◇Vacation 3   







自分を舐めるように見つめてくる四つの目をなんとかやりすごして、ザンザスの前に立つ。
「じゃあ、オレがじきじきによく教えてやる、綱吉も山本もちゃんと頭にたたき込めよ?」
機嫌の良さそうなザンザスが恐ろしい。
「うん!よろしくね!」
綱吉がにこにこしながら元気よく返事をするのも恐ろしい。
「まず、男同士だろうがなんだろうが、やることはあんまりかわらねぇが、男だから確かに胸はねぇ。おら、ねぇだろ?」
突如ベッドに座らせられて、ザンザスが乱暴にスクアーロのバスローブの襟元をばっと広げてきたので、スクアーロはぎょっとした。
「うん、……確かにないね。…でも、すごく綺麗……」
(う゛、う゛おい、なんだよ、こりゃあ…)
自分のはだけられた胸を、綱吉と山本がじっと見つめてくる。
「ねぇ山本っ、スクアーロって肌白いねぇ…」
「ホントだなー。白いのに、なんかやらしーのな…」
胸元をじろじろと見られて、ぞわ、と首筋が総毛立った。
(この見せ物状態はなんなんだー!)
「なんでやらしーか、分かった。ほら、乳首だけ赤いからじゃない?」
「赤いっていうか、ピンク色なのな…」
「フン、コイツの乳首は色が綺麗なのがいい。なかなか女でもいねぇぞ?見てると興奮してくるだろ?」
「う゛お゛ぉい、ボスさん、いい加減に!」
「うるせぇ!」
一喝されてスクアーロはびくっとした。
殴られるかと思って首を縮めたが衝撃はこなかった。
「フン、今日は殴らないでおいてやる。これからテメェの身体でいろいろと綱吉に指導しなくちゃならねぇからな?」
(つうか、なんでそんなに嬉しそうなんだぁ、ボス……)
もしかして、自分より立場が上である綱吉に何かものを教える事ができる、というのが気に入ったのだろうか。
にしても、自分をダシに使う事はあるまい。
「あー、なんか乳首が膨れてきたよ、ザンザス?」
「興奮すると堅くなってくるわけだ、綱吉。女の場合は乳房を揉んで愛撫したりするが、まぁ、男でも変わりねぇ。このカスは胸が弱いからな。乳首をこうやって…」
「う゛ぁ!」
不意に乳首をきゅっと摘まれて、スクアーロは思わず声を上げてしまった。
途端に興味津々の四つの視線を感じる。
羞恥にかぁっとなって、スクアーロは視線を逸らした。
「すげー可愛いのな、スクアーロって」
「うん……ザンザスがさ、わざわざ日本まで連れてきたってのも分かるね…」
前でぼそぼそと話している二人を蹴っ飛ばしてやりたい。
しかし、そんな事を考えている間にも、ザンザスの慣れた手つきで乳首をくりくりと捏ね回されて、スクアーロはそこからの刺激に耐えるのが精一杯だった。
他人の前で醜態を晒す訳にはいかない。
必死で刺激に耐え、唇を噛み俯く。
銀色に光る長い髪が色白の胸元に幾筋かかかる。
そういう仕草がますます可愛らしく、見ている者の興奮を煽るのにも気が付かない。
「こんな風に乳首を弄ってやるのもいいが、やっぱり男なら乳首は吸いたくなるもんだろ?」
「…ひぁ!」
突然ばっと肩を掴まれザンザスの方に身体を向けられたかと思うと、ザンザスの肉厚の唇が、自分の乳首の一つに押し当てられたので、反射的にスクアーロは叫んでしまった。
ザンザスの唇が乳首を挟み、熱く弾力のある舌が乳首の先をつつき、舌先を尖らせてくりくりと舐り回してくる。
「ちょ、っ、ボ、ボスッ…やめろぉ…!!」
くちゅ、と唾液混じりの舌が乳首を吸う音までして、スクアーロはかっと頬を染めた。
二人きりなら、気持ち良くなっていくらでも声を出してしまいたくなるところだが、今は……顔をちらりと横に向ければ、興味津々好奇心剥き出しで、四つの瞳が自分を見つめている。
さっと視線を逸らし、スクアーロは眉をぐっと寄せ、それから思いきりザンザスを突き除けた。
「う゛お゛ぉい、ボスさん、こりゃ無理だぁ!オレには無理!」
「……あ゛あ゛?」
突き飛ばされたザンザスがこれ以上ないほど不機嫌な顔をしてスクアーロを睨み付けてくる。
……いや、いくら睨まれても、無理なものは無理。
「無理だぁ!悪いなぁ!」
スクアーロはぱっとバスローブの襟を元に戻すと、寝室から一目散に逃走を試みた。
───しかし。
「山本、捕まえろ!」
「よっしゃ!」
なぜかザンザスと山本の見事な連携プレイ。
いつのまにこの二人はここまで意思疎通が……?
と思うほどに山本が素早く立ち上がり、ベッドから逃げようとするスクアーロを背後から羽交い締めにする。
「くそっ、離せぇ!テメェ、ただじゃおかねぇぞぉ!」
「ハハハ、アンタ、ホント可愛いのなー!」
「よくやった山本」
ザンザスがにやりと笑う。
「このドカスが…大人しくしていれば優しくしてやったものを…」
「ボ、ボス、何する気だぁ!」
ザンザスがベッドヘッドの引き出しを開けて中から太い縄を取りだしたので、スクアーロは銀蒼の目を見開いた。
何時の間にこんなものを用意していたんだ、このクソボスは!
「よし、山本、テメェはカスの手首を拘束しろ」
「了解!」
「う゛お、お゛ぉい、やめろっ!テメェっ、このクソ小僧!」
いくら叫んでも山本は平然として、ザンザスから受け取った一纏めの縄をスクアーロの手首にぐるぐると巻き付けていく。
後ろ手にされた手首を、それこそ義手も動かせないぐらいにぐるぐるに二の腕あたりから巻かれて、スクアーロは全く手が動かせなくなってしまった。
「うわぁ、緊縛プレイだね」
どこでそんな知識を仕入れているのか。
いや、綱吉も健康な男子なのであるから、ある程度はそういう知識も持っているのだろうが。
無理矢理後ろ手に縛られて腕の痛みに呻くと、ザンザスが満足げに瞳を細めた。
「よし、これなら動けねぇだろう。じゃあ、次だ。山本、引き続きテメェはアシスタントだ」
「ははっ、スクアーロの事触れるのかなー。すっげぇ幸運だぜ!」
「う゛お゛ぉい!よせぇ!」
「せいぜい怒鳴ってろ。いくら怒鳴っても、ここには誰も来やしねぇ、カス」
ザンザスの嬉しげな声にスクアーロはぎり、とザンザスを睨んだ。
しかしその鋭い視線もザンザスには全く効果はないようだ。
「まぁ、こんな風に乳首を愛撫してれば、自然とこっちがでかくなってくるんだが……カスのやつ、萎えてるな」
「当然だろうがぁ!!って、おい、さわんな!」
ザンザスが乱暴にバスローブの上から股間を握ってきたので、スクアーロは身体を強張らせた。
山本に背後から羽交い締めにされたままの格好で、しかも両手は使えず、動くのは足ぐらいだ。
その足でザンザスの腕を蹴り上げようとするが、即座に両脚を掴まれる。
「山本、コイツの両脚、掴んでいられるか?」
「勿論、OKだぜ!」
ザンザスによって無理矢理足を折り曲げられ、背後から膝を抱えるようにして山本に両脚を抱えて拘束されてしまった。
調度、赤子が尿をするのに抱っこされているような、そんなとんでもなく間抜けな格好である。
バスローブの紐もザンザスによって無造作に解かれ、バスローブもはだけられて、スクアーロの股間は大きく開かされたまま、ザンザスと綱吉の眼前に晒される事となった。








back  next