◇Vita Rosa(ヴィータローザ) 16








「風呂じゃねー!」
突如リボーンがランボのもじゃもじゃの髪に手を突っ込むと髪の中から十年バズーカを取り出した。
「こらー返せ返せっ!」
慌てるランボに向けて、躊躇無く十年バズーカの引き金を引く。
――ボスンッッ!
瞬く間に真っ白い雲がむくむくと湧き上がり、破裂音が響いた。
「……と、おはようございます……まだ寝てたんですが…」
雲が晴れると、半分寝惚けたような声で、十年後のランボが現れた。
言葉通り寝ていたのだろう、牛柄の白黒のパジャマを着崩し、艶やかな黒髪をくしゃっとかき混ぜながら片目を瞑ったまま顔を上げる。
「お久しぶりです、若きボンゴレ…って、どうしたんですか、その格好……」
ふあ、と欠伸をしてツナを見上げて、ツナが全裸であるのにさすがに驚いたのか、ぱちぱちと瞬きをし、どうしたんだ、というような表情でツナを見る。
「ご、ごめん、ランボ!」
「よしツナ。ランボのズボン下げてまず勃たせろ」
「う、うん!」
一瞬の猶予もない。
もう4分何十秒か以内にランボを射精させて、自分の体内に精を取り込まなくてはならない。
そう思うと自分の羞恥心も不安もランボを気遣う気持ちも、とにかく飛び去ってしまった。
ツナはランボに飛びかかると、思いきり床に押し倒し、ズボンを引き剥いだ。
「うわ、ちょ、ちょっとボンゴレ、何を!」
「ごめん!抵抗しないで!」
穿いていたパジャマのズボンを押し下げ、中からペニスを取り出す。
ランボのそれはイタリア人の標準という感じで、日本人の同年齢であるツナよりもずっと大きく立派であった。
シャマルやディーノほどではないが、やはりイタリア人。
勿論、笹川よりも大きい。
……などと比較検討している暇はない。
考える前に根元をぎゅっと握って、ぱくりと口に咥え、間髪を入れず顔を前後に動かしてしゃぶり始める。
「ボ、ボンゴレッ!」
驚愕しているらしいランボが動かないのを良い事に、顎が痺れるほど激しく口を動かす。
元々寝起きで朝勃ちしていたランボのソレは、忽ち充血し、芯を持って大きくなってきた。
(よし、こ、こんな感じでいいかな?)
身体を起こすと、唾液でべたべたになった、勃起しきったペニスを目掛けて、ツナはおもむろに自分の腰を落とした。
「う……っっ!」
「うわぁァーッ!」
ランボの情けない悲鳴が聞こえた。
しかし、申し訳ないがランボにかまっている暇はない。
一気に腰を落としランボの雄を体内に収める。
ズウン、と身体の中心から脳天にかけて重く深い快感が響いて、ツナは思わず顎を仰け反らせた。
しまった……と、なんとなく思った。
……気持ちがいい。
(どんな状況でも気持ちがいいとか思っちゃうなんて、オレって…)
……あぁ、いけないいけないっ!
考えていたら時間がなくなっちゃう。
呆然として自分を見上げてくるランボと目が合ったが、さりげなく顔を逸らす。
次にツナはぎゅっと目を閉じ、一気に腰を上下に動かし始めた。
「うわぁ、うわっ、あー……あッ…!!」
ランボの悲鳴が聞こえるが構ってる余裕はない。
ぐちゅぐちゅと淫猥な音を響かせて、ひたすらランボの上で腰を振る。
リボーンも見ているんだろうが、そんな事も気にしている暇はなかった。
刻々と時間が過ぎていく気がする。
あと何分だろう、3分、2分、……1分……?
――うわぁ、もうだめかもっ!
時間がないと思うと焦りで全身が震える。
いきおい必死になってランボを搾り取るように肛門を締め、深く咥え込んではきゅっと腰をうねらせる。
(なんとかしてランボをイかせないと!)
「ボ、ボンゴレぇっ、もう駄目ですーッ!」
ランボの情けない声が上がったかと思うと次の瞬間、身体の下に引き込んだランボの身体が硬直し、ツナは自分の腸内に熱い迸りが叩きつけられたのを感じた。
(うわぁー!間に合ったー!)
内部にランボの精液が注がれたと感じた瞬間、身体の芯がかぁっと熱くなって、全身が燃え上がる。
ぶるぶると震えが来て、ツナは背中を弓のように撓らせ、自分もランボの腹の上に射精した。
……と、急に身体の下のランボがいなくなる。
はっとして身体を引くと、
「きゃーっ、わーっっ!」
小さいランボがばたばたと手足を捩って泣きわめいていた。
「あ、ごめんごめん…、…ね…」
「ここ、お風呂じゃないよーっ、ツナのバカバカっ」
(あー間一髪、間に合ったー…)
戻ってきた5歳のランボは、10年後の自分が何をされていたのか全く気付いていないようで、ばたばた騒いでいるだけだった。
ツナが身体を退くと、手足をばたばたさせていたランボがぱっと起き上がる。
「オレっちの返せー!」
傍らのリボーンに飛びかかると、リボーンが持っていた10年バズーカを奪い取ってくしゃくしゃの髪の中に収める。
十年バズーカを取り戻すと漸く落ち着いたらしく、ランボはツナを見て、ふんと鼻を鳴らした。
「ツナのバカっ!オレっち腹減ったもんねっ」
そう言って頭をぶっつけてツナをこづくと、部屋からさっさと出て行ってしまった。
(あぁー……)
緊張が解けて、ツナはぺたりと床に尻を突いて深く溜息を吐いた。
「よしなんとか間に合ったな、ツナ。よくやった」
「あー良くやったじゃないよーもー……」
良くやった、とは自分でも思うが、それよりもなんというか、微妙に情けない気分である。
羞恥心も常識もなんだか吹っ飛んでしまったような…。
自分が非常識な人間になってしまったような…。
ツナは溜息を吐いた。
「……なんでこんな事しなくちゃならないの?」
「しょうがねーだろ、契約は神聖なもんだからな」
「神聖な契約なのになんでこれ………」
「契約書に二つ目の炎がついたぞ、順調だ。あとは4人か」
リボーンが肩を竦めて言う。
「ランボと笹川は結構難関だったからな、最初に終わらせておいて良かったぞ。あとはラクだろう」
「そ、そうかなぁ…なんかオレ自信ないよ」
「大丈夫だ。笹川だってランボだってうまくできたじゃねーか。ツナ、お前結構こういうの得意なんじゃねーのか?」
「なっ、なに言ってんのー!」
「マフィアのボスってのは性的にも強くなくちゃいけねーからな。その点でお前は十分合格だ」
「そんなとこで合格してもねぇ…」
「ま、ゆっくり風呂でも入って、今日は一日ごろごろしてろ」
機嫌良さそうに言って、リボーンが契約書を手に部屋を出て行くのを、ツナはぐったりとしながら見送った。









back    next