◇Vita Rosa(ヴィータローザ) 19








山本相手にその気になってしまうのは困る。
山本と自分は学校を離れれば、あくまでマフィアのボスとその守護者という関係なのである。
更に言えば山本自身、別に自分の事が好きとかそういう事はないはずだ。
好きでなくても、結構その場のノリでこういう事ができてしまうタイプ…のような気がする。
(…山本ってそういうトコあるよなぁ…)
それは勿論軽い、と言うのではなくて、山本が天然というのもある。
それに、山本自身ツナのことは嫌いではないだろうしむしろ好きなんだろうと思う。
でも、ちょっとだけ……なんとなく山本はなんでも抵抗なくしてしまうタイプのようにも思える。。
(なんてオレもかな、結局山本とエッチしようとか思ってるもんなぁ…)
ツナは内心自嘲した。
なんにしろ、とにかく心の中でいろいろと考え始めると面倒になるので、ここは何も考えない方が得策だ。
この場は、取り敢えず山本とエッチをしてしまえばいいのだから。
ツナは何度も自分にそう言い聞かせた。
自分の心の迷いを振り切るように山本の首に手を回す。
そのまま引き寄せてベッドに沈み込む。
ちょっと恥ずかしいけれど、一応何人かと経験のある自分がリードを撮らないとダメだろうと思った。
でも、山本の身体が覆い被さってくると、余計にどきどきする。
(うわ、なんかこう…やっぱり恥ずかしい…)
恥ずかしいけれどすごく興奮する。
「えっとー…、次はどうすればいい?」
山本が顔を近づけて囁いてきた。
「あっと…そうだ、ちょっと待って」
そういえば準備をしていなかった。
一旦山本から離れて起き上がると、ツナは自分のバッグを開けて、中からいつも常備している袋を取り出した。
コンドームと、アナルをほぐすクリームやジェルが入っているものだ。
取り出して、ベッドに戻る。
「これ使わないと…」
山本に見せると、山本がツナが持ってきたコンドームとジェルを手に取った。
「へー。すげーな、なんでも持ってんだなー、ツナは。これ、オレが使うの?」
「あ、う、うん、こっちは、山本が使うんだけど、こっちは…オレがやるよ」
コンドームは山本が手に持ったままでいいとして、ジェルは自分が、と手を差し出すと、
「いやいや、オレがやるよ。なんでもやってみてぇんだ」
山本がにかっと笑ってそう言ってきた。
熱心だなぁと思うが、ちょっと恥ずかしい。
「そ、そう…?じゃあお願いしようかな?あ、あのね、男同士ってさ、結局その、お尻の穴をね、使うわけなんで…ちょっと、濡らしとく必要があるんだよね…」
「へぇ…。ツナってそういうのもう経験してるわけか。すげーな」
山本の無邪気な言い方にぱっと頬が熱くなる。
――恥ずかしい。
「じゃ、とりあえずまず脱がねーとダメだよな」
山本がにっこりして思いっきり豪快に服を脱いできた。
「あ、うん…」
自分も脱がなくてはと思ったが、つい山本の裸に目が行ってしまう。
自分のひ弱な筋肉のない身体とは違って、いかにもスポーツマンで、でもシャマルやディーノのような大人とは違い、やはり同年代のしなやかな裸体が現れる。
筋肉はついているのだが、がっしりとした感じではなく、のびやかな感じだ。
はっきり言って、かなり羨ましい。
自分にもこのぐらい格好良く筋肉がついていれば…などとぼんやりと見上げていると、山本がふんふんと鼻歌でも歌いそうに機嫌良くズボンを脱いだ。
「はい、全部脱いだぜ」
(うわぁ…なんか、ためらいがなくて、羨ましい…)
さすが山本。
思いっきり全裸になってにこにことしている。
山本の裸を上から下までまじまじと見て、ツナは顔を赤くして微妙に目を逸らした。
上半身は見た事が無いわけではなかったが、腰から下、というか股間は初めてである。
艶々とした黒い陰毛に覆われて、ペニスが半分勃ち上がっている。
(興奮してんのかな、山本の見るの初めてだし、どうしよう…)
そこを見ると一気に羞恥心が込み上げてきて、ツナは俯いた。
山本は気にしていないようで、
「ツナもほらほら」
と言って、着ていたTシャツに手を掛けてくる。
「う、うん、そうだね」
山本に引っ張られるままに、」ツナは手を上に上げてTシャツを脱いだ。
穿いていた短パンも下着毎ずり下ろされる。
「へぇ、ツナってさ、髪の毛の色も薄いけど下の色も薄いんだな」
山本がしげしげとツナのソコを眺めてきた。
「いや、そんなにさ、見なくていいから…」
「え?だって見なくちゃ濡らせないんだろ?ツナのチンポって初めて見たけど、……可愛いな」
そう言って山本が親指と人差し指でツナのペニスをぴん、と弾いてきたので、ツナは思わず『ひぁ』、と悲鳴を上げた。
「や、山本ー!」
「ははっ、ちょっと勃ってるな?ほら、オレもだぜ?」
(山本ったら……)
山本が彼のペニスに手を添えてぶらぶらとそれを揺らしてきたので、ツナは少々呆れた。
さすが山本だ。
こんな風だとなんでも楽しくできそうだ。
「山本、…大きくていね?」
ちょっと肩を竦めながらそう言うと、山本が、
「そっか?ツナのだって体格相応じゃねぇの?」
と言いながら、右手を伸ばしてツナのペニスをぎゅっと掴んできた。
「ひっ!ちょ、ちょっと!」
「へー、他のヤツのって初めて握ったけど、結構面白いな…」
そのままぐにぐにと握られて、ツナはたじたじとなった。
「い、いいよ!それよりさ、ほら、そのジェルでさ…。やっぱりオレがやろうか?」
「いや、オレがやるよ。なんか楽しいし。これ、どうすればいいんだ?」
山本がジェルのチューブの蓋を取って、掌にたらりとジェルを垂らした。
「あ、うん…それをその…ここに」
しょうがない。
羞恥を押し殺してツナは四つん這いになると、山本の前で腰を上げて、アナルがよく見えるような体勢を取った。
「はい、ここ。ちょっと濡らしてくれる?」
「へぇー。ここに入れる訳か…。なんかちっちゃくねぇ?」
「そ、そりゃあねえ、元々入れるための穴じゃないもんね?オレが自分でさ、ここほぐすから、とりあえず濡らしてくれればいいよ」
「いや、オレがやるって。ええと、じゃ、まず、はい」
――ペチャ。
(…ひっ!)
ジェルがぴちゃ、とソコにつけられて、ツナは一瞬身体を強張らせた。









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