◇Vita Rosa(ヴィータローザ) 21








山本の上擦った声が聞こえた次の瞬間、アナルがぐっと押し開かれ、内臓が迫り上がって胃が押し上げられる、そんな吐き気にも似た深い衝撃が押し寄せてきて、ツナは思わず目をぎゅっと閉じた。
と山本が自分の中心を引き裂いて身体の真ん中に押し入ってくる。
その硬い異物が自分の中で擦れる感覚までもが分かる気がして、ツナは思わず身体をがくんと仰け反らせた。
こうして他人と繋がるのはもう数回目であるにも関わらず、まるで初めてのように全身から汗が噴き出る。
山本のよりも大きなペニスを受け入れた事もあるのに、それでもまるで初めてのようにずしん、と深く重い衝撃が来た。
ぶるぶると震えて思わず身体が逃げかけるのを、山本ががっちりと腰骨を掴んで反対に引き寄せてくる。
ずぶずぶっと濡れた水音がして、深々と山本のペニスが突き刺さったのを感じて、ツナはふわふわとした茶色の頭を振った。
とうとう、山本と……という気持ちに、思わず首を振る。
山本は自分の親友で、自分がたとえマフィアのボスであろうがなんだろうが関係なく自分を慕ってくれて仲良くしてくれる貴重な友達だ。
自分みたいなダメツナでも、あるいはハイパーになった自分でもどっちでも関係がなく同じように接してくれる貴重な掛け替えのない友達だ。
その彼とこんな事を………。
――でも、気持ちがいい。
気持ちが良くて、山本と自分の繋がっている部分がすっかり蕩けてぐちゃぐちゃになって、そこからたとえようもない快感が全身に広がってどうにもたまらなくなる。
「あっ……う…んんっ…いい…っっ」
「すげっ、ツナ、オレ、もう駄目かも!」
山本が切羽詰まった声を上げた。
「んっ、い、いいよっ、だいじょうぶっ、すぐイっていいからっ」
振り向いて切れ切れに答えると、山本がすまねぇ、といった表情をして、真剣な表情に戻ると激しく腰を動かしてきた。
絶妙に内部を刺激され、ツナは身を捩って喘ぐことしかできなかった。
今までだって気持ち良く無かったわけではない。
最初から経験豊富な大人に手ほどきしてもらったのだから痛くもなくすっかり気持ち良くセックスができたのだが、それでもやはり今回は違う。
身体は勿論気持ちいいが、セックスの技術という事においては山本はシャマルやディーノの比ではない。
シャマルやディーノは大人で、しかも経験豊富な事もあって、初めての自分でも身体をすっかりほぐしてとろかして絶頂に導いてくれた。
それに比べると山本はやはり、ツナを気持ち良くさせようとかそういう前に自分が快感を追うのに精一杯で、がつがつとがっついて後から腰を激しく動かして突いてくるだけだ。
でもそれが反対に途轍もなく気持ちが良い。
山本の動きに合わせて腰を振れば、自分のイイ所に自分から当てる事ができて、息もできないぐらいの快感だ。
きっとこれは山本が自分の親友だからというのもあるに違いない。
親友とこんな事をしてしまうなんて……という罪悪感が心のどこかにあることはある。
そこに気持ちが引っかかっていて、でもそれは快感を妨げるのではなく、その微かな罪悪感が更に自分の興奮を煽りたてているらしい、という事にツナは気が付いた。
いけないことをしている、自分からしかも誘ってしまった、山本をふしだらな道に堕としてしまった、という気持ちが反対に興奮となって、自分の身体を燃えたたせているのだ。
「あっ……――あ、あっ…ううっっ!」
堪えきれずツナは自分のペニスに手を伸ばし、扱きながら腰を振った。
「うっ、ツナ、も、駄目だっ!」
山本が苦しげに呻いて、勢い良くぐっと腰を突き出してきた。
深々と突き刺さったその先から熱い液体がほとばしり出て、自分の腸内を満たすのを感じる。
と同時にツナもぐりっと自分のペニスの先端を引っ掻いて、射精していた。










「じゃあ、オレ、そろそろ帰るね」
「え、もう帰っちゃうのか、ツナ?」
セックスが終わってお風呂で身体を綺麗にすると、さすがにツナはそれ以上山本と一緒に居るのが居たたまれなくなった。
「う、うん……」
泊まっていけばいいのに、などと山本に言われたが、セックスの最中は興奮の材料となった微かな罪悪感が、セックスが終わるといたたまれない気持ちとなってツナを襲ってきたのだ。
「いや、でもさ、オレもほら、家で母さん待ってるからね」
「そっか、分かった。じゃ、また来週学校で」
「うん」
セックスをしても山本はやはり山本だった。
にかっと笑ってツナの肩をぽんぽんと叩く。
「じゃ、来週な?」
「うん、またね?」
やや罪悪感に苛まれていたツナはほっとした。
そういうさらっとした性格が山本の良い所なのだろう。
本当に助かった。
今回はリボーンの介在なしに山本を誘ってセックスをしてしまったから、更に居たたまれなかったのだろう。
ほっとしたけれどやや複雑な気持ちを抱いてツナが自宅に帰ると、リボーンが部屋で待っていた。
「よ、ツナ、珍しく頑張ったじゃねぇか」
リボーンは何もかもお見通しらしい。
帰ってそうそうリボーンにそう言われて、ツナはげんなりした。
「そ、そうかな…」
「山本の所に火が点いたぞ?お前も結構生徒として優秀になってきたってトコか?」
「えー…こういう事で優秀になってもしょうがないし…」
「まぁ、そう言うな。今回オレが骨折らなくても済んだからラクだった。これからはツナ、こんな感じで自分から守護者を誘ってセックスしてこい」
「え、ちょ、ちょっと待った。それは無理だよ。今回はさぁ、偶然で…」
「でもちゃんとできたじゃねぇか?」
「えーっ、……一回できたからといって、他の人とうまく行くわけないでしょ…」
「んな事やってみなくちゃわかんねぇぞ?」
「って、やってみて失敗したらどうすんの?やだよそういうの…」
がっくりとして項垂れてそう言う。
「ツナはそうやって何でも自分から頑張ろうっつう気がねぇから良くねぇんだ。少しは自分で努力してみろ」
リボーンにそう言われると確かにその通りだと思うが、でも元々自分の意に沿わない事ばかり起こっている気もするのだ。
「そう言われてもなぁ…困っちゃうなぁ…」
しかしまぁ、やらなくてはならない事はやらなくてはならないらしい。
(あと誰が残ってたんだっけ…えーと…獄寺君、それから……雲雀さん、と、…骸、…クローム…?)
――クロームとかどうすんの、それとも骸…?
どっちにしろやはり今回の山本みたいに偶然にうまく行くような相手とはとても思えない。
(まぁなんとかなるのは獄寺君ぐらいなもんかなぁ。でもなんか面倒くさそう…)
今回は偶然だからうまく行ったのであって、計画を立てて、となると非常に面倒臭い。
(あー、だめだめ、こういうのオレ考えるの向いてないし、だいたい考えてうまくいった試し無いもんね)
早々にツナはあきらめてその日はさっさと寝てしまうことにした。









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