◆茨の冠◆ 7
緊張しているからだろうか。
美しくついた胸筋の上、色の濃い小さな乳首が固く痼って勃っていた。
それを指で摘んで軽く引っ張るようにする。
彼がびくっと身体を震わせて、どうしたらいいか分からないという途方に暮れた表情でしきりに瞬きをする。
その様子が意外と可愛らしくて、バーナビーは思わず笑いが浮かんでしまった。
「な、なんだよ、その……、笑わなくてもいいだろ?」
「あぁ、ごめんなさい。あなたが可愛い反応をするものですから」
「可愛いって…なんだよ…」
などとぶつぶつ言うところも好感が持てる。
興が乗ってバーナビーは今弄っていた左乳首に顔を寄せると、ぷくりと勃ちあがった小さな粒を唇で挟んでねぶってみた。
「うわ…ッ あ、…その…そういうのってっ、その、俺がするんじゃねぇの?」
戸惑いながらも彼が自分にそう言ってくる。
肩を竦めて顔を離し、彼を間近で見上げる。
視線が合った彼が、微妙に顔を逸らした。
「僕にもしてくれるのは嬉しいですけど、残念ながら僕は女性のように胸がふくらんでいるわけじゃないですからね。……あなたがそれで萎えてしまっては困ります。……大丈夫ですか?」
「や、う、うん…。…いや、ここまで来て、その、駄目って事はないと思うんだが…」
「…ちょっと、確かめさせてください」
「え…?」
問い掛けてくる彼には構わずに、バーナビーは右手をすっと降ろした。
バスローブを左右に開いて全部はだけさせると、彼の両膝を掴んでぐっと広げる。
「ちょ、ちょっと…っ」
彼が狼狽した声を上げた。
バーナビーが見上げると頬を赤らめ、どうしたらいいか分からないというようにそっぽを向く。
が、視線が合うと慌てて目線を外す。
口の中で小さく笑いながらバーナビーは目線を下ろし、眼前、足を開かせた事で露わになった彼の股間を凝視した。
腹筋が綺麗についた引き締まった腹が、少しぴくぴくと動く。
肌理の細かいなめし革のような皮膚が蠢く様は、それだけでバーナビーの劣情をそそるのに十分だった。
形の良い臍の下、黒々と生えた茂みは自分のそれのようにふわふわと渦巻いているわけではなく、どちらかというと固めで彼の頭髪のように艶めいている。
その中心、彼の浅黒い肌を更に色濃くしたような性器が半分勃起して、ひくひくと頭を擡げては揺れ動いていた。
えらの張った亀頭の大きいペニスで、日系人だからだろうか、亀頭が包皮に半分隠れている。
その先端の窪みからはとろり、とした粘度で透明な先走りが滲み出ている。
「良かった。大丈夫みたいですね?」
「や、そんな、………その、冷静に言われてもさ。うん…、きっと、大丈夫だと思うから。ん…、もう……、俺よくわかんねぇ。…君の好きにしていいよ。…俺がすること、何かねぇの?」
やや開き直ったか、彼が両手を背中の後ろに回し、ベッドに掌をついて肩を竦めた。
「そうですね……。あなたは、ただ感じていてくれればいいです」
目の前のペニスを見ていると、自分の股間も一気に熱を持ってくる。
性格も悪くなさそうだし、身体は極上だ。
この形の良い、いかにも美味しそうなペニスを自分の体内で食べることを考えて、バーナビーはぞくぞくとした。
引き寄せられるように顔を寄せ、右手で竿の部分を掴んで包皮を押し下げながら、露わになった色鮮やかなつるっと丸い亀頭をかぷり、と咥え込む。
「や、うぁ…っ」
彼が素っ頓狂な声を出し、慌てて口を押さえた。
上目使いにそんな彼の表情を眺めながら、バーナビーはまず亀頭を舌でぐるりと舐り回した。
張り詰めた丸い先端の弾力を舌先で味わってみる。
それから、ゆっくりと喉の奥までペニスを飲み込んだ。
男が眉尻を下げ、ぱちぱちと瞬きをして落ち着かなく目線を揺らす。
気持ちの上では困惑しているのだろうが、身体の方は物理的な刺激を受けて素直だった。
忽ちにペニスは芯を持ち、バーナビーの口の中で硬く勃起して咥内を塞いできた。
「ん……んっ…」
しゃぶっているだけでも、身体がじいんと痺れてくる。
特に尻の中、いつも快楽を得ている内部が疼いて、バーナビーは期待で全身が震えた。
早く、欲しい。
そう思うともう我慢ができなくなる。
2、3度唇を上下させて彼のペニスを扱き、それが十分に勃起したのを確認すると、コンドームの袋を破って唇を離し、丁寧にゴムを被せていく。
「すげぇ、…上手だねぇ…」
彼が感心したように呟いた。
「まぁ、慣れてますからね?」
褒められたのだろうか。
それとも、こういう事に慣れている自分に半ば呆れているのかも知れない。
そう思うとやや複雑な心境になって、バーナビーは肩を竦めた。
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