◇Vita Rosa(ヴィータローザ) 11   








低い声でツナの耳に囁くと、ツナが耳まで真っ赤にした。
「は、はい。…じゃ、お願いします…」
消え入りそうな声が聞こえる。
どこか不安げな、それでいて濡れた声。
可愛らしいその声に、ディーノはこれまで経験した事がないほど興奮した。
声だけなら、過去に抱いた女の方が可愛い。
身体だって、女の方が柔らかく、自分のものを入れる場所だって熱く柔らかなはず。
だが、今この身体で感じる興奮は、今までの女には感じた事のない、凶暴で制御の効かない物だった。きっとボンゴレの血が、自分のキャバッローネの血を掻き立てているんだろう。
身体中が湧き上がって、早くツナの中に入りたい、ボンゴレの血を感じたい、と全身で主張している。
「ツナ、いくぜ…」
一言告げると、ディーノはツナの身体を強く抱き締め、腰をぐっと進めてツナのほぐれた入口に堅い怒張を侵入させた
「あ──ぁぁッッ、い、たぁぁぁっっ!」
ツナがとたんに悲鳴を上げ、背中を反り返らせる。
「や、ッあ、ああ……ッ、ディーノさん、おっきすぎッ……あ、あぁ─ッッッ!」
「そっかぁ?…ツナ、もっと力抜けよ」
逃げを打つしなやかな少年の身体をぐっと抱き締めて、ディーノはツナのペニスを握り込んだ。
前を刺激することでアナルの締め付けが弱まった所を一気に深々と貫いていく。
「あ、あぁあ─……ッッ」
ぐったりとなったツナがディーノの腕の中で力無く首を振った。
「ほら、全部入ったぜ、ツナ」
息を弾ませてディーノが言う。
それをぐったりとしたままでツナは聞いた。
ディーノが入り込んだ部分が火傷したみたいに熱く、二度目なのにもかかわらずどこか疼いて、じっとしていられない。
「ディーノさん、ッ…あ、ッ…!」
ウズウズしてたまらなくて、ツナはディーノにしがみついて腰を揺らした。
「お、ツナ …。…すげーな…」
ディーノが驚いた様子なのが、また恥ずかしい。
が、自分でもどうしようもない。
こんな恥ずかしい姿、絶対誰にも見られなくないのに、でも、気持ちいいと確かに感じる自分も居て、どうしてたいいのか分からなくなる。
「ディノさ、、やだ…ッ見ないでッッ…」
羞恥に涙が溢れてきて、ツナは顔を背けた。
「可愛いなーツナ……大丈夫だって。顔見せろよ…」
顎をぐいって掴まれて、仰向いた所に深く口付けされた。
「あ、あん……ディーノさん……おっきいよぉ…」
「まー、オレのはでかいことはでかいけどよ…でもツナの中にちゃんと入ったぜ?…まだ痛いか?」
ゆるゆると動かされ、ペニスを扱かれる。
必死で縋り付いて、ツナは脚を広げてディーノの腰に足を絡み付かせた。
身体の中心が、熱く、とろとろに溶けてきた。
すぐにこんなになるなんて、やっぱり自分はどこかおかしいじゃないだろうか。
シャマルの時よりもたやすく、身体が溶けてきた気がする。
挿入された当初は痛かったが、それもすぐに消えて、今はどうしようもない快感が、ディーノが入っている所から全身に広がる。
下半身は溶けたバターみたいになっていて、もっと中を掻き回されたい、突き上げられたいという欲望でいっぱいた。
「ディ、ディーノさん…もっと、──ッ……ン、 足りない、よぉッッ…!」
「ツナ、すげぇ積極的じゃねぇか… セックス、好きなのか?」
「う、うん、…好き……気持ち良くて、どうにかなりそう…」
尻を揺らして自分からディーノを飲み込みながらツナは情欲に潤んだ眸をディーノに向け、ディーノの金髪に腕を伸ばして唇を強請った。
ディーノが瞳を細め、ツナを抱き締めて口付けを深くし、同時に激しく抽送を始める
「あああ──んッあ、あッッ……い、やぁ…、ひぃ…ッッッ!」
あられもない嬌声をひっきりなしに喉からあげ、ツナは身体をガクガクと揺らした。
(こんあ……なんでオレ、こんなに気持ち良くって……恥ずかしいこと……平気でしてんの?」
と頭の片隅で理性が警告してくるが、それよりも身体の熱と圧倒的な快感に頭がすっかり支配されてしまう。
ディーノがぐっと腰を突き入れて、ツナの体内奥深くに射精した時、ツナも絶頂に達し熱い白濁を迸らせていた。










「ツナ、すごく良かったぜ……日本まで来た甲斐があったなー」
情事後、優しくディーノの胸に抱かれて、ツナは顔まで真っ赤になっていた。
「それにしても、なんでオレとセックスしたかったんだ?ツナがゲイだったとは知らなかったぜ。それも随分と慣れてるみたいだしな……。見た目とか年の割に進んでるんじゃねーか?オレを誘うなんて、溜まってたのか?誰か特定の恋人とかいねーのか?」
「え……?」
ディーノの厚い胸板に顔を埋めてセックスの余韻に浸っていたツナははっと我に返った。
そうだ、なんでこんな事をしたか、ディーノに説明しないと──ってどうやったら納得のいく説明ができるのか。
「いやその…別にゲイってわけじゃ…」
そう、ゲイとかそういう嗜好はないし、好きなのは京子ちゃんである。
しかし、現実にはディーノを誘って事に及んだわけであるから、ゲイじゃない、とは言い切れないのだろうか。
というか、自分だってしたくてしたわけじゃない……はず…。
あれ……ちょっと自信ない…。
いや、気持ちよくて…少なくとも、自分はこの行為が嫌いではない。
(……え、男の人に突っ込まれるのが、好きだったりするわけ、オレ…?)
いやいや、好きなんかじゃない…。
いや、好きかも……だって気持ちよくてこんなに良かったこと今までにないし…。
「ン、どうした、ツナ…?」
ディーノが金色の瞳を細め、ツナの頬にちゅっと口付けしてきた。
「恋人につれなくされて、寂しかったのか?」
「…いえ、そういうわけじゃないっていうか、恋人とか、その、いないんですが…」
「いないのか?じゃあ、……ツナ、お前その年でその辺で遊びまくってんのか?すげーな…。オレだってツナの年には真面目に学生してたぜ?」
「え、そ、そういうわけでも……って、オレが遊ぶとか、ありえないじゃないですか!」
「それもそうだよなー…」
ディーノが首を捻った。
「でも随分慣れてるみてーだし…。反応もいいし。遊んでなかったらこんな敏感な反応できねーと思うぜ?」
「……ディーノさんは気持ちよかった?」
「勿論だぜ、ツナ。…これから定期的に逢わねーか?オレが日本までくるからさ?」
「え、そ、それはちょっとナシ…」
思いがけずディーノが積極的に迫ってきたので、ツナは動揺した。
「オレとじゃいやか?ンなことねーだろ…?ツナのこといっぱい可愛がるし、気持ちよくしてやるからさ…」
低く甘い声で耳許に囁かれてぞくぞくと背筋が震えた。
(ディーノさんってきっとこうやっていろんな女の人口説いてんだろうなぁ…)
姿が手に取るように想像できる。
「あ、あのディーノさん、これにはいろいろわけがあるんですけど、あとでリボーンに言ってもらいますから!リボーンから聞いてくれますか?」
なんとなくこのまま甘い雰囲気だとまずそうな気がして、ツナは慌ててディーノの腕から逃れてベッドから降りた。
……腰がずきん、と甘く響いて思わず唇を噛む。
「ツナ?」
「リボーンから言われてるんです、オレ、すぐに帰らなくちゃ」
「………?」
腑に落ちないディーノを一人ホテルに残して、ツナはふらつく身体を叱咤しながらなんとか自宅まで戻ってきた。









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