」
「うん…」
抱き寄せて布団を被せると、ツナが大人しく目を閉じてシャマルに寄り添ってきた。
(可愛いなぁ…)
自分が守護者じゃなかったのが、残念なぐらいだ。
(しかし、守護者達も…)
シャマルはすこし心配になった。
こんなに愛らしく色っぽく繋がったら、守護者がみんなでツナを取り合ったりしないものだろうか。
一度この身体を味わったら、また欲しい、と思わせられるのが容易に予想できた。
げんに百戦錬磨のシャマルでさえ、また抱きたい、と思ってしまっているからだ。
(一度の契約だけですめばいいがなぁ)
それでなくてもツナに執着しているもの──たとえば獄寺なんかがもしツナを抱いたら…。
(うーん…)
ツナがすやすやと寝息を立て始めた。
いつしかシャマルも意識が薄れ、二人は豪華なベッドで暫し情事の余韻に浸ったまま眠ったのだった。






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